17/01/29

システムエンジニアという仕事に関する極私的感想

いまの会社に転職するにあたって、いくつかの転職サイトに登録して活動してきたのだが、そうしたWeb上での活動はことごとく空振りで、結局はハローワーク経由で転職することになった。Webで登録するだけでなく、実際に人材紹介の会社にもいくつか出向いて登録したが、それが結果に結びつくことはなかった。翻訳という特殊な職種の場合、希望通りの会社に転職するというのはかなり難しいということを思い知らされた。

そのときの名残りで、転職サイトに登録してある自分の職務経歴書を見た企業からスカウトメールが送られてくることがよくある。ただし、そのすべてが、システム関連企業からのメールだ。自分が希望している翻訳関連企業からのスカウトメールは、これまでに一度たりとも受け取ったことがない。翻訳会社って、こういう転職サイトは見ていないのだろうか。

まったく希望していない業種からスカウトメールをもらうのは面倒だけれど、転職サイトに登録してある職務経歴書を削除するのも面倒だし、もしかしたら翻訳関連のスカウトメールが来ないとも限らないので、とりあえずそのままにしている。それにしても、自分のように現場から離れて相当な年月が経っている人間にもメールを送るくらいだから、世の中のシステム関連企業はよほど人手不足なんだろう。

というか、こういう人たちって、ちゃんと自分の職務経歴書を読んでいるのだろうかと疑問に感じる。システム開発の現場から離れて約15年にもなる50歳間近の男子が、いまさら使い物になると本気で思っているのだろうか。管理職の経験があればまだ使い道はあるかもしれないが、自分はヒラ街道を一直線に進んできた筋金入りのヒラ人間だから、その点でもまったく使い物にはならない。

「ベテランエンジニア大歓迎です」とか、「面接は確約します」とか、「仕事は豊富にあります」とか、仕事に困っている状況だったら、ついスカウトに応じてしまいそうな誘い文句が並んでいるけれど、実際に面接に行ったら、こりゃダメだと判断されて落とされるのは目に見えている。そもそも、この歳になっていまさらプログラミングなんてしたくないし、おそらくできない。

いまの翻訳という仕事を選んだのも、システムエンジニアという仕事が大嫌いだったからだ。ただ、残念なことに、就職する前はシステムエンジニアという仕事が自分に合っているかどうかなんてわからなかったから、なんとかなるだろうというくらいの軽い気持ちで就職してしまったのだけれど、それがそもそもの間違いだった。結局、なんともならなかった。

自分が学生の頃は、まさにバブル絶頂期で、いまの学生みたいに就職活動で苦労するなんていうことはなかった。まあ、超一流企業に就職するのは当時でも難しかったけれど、そこそこの優良企業ならそれほど苦労せずに入社できた時代だった。さて、どんな会社に入ろうかと考えたところ、銀行や証券会社なんていうヤクザな商売は絶対にイヤだし、かといって、絶対にこれがやりたいという仕事も思いつかない。

自分の周りの友人は、金融系企業や大手メーカーに就職するヤツが多かった。金融系を毛嫌いしていた自分としては、残る選択肢は大手メーカーということになるけれど、文系だから営業職に回されるのは目に見えている。人と接することが苦手な自分にとって、営業というのは最も避けたい職種の一つだった。だったら、文系でも手に職を付けることができるシステムエンジニアならどうだろうと考えたわけだ。

そういった感じで、積極的に志望したわけではなく、消去法的に残ったのがシステムエンジニアという職種だった。最初の頃こそ、なんとなく楽しくやっていたけれど、2〜3年もするうちに、これは自分に向いていないなということに気付き始めた。その理由を一言で説明するならば、システムエンジニアとして仕事をするには、自分の頭が悪すぎたということだ。

頭が悪いので、物事をすべて理詰めで考えていくということができない。あるいは、自分では細部まで理詰めで考えているつもりでも、必ずどこかに抜けがあって、それが他の箇所にも波及して、システムのあちこちでバグが発生するという事態になってしまう。それをその場しのぎで修正していくから、つぎはぎだらけの汚いシステムになってしまう。

特にイヤだったのが、納品したシステムの面倒を見るという作業だ。納品したシステムが何事もなく稼働するなんていうケースはまずなくて、納品前にいくらテストを繰り返しても、実際に運用が始まるといろいろなバグが出てくる。客先から、システムの動きがおかしいんだけどという電話がかかってくるのがイヤでイヤでしかたなかった。

自分で作ったプログラムの面倒を見るのであればまだマシだ。このバグはあのあたりに隠れていそうだなというだいたいの見当がつくからだ。しかし、自分で設計して自分でプログラムを開発して納品するなんていうパターンは皆無で、小さなシステムなら数人のメンバーで社内で開発し、それよりも大きなシステムになると、自分は設計書を書くだけで、それを外注に渡してプログラミングしてもらうことになる。

しかし、最後までシステムの面倒を見るのは、設計書を書いた自分なので、バグが発生した場合は、ほかの人が書いたコードを追いながらデバッグしなければならない。人によってコーディングのクセというのはさまざまで、ほかの人が書いたコードというのは、いくらきれいに書いてあったとしても、やっぱり自分が書いたものと比べると追いづらいものだ。

そんなこんなで、5年もするとすっかりシステムエンジニアという仕事がイヤになってしまった。朝の通勤で会社に向かうときに、地下鉄のエレベーターに乗りながら、このまま天国まで連れていってくれないかな、なんてことをぼんやりと考えたりもしたし、会社に行くのがイヤすぎて、駅に行く途中で吐いてしまったこともあった。だから、嬉々としてシステムエンジニアの仕事を続けている人は、心の底から尊敬する。



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