17/06/11

消えたツータックを追って

クールビズのシーズン到来ということで、先月の中旬あたりから衣替えをしたわけだけれど、2本あるベージュのスラックス(というかコットンパンツ)がどちらもかなりヘタっていることに気付いた。どちらも10年くらい穿いているから、そろそろ寿命なのかもしれない。自分は服を買うという行為が面倒に感じる人間で、どうしても必要に迫られない限り、めったなことでは服を買わないのだが、今回ばかりはしかたがない。

スーツに関していつも思うのだが、ジャケットとスラックスでは、スラックスの方が消耗が激しいというのが困る。ジャケットはまだまだ着られるのに、スラックスの方がダメになってしまうというのがいつものパターンだ。それを見越して、同じような色合いのスラックスを1本余分に買ったりするけれど、既製品だから完全に同じ色合いのものはなくて、微妙に違った感じになるのが悲しい。

今回はパンツだけを買えばいいので、そのあたりのことを気にする必要はない。ということで、近所のAOKIに行ってみた。いま穿いているツータックのパンツと同じようなものを探したのだが、見事に1本もない。どれもこれもスリムなシルエットのノータックのヤツばかりで、昔から慣れ親しんできたゆったりとしたシルエットのツータックがまったく見当たらないのだ。

店員さんに聞いたところ、ウエストが76センチでよければ、ワンタックならあるという。ウエストは詰めればいいかと思いながら、じゃあそれを見せてくださいとお願いしたところ、在庫がなくて取り寄せになるといわれた。わざわざ取り寄せてもらって、やっぱり気に入らないからいりませんというのも悪いような気がして、じゃあいいですと言って店を出た。

それにしても、10年くらい前までは確実に生息していたツータックのパンツが、見事に1本もなくなっていることに驚いた。パンツにしてもジャケットにしても、いまの世の中はスリムなシルエットのものが流行っていることは知っていたけれど、まさかこれほどとは思わなかった。絶滅危惧種かよ。きっと同じだろうなと思いながらコナカも覗いてみたが、やっぱりツータックのパンツは見つからなかった。

正確には、ウエストが80センチを超えると、普通にツータックのパンツはあるのだが、自分のサイズである73センチとなると、皆無なのだ。まさか10センチもウエストを詰めるわけにもいかないし、かといっていまさらメタボになんてなりたくないしで、こうした紳士服の量販店では、自分のサイズに合ったツータックのパンツを探すのは不可能であるという結論にいたった。

大型スーパーの洋服売り場も見てみたが、どこも同じような品揃えで、やっぱり自分に合うサイズのツータックは見つからなかった。どうやら、かなり深刻な状況になっているらしい。各国が温暖化対策を怠っていたせいで、いつの間にか海面が上昇してきて水没の危機に瀕している島の住民みたいな感じだ。ツータック世代がおとなしくノータックに甘んじたせいで、自分のような善良な市民が被害を受けることになる。

何が悲しくて、あんなにパッツンパッツンのスラックスを穿かなければいけないのだ。太もものあたりとかピチピチで、いかにも動きづらそうだ。それと、ノータックの嫌いなところは、太もものあたりからなんとなく折り目が始まっているということだ。タックが入っていれば、上から下までピシっときれいに折り目が決まるけれど、ノータックの場合は、じゃあこのあたりからなんとなく始めてみますか、みたいな感じがものすごく嫌いだ。

世間的には、「ツータック = ダサい」という認識ができあがっているようで、いまどきツータックを穿いているヤツなんて、ダサいオヤジくらいしかいないということになっているらしい。余計なお世話だ、ほっとけよ。こっちは、世間からダサいと見られていることを承知の上でツータックを穿いているわけだから、別にどう思われてもかまわない。とにかく、店の端っこでもいいから、ツータックのパンツくらい置いておけ。

妥協してノータックのスラックスを穿いても、自分の体型ならばそれほど悲惨なことにはならないと思うが、やっぱり抵抗がある。実際に試着したときにも、すごくお似合いですよと店員さんにお世辞を言われたが、似合うかどうかを決めるのは自分であって、他人からいくら似合うと言われても、鏡に映った自分の姿に自分自身が納得できなければ、それは似合っていないということだ。

さてどうしたものかと考えた結果、カジュアルなチノパンでごまかしてみることにした。ノータックのスラックスを穿くよりはずっとマシだろう。ということで、エドウィンのベージュのチノパンを買った。基本的にはジーンズと同じシルエットで、ジーンズの世界でもタイトなシルエットが大流行しているようだが、試着してみたところかなりパッツンパッツンな感じなので、太もものあたりがちょっと楽な感じになっているチノパンを買った。

関係ないけれど、スラックスのベストサイズは73センチなのに、ジーンズの29インチ(センチに換算すると約73センチ)を穿くとかなりガバガバになるのが不思議だ。これはエドウィンに限ったことではなく、どのメーカーのジーンズでも1サイズ分大きく感じてしまう。なので、ジーンズの場合は28インチ(約71センチ)のものを買うことになる。本当にこのサイズ差は謎だ。

ということで、緊急避難的にカジュアルなチノパンを買ってはみたものの、本音としてはやっぱりツータックの綿パンがほしい。ものすごく気が進まないけれど、デパートの紳士服売り場に行って探してみようかと思っている。それにしても、自分と同じように感じているオヤジは大勢いるはずなのに、彼らは我慢してパッツンパッツンのスラックスを穿いているのだろうか。それとも、秘密のツータックルートを確保しているのだろうか。だとしたら、こそっと教えてほしい。



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