17/08/20

ビリヤードの思い出

最近のマイブームとして、内職のない週末には、地元の図書館に出かけて面白そうなDVDを視聴ブースで鑑賞したりしている。視聴ブースはちょっとした個室になっていて、付属のヘッドフォンを耳に当ててディスクを挿入し、そのままリモコンで再生ボタンを押せば、後は目の前に展開される映像の世界に身を任せるだけで、あっという間にプライベートシアターの完成だ。



自分は、劇場まで足を運んで映画を観るなんてことはめったにないし、テレビで放送される映画を観ることもほとんどない。要は、あまり映画が好きではないということだ。その理由の1つとして、ストーリーを追うのが難しいということがある。自分は頭が悪いので、状況的な説明が不足していたりすると、途端にスーリーが追えなくなり、なんだか消化不良のまま映画が終わってしまうことがよくある。特に、ミステリー系の映画の場合に、この傾向が強くなる。

これが本だったら、前に戻って気が済むまでストーリーを確認できるから問題はない。それと同じように、DVDの場合も、気になるところは巻き戻して確認できるから、都合がいい。ただ、巻き戻してばかりいるのも興が削がれるから、なるべく頭を使わなくても済むようなジャンルの映画を選ぶようにしている。自分には、戦争ものとか社会派系などの映画が合っているようだ。

その中で、「暴力脱獄」という映画が面白かった(この邦題はちょっとひどいけれど)。主役のポール・ニューマンがとにかくカッコいい。あまりにもカッコよかったので、ポール・ニューマン主演の「ハスラー」と「ハスラー2」も観た。相手をだましてビリヤードの勝負に誘い、カネを巻き上げるというのがハスラーなので、基本的には上品な人間ではないのだけれど、ポール・ニューマンが演じるとやっぱりカッコよくなってしまう。

ビリヤードといえば、自分が大学生の頃に爆発的に流行していた記憶がある。酒を飲みながらビリヤードをプレイできるプールバーがそこらじゅうにあった。こういう店に置いてあるのはポケットゲーム用のテーブルばかりで、クッションゲーム用のテーブルは昔ながらの店に行かないとお目にかかることはできなかった。

自分は、大学1年のときに大学近くの雀荘でバイトしていたのだが、その2階にビリヤード場があった。受け付けは1階の雀荘で行い、ビリヤードの客には「ポケットですか、クッションですか?」と尋ね、それに応じた球を渡すというシステムになっていた。若い客のほとんどはポケットを選択し、クッションを選ぶのは年輩の客しかいなかったような記憶がある。それくらい、ポケットゲームが流行していたということだ。

ポケットゲームにもいくつか種類があるけれど、当時最も流行していたのがナインボールだった。これは、1番から順番にボールをポケットに落としていくゲームで、最後に9番のボールを落とした人の勝ちとなる。1番に当たった手玉がその先にある9番に偶然当たってそのまま9番がポケットに落ちる、なんていう展開もあったりして、初心者でも勝つチャンスのあるゲームだということが、ナインボールが流行した大きな要因だと思う。

自分もビリヤードをやってみたいと思っていたけれど、プールバーなんていうオシャレな店に行くのはなんとなく気おくれするところがあったし、そういう店に集まる人たちというのはきっとビリヤードも上手いに違いないから、そういう集団に自分のような初心者が紛れ込んだら恥ずかしい思いをしそうだという気持ちもあって、なかなか行くことができずにいた。

そんなことを同じクラスのK君にポロっと話したところ、K君は笑いながら、「そんなことを気にする必要は全然ないよ、みんな大してうまくないから。勢いよくボールを突いて、スコーンといい音させてりゃいいんだから。外したときには、ちょっと薄かったなとか、ちょっと厚かったなとか、それっぽいことを言ってりゃカッコはつくから」と言った。

この言葉を聞いたときは、なんて深い真理を突いた言葉なんだろうと感心した。そうか、みんなヘタクソなんだけど、精一杯背伸びしてカッコつけてるだけなんだなと素直に思うことができた。この言葉に押されて念願のプールバーデビューを果たしたわけだけれど、色とりどりのボールをポケットに落としていくのは想像以上に楽しかった。

学生の頃はなにしろ貧乏だったから、プールバーに通い詰めるなんてことはできなかったけれど、お金さえあれば通い詰めたいと思っていた。なにしろ、当時はビリヤードのプロになりたいと思っていたのだから。もちろん、ビリヤードが上手かったからプロになりたいと思ったわけではない。自分の場合、麻雀にしろゴルフにしろビリヤードにしろ、始めたばかりの頃はとりあえずプロを夢見るのがお約束のパターンなのだ。

しかし、いくらやってもまったく腕が上がらず、自分よりも後からビリヤードを始めた相手にもコロコロと負かされてしまうようになり、自分にはビリヤードの才能はこれっぽっちもないということに気づかされ、いつの間にかビリヤード熱はすっかり醒めてしまった。結局、自分には何の才能もなかったんだなと、これを書きながら改めて思ってしまった。



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