18/02/25

傍聴メモより

今回のオリンピックを見ていて思ったのだが、カーリングって、試合時間が長くて試合数も多いから、テレビに映る時間が一番長くなる。一般大衆の記憶に残るという点では、一発勝負の種目でメダルを取って少しだけメディアにちやほやされてすぐに忘れられてしまうような競技に比べたら、圧倒的にお得だと思う。その分、メダルを獲るまでが大変だけれど、カーリングなんてスポーツかどうかも怪しい種目なので、ちょうどいいトレードオフだと思う。



ということで、ただいま絶賛ネタ枯れ中につき、今回も傍聴メモを見ながらお茶を濁していきたい。今回は、去年の12/28に傍聴した4件の裁判のうち、3件目の公判について書いてみる。罪状は建造物侵入と窃盗ということで、これもしょぼい裁判になりそうだなと思いながら入廷してみると、被告席には50歳前後と思われる貧相な男子が座っている。

傍聴席には、社会科見学の一環として来たのだろうと思われる男子中学生が数人座っている。おそらくこれが初めての傍聴なのだろうが、こんなにしょぼい裁判が初の傍聴になるとは、ちょっとかわいそうだ。強盗だとか殺人だとか、もっと派手な裁判を傍聴すれば、世の中の出来事にもっと興味を持つようになるだろうが、窃盗ごときの裁判を傍聴しても、これからの人生にはほとんど影響しないだろう。

被告の男子は、千葉市内の亥鼻公園にある「いのはな亭」という茶屋に忍び込んで、ペットボトル3本を盗み、その後近くの交番に自首して逮捕されたということらしい。逮捕に至るまでの経緯としては、コンビニでパンを万引きして逮捕され、措置入院ということで病院に入院させられたが、病室が狭くてペンキ臭いことに耐えられず、病院から脱走したらしい。

その後、保護観察所に行ったが相手にしてもらえず、あちこち歩きまわって亥鼻公園にたどり着いたということだった。これまでにも窃盗を繰り返して8回の措置入院を経験し、5回裁判を受けてすべて実刑での有罪判決を受けたということで、これは刑務所に入るためにわざと窃盗を繰り返しているのは間違いない。今回の逮捕時も、所持金がわずか35円だったというから、間違いなくそういうことだろう。

などと考えていたら、検察官の質問に答えた被告が、「困ったら、どこかの店に侵入して何かを盗んで自首すればいいと思っていた」と、何の悪気も見せずに言ったので、ちょっと笑った。この被告はとにかくダメなヤツで、なぜ盗みを繰り返すのかという質問にも、「わかんない」と答えたり、だれに迷惑をかけたと思うかという質問にも、「別になんとも思わない」と答えたりで、聞いていてイライラする。

一応弁護士も付いてはいるのだが、どうにもお手上げといった感じで、ほとんど弁護らしい弁護もしない。現在は統合失調症を患っているらしく、過去にはシンナーやトルエンなどのヘビーユーザーだったということだ。甘ったれたような話し方で、知性のかけらも見えず、本当にどうしようもない人間だということがすぐにわかるような雰囲気を醸し出している。

年末になると、窃盗などの微罪を犯してわざと刑務所に入る人間が増えるという話はよく聞くけれど、実際にそういう人間を目の前にしてみると、こういうヤツならそうするしかないのかもしれないと、妙に納得してしまった。というか、そのままおとなしくしていれば病院で年を越せたはずなのに、病院よりも刑務所のほうがマシというのも、なんだかおかしな話だ。

しかし、こういう人間に対しては、どのような罰を与えるのが正解なのか、悩んでしまう。そのまま妥当な判決を下したところで、被告が喜ぶだけのことだし、だからといって無罪放免というわけにもいかないし、窃盗ごときの微罪で無期懲役にするわけにもいかない。こういう人間の扱いというのは、警察にしろ裁判所にしろ刑務所にしろ、かなり厄介だと思う。

社会のために何の役にも立っていない人間でも、自分たちの税金を使って生かしてやらなければいけないということなんだなと、甘ったれたことばかり言う被告の言葉を聞きながら思った。この被告は、これからどれくらい生きるのかわからないけれど、きっと同じように窃盗を繰り返して、刑務所への出入りを繰り返すだけの人生を送るのだろう。他人の人生だからどうでもいいけれど、なんだかため息が出る。



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