17/05/21

あの試合内容で村田諒太の判定負けだって?

昨日のタイトルマッチを観ていたのだが、試合が終わった瞬間に村田の勝ちを確信した。テレビで観戦していた人たちも、有明コロシアムで生観戦していた人たちも、100人中100人が自分と同じように村田の勝利を確信していたに違いない。しかし、判定の結果はスプリットデシジョンで村田の負けとなった。あまりにも意外な結果に、少しの間、いったい何が起こっているのか理解できなかった。

ダウンも取ったし、ずっとプレッシャーをかけ続けて前に出ていたし、相手のパンチはほとんどガードしてブロックしていたし、あの試合内容でなぜ村田の負けになるのか、まったく理解できない。おそらく、エンダムの勝ちと判定した2人のジャッジは、エンダムの手数の多さを評価したのだろうが、村田はほとんどのパンチをブロックしていた。

もちろん、きれいにもらったパンチも何発かはあった。試合後の村田の目の周りは赤く腫れていて、まったくのノーダメージではないことは、それを見ればわかる。しかし、ど素人の自分が見る限り、決定的なパンチは一発ももらっていないように見えた。反対に、エンダムの方は、ダウンしただけでなく、パンチをもらって腰が落ちかけたり、脚に来てスリップを繰り返したりと、あきらかにダメージがあった。

こんな内容で判定勝ちになるのであれば、村田のようなスタイルのボクサーはどうやっても勝てない。村田を相手にする場合、ガードの上から細かいパンチを打ってすぐに離れるということを繰り返せばいいわけだ。それだけで手数が多いとみなされて、ジャッジはポイントを与えてくれる。そんなクソみたいなボクシングなんて、見たくもない。プロならプロらしい試合をしてくれ。

自分がボクシングの試合を初めて見たのは、具志堅用高の世界タイトル挑戦の試合だった。格闘技好きの父親がテレビ観戦していたので、自分も見ていたのだが、具志堅のアグレッシブなボクシングにすっかり魅せられてしまい、それ以来、熱心なボクシングファンになった。辰吉や鬼塚が活躍していた頃の時代が一番面白かった。それと、高橋ナオトとマーク堀越の試合はすごかった。

ただ、暫定チャンピオンやらスーパーチャンピオンやら、同じ階級に何人もチャンピオンが出てくるようになったあたりから、徐々にボクシングに対する興味を失っていった。決定的だったのは、それまで日本ではWBAとWBCしか認めていなかったのに、何年か前にIBFとWBOも正式に認めたことだ。ただでさえ同じ団体内の同じ階級に複数のチャンピオンが存在するのに、それが一気に増えてしまうことになり、何がなんだかわけがわからない。

ということで、最近ではほとんどボクシングの試合を見ることはなくなったが、今回の村田の試合だけは楽しみにしていた。なんといっても、ミドル級は別格だ。いかに団体が乱立しようとも、暫定チャンピオンやらスーパーチャンピオンやらがいようとも、ミドル級の世界チャンピオンという称号は、日本人にとっては非常に価値のあるものだということは間違いない。

日本のボクシング界にとっても非常に重要な試合だっただけに、もっと納得できる形の判定結果にしてほしかった。そもそも、111-116(エンダム)、112-115(エンダム)、117-110(村田)というスコアの割れ方は、どう考えてもおかしい。2〜3ポイントくらいの小差であれば、判定結果が割れることはよくあるけれど、5ポイント程度離れていてスプリットになるなんていうパターンはまずない。

ジャッジの見方によってここまでスコアが割れるというのは、かなり問題なんじゃないだろうか。これが、すべてのジャッジがエンダムの勝ちと判断したのであれば、まだ納得できる。WBAという団体は、有効打の数やどれくらいのダメージを与えたかということよりも、単純に手数の多さだけで評価する団体なんだなと判断できるからだ。しかし、この結果では、到底納得できるものではない。

WBAも、団体の方針として、どういうボクシングを評価するのかを決めるべきだろう。別に、手数の多さを評価するのであれば、それはそれでかまわない。ちょこちょこと動き回ってセコいボクシングをする選手ばかりがWBAに集まるだけの話だ。とにかく、今回のようにデタラメな判定をされてしまうと、真剣に戦った選手たちがかわいそうだ。団体として明確な方針を示してほしい。

それにしても、敵地で戦った結果がこれならばまだあきらめもつくけれど、ホームで戦ってダウンも取って何度もふらつかせながらこの結果というのは、なんともやりきれない。まあ、一番悔しいのは村田自身だろうが、試合後は笑顔でエンダムを称え、観客に礼儀正しくお辞儀をしてリングを去っていく姿を見て、なんてすごい男なんだと思った。言いたいことはいっぱいあるだろうに。

ただ、村田陣営にとって反省することがあるとすれば、それは勝ちを確信したあまりに、中盤以降安全策に走ってしまったという点だろう。ミドル級のパンチをきれいにもらってしまえば、それまでは圧倒的に有利に試合を進めていたとしても、たった一発のパンチで試合がひっくり返ってしまう。それを恐れたために、途中から安全運転に切り替えたのだろう。それだけが悔やまれる。

これから村田はどうするのだろうか。これが軽量級であれば、当然もう一度チャンピオンを目指すことになるのだろうが、強豪がひしめくミドル級では、もう一度世界戦のチャンスをもらうことは難しいだろう。残念ながら、これで引退ということになるのかもしれない。できれば、もう一度エンダムとベルトをかけて対戦してほしい。今回の結果は、どこかに提訴できないものだろうか。昨日から悔しくてしかたない。



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