17/10/01

小池さんの真の狙いについて考えてみる

先週の覚書では、「今回の総選挙は、このまま何もなければ自民党が勝つだろう」と書いたけれど、この予想はいきなり外れそうな展開になってきた。何もないどころか、希望の党の党首に小池さんが就任して、民進党が希望の党に合流するという、まったく予想もしていない展開になった。まさか、野党第一党の民進党がいきなり消滅するなんて、本当に驚いた。

若狭さんと細野さんが新党を立ち上げるということはもちろん知っていたけれど、どちらが代表になってもそれほど話題にはならないだろうから、大勢に影響はないだろうと予想していた。細野さんはまだまだ若くてイケメンだから、党の顔としてはそれなりに適任かもしれないが、若狭さんはいかにも小者感が漂っていて、党首の器ではないと思う。

などと思っていたら、いきなり小池さんが党首になった。結局この人は、自分が総理大臣になりたいんだろう。都知事でありながら国政にも関与するというのは、いまの任期が終了したら都知事を辞めて、希望の党から出馬して国会議員に戻り、権力の座を目指すという意図があるからだろう。豊洲市場の問題などはこじらせるだけこじらせておきながら、最後まで面倒を見る気はないらしい。

それにしても、民進党の決断には驚いた。最初に「民進党の候補は希望の党から公認をもらうことになった」というニュースを見たときには、いったい何がどうなったのか、さっぱりわからなかった。次に思ったのが、かなり右寄りの思想を持っている小池さんが、一応はリベラルとされている民進党の議員を受け入れるだろうかということだった。

小池さんとしては、すべての民進党議員を受け入れるつもりはなく、左寄りの議員は切っていくつもりらしい。ということは、社民党出身の辻元さんあたりは問答無用に切られることになるわけで、それはそれでいいことかもしれない。民進党の中でも保守寄りの議員が希望の党に入ることになれば、全体としては健全な右派中道政党が誕生するかもしれないわけで、それ自体は非常にいいことだ。

日本では、保守政党と革新政党による二大政党制はもはや実現しないということは、民主党政権の大失敗によって証明された。しかし、希望の党ができたことにより、保守政党による二大政党制が実現する可能性が出てきたわけで、それはおそらく日本にとってはいいことなのだろうと思う。しかし、希望の党が自民党に対抗できるような勢力を本当に獲得できるとは思えない。

この短期間で、200人とか300人の候補を立てるのは難しいだろう。小池さんの政治塾に集まってきた塾生を擁立するとしても、さすがに政治のド素人集団がまとめて当選するほど、国政選挙は甘くはないだろう。小池さんは、表向きには「政権交代を実現するために闘う」みたいなことを言っているけれど、おそらく本心は違うと思う。真の狙いは、与党を過半数割れに追い込んで、希望の党がキャスティングボートを握ることではないだろうか。

自民党と公明党を合わせても過半数割れとなった場合、政権を維持するためにはどこかの政党を与党に引き入れて連立政権を組む必要がある。まさか、共産党と組むわけにもいかないから、政策的には大きな違いがない希望の党と組むしかない。また、勝敗ラインを過半数確保においている安倍さんは、過半数割れとなれば、当然責任を取って総理の座から降りなければならない。

そこで、だれを総理に推すかという話になったときに、希望の党が「我々が連立政権に参加する代わりに、首班指名は我々の党首ということでお願いしたい」という展開にもっていくことができる。総理の座を狙うのであれば、自分たちが過半数を獲得して政権交代を実現するよりも、与党を過半数割れに追い込んで自分たちがキャスティングボートを握った方が、話はずっと早い。

自民党にとっても、実はそれほど悪い話でもない。まあ、本当にそんなことになったら、勝手に都知事選に出馬して都議会から自民党議員を追い出したと思ったら、今度は衆議院選挙でも痛い目に遭わされたわけだから、自民党としては面白くはないだろうが、政策的には大きな違いはないから、与党に引き入れておけば政権は安定するわけで、希望の党の躍進というのは、自民党にとって最悪のシナリオというほどでもない。

ただ、このシナリオを実現させるためには、小池さん自身が今度の選挙に出馬する必要があるが、都知事に就任してまだ何の成果も挙げていないこの段階で、いきなり都知事を辞任するというのでは、さすがに有権者の支持は得られないだろう。むしろ、逆風にすらなりかねない。小池さんは、そのあたりの計算は抜かりなくできる人だから、今回の出馬はさすがにないとは思うが、断言はできない。

とりあえず、今回の選挙で与党を過半数割れに追い込んで希望の党がキャスティングボートを握ることができれば、次回の選挙で自らが出馬するだろう。おそらくは、そこまで計算していると思う。マスコミは、今回の選挙の構図を「自民党対希望の党」というわかりやすい構図でとらえているけれど、おそらくそれは違う。希望の党が自民党の補完勢力になれるかどうかという視点で見た方が、より実情に近いと思う。



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