16/06/26

イギリスがEUから離脱するんだってさ

少し前から突然盛り上がってきた感のあるイギリスのEU離脱問題は、なんだかんだの紆余曲折を経て離脱派の勝利となった。ちょっと前に行われたペルーの大統領選挙も大接戦だったけれど、今回の国民投票も事前の調査段階から大接戦で、残留派の国会議員が殺されるというショッキングな事件も交えながら、本当に最後の最後まで予断を許さない展開になった。

投票当日の朝のニュースでは、投票後の有権者に対する調査を行った結果、残留派がリードしているということだったので、安心して仕事に向かった。日本から遠く離れたイギリスでの出来事だから自分には関係ない、なんていう考え方は、いまのグローバルな社会では通用しない。世界第5位の経済規模を誇るイギリスがEUから離脱するとなれば、日本にも何らかの形で影響が及ぶことは必至だ。

会社に着いてネットでニュースをチェックしても、どうやら残留派が有利というのは間違いないようだ。安心して仕事に取り掛かり、この問題についてはそのまま忘れていたのだが、お昼から帰って何気なくニュースをチェックしてみると、一転して離脱派の勝利が確定的となっていたので驚いた。投票後の出口調査(実際にはネットで調査したらしいけど)では残留派が有利だったはずなのに、いったい何がどうなってしまったのか。

大阪都構想の是非を問う住民投票でも、同じような衝撃を味わった。テレビの開票速報では、賛成派が反対派をわずかにリードしていて、このまま賛成派が逃げ切るのかと思っていたら、何の前触れもなくいきなり「反対派の勝利が確実」というテロップが大写しになったので、いったい何が起きたのかすぐには理解できなかった。テロップの間違いかと思ったくらいだ。今回の結果は、それ以上の衝撃だった。

株価をチェックしてみると、1,000円を大きく超える下げ幅で、まさに大暴落だ。円相場も100円を切りそうな勢いで激しい値動きになっている。最終的には102円台にまで持ち直したが、おそらく日銀が介入したのだろう。そうでなければ、あっさりと90円台に突入していたはずだ。とにかく、なんだかすごいことになっている。イギリスがEUから離脱することが決まったというだけなのに、世界経済はすでにパニックに陥っているかのようだ。

こうした状況を目の当たりにして、自分も一気に不安になってきた。もちろん、これからの日本経済がどうなるのかという不安もあるけれど、いま勤めている会社はイギリス資本の会社なので、本当に他人事ではない。ポンドが大暴落したというニュースなどを見るたびに、ウチの会社は大丈夫なんだろうかという不安が募っていく。ウソでもいいから、だれかに「大丈夫だから心配しないで」と優しく言ってもらいたい。

それにしても、普通に考えればEUに残っていた方がなにかにつけて得だと思うのだが、イギリス人にとってはそうでもないらしい。イギリスではユーロではなくポンドを使い続けていることを見ても、イギリスはEUの中で特別待遇を受けていることがわかる。つまり、これまではEUのおいしいところだけを利用してきたわけだ。それなのに、わざわざEUを離脱するというのはどういうことなのだろう。

移民の問題が大きいとか言われているけれど、結局のところは、イギリス人のプライドの高さが今回の結果につながったのだと思う。大英帝国として世界に君臨してきた歴史を持つ彼らとしては、EUという枠組みの中に取り込まれてルールを押し付けられるのがイヤだったのだろう。東欧あたりの貧しい国ならともかく、自分たちはEUなんぞに頼らなくてもやっていけると考えたのだろう。

この判断がどういう結果をもたらすのか、いまのところはわからないけれど、日本の株価は暴落するし、円相場は急激な円高になるし、ポンドは暴落するし、アメリカの株式市場でも大幅に値を下げるしで、いったいだれが得をしているのかわからない状況だ。損をしている人がいれば、その分だけ得をしている人が必ずいるのがこの世の常のはずなのに、今回はだれも得している人がいない。

そもそも、イギリスは国内に矛盾を抱えている。自分たちはEUからの独立を選択したけれど、スコットランドや北アイルランドの独立は絶対に認めようとしない。それは筋が通らないんじゃないのと思ってしまう。今回のような結果になってしまったからには、スコットランドと北アイルランドの独立問題がまた盛り上がってくることは間違いないだろう。まあ、自業自得といってしまえばそれまでだけれど。

とにかく、こういう大事なことを国民投票で決めるという発想がおかしい。「国民主権」といえば聞こえはいいけれど、きちんと考えて投票する国民ばかりではない。むしろ、その場の雰囲気や周囲の勢いに乗せられて、深く考えないままに投票する人が多い。それは、アメリカでトランプという危険な人間が圧倒的な支持を得て大統領候補になったことを見れば容易に理解できる。

こういう大事なことは、政治のプロである政治家が主導して決めればいいだけのことだ。一般の国民なんて、普段は政治や経済のことには興味がない。消費税の増税とか舛添さんの問題とか、自分に直接関係することやゴシップ関係のニュースのときにだけ関心を持ち、それ以外のことについては、「政治や経済のことなんて、ちょっと難しくて面白くもないから興味がない」と思っている人がほとんどだ。

EUからの離脱という重要な問題を国民投票で決めるという選択をしたキャメロン首相は、そのあたりのことにまで考えが及ばなかったのだろう。かなりのイケメンなのに、辞任することになって残念だ。正直なところ、今回の件については、自分勝手なことをして周りに迷惑をかけるなよと思わないでもない。というか、強くそう思う。いまの会社も含めて、イギリスがこの先どうなっていくのか心配だ。



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