17/10/29

今回の選挙について思いつくままに書いてみる

今回の選挙は久しぶりに面白い選挙だった。2005年の郵政解散総選挙と同じくらいに楽しませてもらった。あのときは、「小泉劇場」と呼ばれる強引な手法で自民党が圧勝したけれど、今回は最初だけ「小池劇場」が展開されそうな雰囲気になっただけで、その後は見事に失速してしまった。「排除」というたった一言でこれだけ流れが変わるというのも、なんだか怖い。



それにしても、これだけ自民党が議席を取るとは思わなかった。たしかに、選挙直前の世論調査では、自民と公明を合わせて300議席を超える勢いだと伝えられていたけれど、アナウンス効果が働いてそこまではいかないだろうと思っていたら、そんなことはなかった。希望の党ができた直後は、与党の過半数割れもありうるなんて予想もあっただけに、ちょっと意外な感じもする。

自分の地元である千葉1区では、自民党、希望の党、共産党、維新の会から候補者が立てられた。千葉1区は民進党から希望の党に移った田島さんが以前から強くて、ここ何回かの選挙では自民党の候補にけっこうな差をつけて勝ってきたから、今回もおそらく勝つんだろうと思っていたら、自民党の門山さんにわずか1,000票差ほどで負けてしまった。

希望の党と維新の会は、大阪と東京では選挙協力をしていたけれど、そのほかの選挙区では自由に候補を立てていたようだ。維新の会の長谷川さんが15,000票ほど獲得していたから、千葉県でも選挙協力をしていれば、おそらく希望の党の田島さんが勝っていただろう。まあ、田島さんは比例で復活当選したからいいかもしれないが、その分だれかが割を食うわけで、政党全体としてはやっぱり小選挙区で勝っておくに越したことはない。

田島さんも今回は厳しい闘いだということがわかっていたらしく、駅前で運動に励んでいる姿を何度か見かけた。投票前日の土曜日には、都内に飲みに出かけて地元の稲毛駅には夜の12時近くに着いたのだが、駅から出てくる人たちに向かって田島さんが頭を下げていたので驚いた。前日の選挙運動は午後8時までと思っていたけれど、12時ギリギリまでできるということか。いずれにしてもご苦労なことだ。

この千葉1区の構図が、まさに今回の選挙の構図を象徴していると思う。巨大な与党に勝とうと思ったら、野党で共闘しなければ勝てるわけがない。選挙前に、共産党からの選挙協力の打診を、民進党の前原さんは露骨に嫌がっていたけれど、本気で与党を過半数割れに追い込むつもりなら、どの政党であれ、野党全体として選挙協力をしなければ勝ち目はない。

政治というのは、とにかく数を集めて政権を握らなければ何の意味もない。共産党や社民党みたいに、絶対に実現不可能な理想論ばかり掲げて、「自分たちは決してブレません!」なんて言っているような政党は、自己満足に浸っているだけのことで、実際には何もしていない。まあ、毎回のようにほとんどすべての選挙区に候補者を立てる共産党の姿勢はすごいとは思うけれど。

だから、希望の党にしても、本気で政権交代を目指すのであれば、民進党の議員をすべて受け入れるべきだった。政策や理念のすりあわせなんて、後でどうにでもなる。まずは過半数を取れるだけの候補者を集めることが最も重要だ。自民党にしたって、右寄りの人ばかりではなく、けっこうリベラルな思想を持っている人もいたりする。そういう大所帯でもまとまっていられるのは、自分たちが政権の座についているからだ。

そういう意味でも、希望の党としては、民進党の議員をすべて受け入れた上で、中道左派の政党を目指すべきだったと思う。自民党と対決するわけだから、同じような政策を訴えても意味がない。だからといって、ゴリゴリの左寄りというのも、おそらくはあまり受けがよくない。だったら、ちょっとだけ左寄りの政策を提示することで、反自民の受け皿となることを目指すべきだった。

今回は立憲民主党が大躍進したということになっているけれど、政策に共感してというよりは、ちょっとかわいそうだとか、筋を通して偉いとか、そういう多分に感情的な側面で票を集めただけにすぎない。まあ、今回の結果は評価すべきかもしれないが、これからが大変だと思う。なにしろ、枝野さんがいきなり「野党再編はどうかと思う」みたいな発言をしてしまった。

たしかに、いきなりどこかの党と合流したりすれば、失望する有権者もいるだろう。しかし、こんな発言でわざわざ自分たちの首を絞めることもないだろう。この先どの政党とも組まずに独自路線を進んでいくとすれば、そう遠くはない将来に社民党みたいな存在になりかねない。まあ、万年野党でもかまわないというのであればそれでもいいけれど、政治家である以上は政権奪取を目指すのが筋だろう。

どんなに立派な政策でも、どんなに正論であっても、それを実行できなければ何の意味もない。とにかく、政治は数のゲームだ。どんなに無能な人間の集合体であったとしても、より多くの人間を集めた政党が勝つようにできている。有能な人間ばかりを50人集めた政党よりも、無能な人間100人を集めた政党の方が政権を握ることになっている。

実際のところ、ごく一部の人間が優秀であれば、残りの議員は無能でもなんとかなる。むしろ、無能な人間が多いくらいの方が、政党としてはなにかと都合がいい。優秀な人間ばかりだと、それぞれが主張し合ってまとまらないなんてことになりそうだが、無能な人間ばかりなら、上意下達ですべてがすんなりと運んでいきそうな気がする。

今回の選挙では、若い世代ほど自民党の支持率が高く、年寄りになるほど自民党の支持率が低くなるという構図だったようだ。これは、年を取るほど、新聞やテレビや雑誌など、政権の批判ばかりしているメディアの報道を鵜呑みにし、若い世代は、ネットにあふれているネトウヨの意見に感化されるという傾向を反映しているのだと思う。どちらがいいとは言えないけれど、マスコミにはもう少し公平な報道をしてもらいたいとは思う。



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