17/01/22

祝・稀勢の里初優勝&横綱昇進

ついに、キセノンこと稀勢の里が初優勝を果たした。いやあ、長かった。これまでに何度も何度も優勝するチャンスがありながら、肝心なところで負けては優勝を逃し続けてきた経緯があるだけに、今回の優勝は本当によかったと思う。なにしろ、これまでに準優勝を12回もしているのだ。これだけ優勝争いに絡んでいながら一度も優勝できなかったというのは、かえってすごいことなんじゃないかと思えるくらいだ。

大関昇進後31場所での優勝は、これまでで最も遅い記録らしい。稀勢の里がこうして優勝できたのは、去年の初場所で琴奨菊が優勝したことが大きな要因だったと思っている。ライバルの優勝に刺激を受けて、次の場所では13勝を挙げて優勝争いに絡んだ。稀勢の里だけではなく、それまでカド番を繰り返していた豪栄道までもが12勝を挙げたのだから、琴奨菊の優勝が大きな刺激になったことは間違いない。

しかし、今回の優勝は、稀勢の里が強くなったからというよりは、多分にラッキーな面があったことは否定できない。中盤で日馬富士と鶴竜が相次いで休場したり、終盤戦の重要な一番になるかと思われた豪栄道戦でも不戦勝を拾ったりと、稀勢の里にとってはかなりラッキーな展開になった。まあ、条件は他の力士も同じわけだから、すべてがラッキーだったということではないけれど。

ラッキーといえば、優勝を決めた一番も、相手が貴ノ岩ではなく逸ノ城でよかったと思う。馬力のある貴ノ岩に下から潜り込まれて攻められたら、腰の高い稀勢の里としては苦戦を強いられただろう。逸ノ城の場合、体は稀勢の里よりも大きいけれど、非常に素直な相撲を取るから、普通に組み合う展開になればまず問題はないだろうと予想していた。

さて、これで優勝は決まったわけだけれど、横綱昇進についてはどうだろうか。先場所は一応準優勝だったけれど、優勝した鶴竜とは星の差2つということで、最後まで優勝争いに絡んだとは言いづらい。協会側も、レベルの高い優勝ならば昇進の可能性はあるという言い回しで、今場所が綱取り場所であると明言したわけではない。

これを書いている時点では、白鵬との取り組みの結果はまだわからないけれど、その結果がどうであれ、稀勢の里は横綱に昇進すると断言しておこう。まず、千秋楽で白鵬に勝てば、14勝1敗で文句なしに横綱に昇進するだろう。これは絶対に間違いない。横綱が二人休場していて、豪栄道との取り組みも不戦勝というラッキーな優勝ではあるけれど、数字だけ見れば横綱昇進には十分だ。

問題は、千秋楽で白鵬に負けた場合だが、その場合でも、いろんな理由を付けて横綱に昇進させる可能性が高いと思う。なぜならば、相撲協会としては、看板となる和製横綱がほしくてしかたがないからだ。2場所の成績が、12勝3敗と13勝2敗では、数字としてかなり見劣りがするけれど、今回昇進を見送ったら、来場所また優勝できるとは限らない。むしろ、今回を逃したら、もう昇進するのは無理だろう。

だから、先場所は横綱3人をすべて倒したとか、去年は年間最多勝をとったとか、そういった稀勢の里に有利な条件を挙げ連ねて、横綱に昇進させるだろう。そもそも、稀勢の里はずっと前から協会にひいきにされてきた経緯がある。大関に昇進したときも、直前3場所の成績が10勝、12勝、10勝と、基準とされる33勝には届かなかったにもかかわらず、千秋楽の勝敗を待たずに昇進が内定したという経緯がある。

その直前に大関に昇進した琴奨菊の場合、11勝、10勝、11勝という成績を挙げたにもかかわらず、「もう1勝ほしい」という理由で昇進を見送られている。次の場所で12勝を挙げて見事に昇進するわけだけれど、これなんかは稀勢の里がひいきされているという典型的な例だ。つまり、協会としては、当時から琴奨菊ではなく稀勢の里に綱を張ってほしいと考えていたわけだ。

豪栄道の場合は、12勝、8勝、12勝ということで、稀勢の里と同じ32勝で大関に昇進したわけだけれど、これはひいきされているということではなく、3場所のうち12勝が2場所で昇進させないのはおかしいという理由だろう。ひいきどころか、豪栄道も琴奨菊と同じように、協会からは横綱昇進の期待はかけられていないといっていいと思う。

先場所の8日目、豪栄道にとっては綱取りとなる場所で、微妙な判定で隠岐の海に敗れた。軍配は豪栄道に上がったものの、物言いがつき、結局は行司差し違えということになった。自分もこの取り組みは何度もスローで確認したけれど、何度見ても豪栄道が勝っているように見える。少なくとも、同体取直しにすべき内容で、豪栄道の負けはないと思う。これを見たときに、協会は豪栄道を横綱にしたくないんだなと思った。

ということで、協会としては、なんとしても稀勢の里に横綱になってほしいと思っているわけだ。しかも、横綱になるのは琴奨菊でも豪栄道でもなく、稀勢の里でなければならないと思っているのだ。であれば、このチャンスを逃すわけがない。どんな理由を付けてでも、稀勢の里の横綱昇進をゴリ押しするだろう。それは横綱審議会としても同じことで、ポーズとして多少の反対意見は出るかもしれないが、結局は昇進させるだろう。

まあ、そういう面倒なことにならないように、今日の白鵬戦には絶対に勝ってもらいたい。個人的には、稀勢の里が勝つだろうと予想している。優勝というプレッシャーからは解放されたわけだから、思い切っていけるはずだ。逆に、白鵬としては勝ったところであまり意味はない。最近の白鵬は、消化試合みたいな取り組みで力を抜くようなところがあるから、今日もそんな感じになるのではないだろうか。

ただ、横綱昇進のことを意識すると、いつものようにガチガチに緊張してしまうという可能性もなくはないが、まあ普通に考えれば勝つだろう。最後の最後で負けて優勝賜杯を手にするというのは、どう考えてもしまらない。ただ、ここ一番で負けてしまうのがキセノンのキセノンたる所以なので、あまり期待しすぎることなく結果を待つことにしよう。とりあえず、おめでとうキセノン。



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