16/06/12

都知事選でまともな人が選ばれない理由

舛添さんに対する追及が一向に収まらない中、関東地方はひっそりと梅雨入りしたらしい。テレビでは、毎日のように舛添さんに関するニュースばかり流れているから、関東地方が梅雨入りしたなんて知らなかったよ。というのはもちろんウソだけれど、そんな人もいるんじゃないかと思うくらい、舛添さんに対するバッシングが激しい。なので、そのことについて少しだけ自分の考えを書いておきたい。

この報道が始まった直後は、とんでもない話だと思った。大名旅行のような海外出張や、だれが聞いてもウソだとわかるようなホテルでの会議や、公用車を使っての別荘通いなど、どれをとってもひどい話で腹が立った。都知事として普通に高い給料をもらっているにもかかわらず、都民の税金で私腹を肥やそうとするなんて、どれだけ厚かましいのだろう。

釈明会見もヒドかった。会社で仕事をしながら、ネットで会見のライブ中継を見ていたのだが、どんな質問に対しても、最初から最後まで「第三者の厳しい目で」というフレーズを繰り返すばかりで、何も答えようとしないのにはあきれた。「舛添さん自身はどう思うか」という質問に対しても同じフレーズで逃げたときには、「自分がどう思うかを答えりゃいんだよ」と、思わず心の中で大声で突っ込んでしまった。

その後の会見もヒドかった。この会見もライブで見ていたのだが、1時間の会見時間のほとんどを無味乾燥な説明にあて、肝心の質疑応答はほとんどなかった。最初からそういう作戦だったのだろうが、ちょっとひどい。ただ、途中で弁護士さんが逆切れしたのは面白かった。あれでは、公正な第三者ではなく、はっきりと舛添さん寄りの弁護士だと言っているようなものだ。この会見は間違いなく逆効果だった。

「不適切ではあるが違法ではない」というフレーズも、なんだかなと思ってしまう。素人からすると、これだけのことをしても法律に引っかからないのかと思ってしまうが、政治資金規正法なんていう法律は、政治家が自分たちのために都合よく作った法律だから、こういうザル法になってしまうのだろう。とりあえず、「不適切ではあるが違法ではない」、「違法ではないが不適切」というフレーズは、今後流行りそうな気がする。

ということで、最初は自分も舛添さんには辞任してほしいと思っていたが、最近の行き過ぎたバッシングを見ると、そろそろ許してやれよという気がしてきた。今回の件に限ったことではなく、最近は何かあるとすぐに集中的にバッシングが始まるから怖い。インターネットが普及したことがそれを助長しているわけだけれど、こういう傾向がこれからも続くのかと思うと、少し怖くなる。

今回の件についても、最初は純粋に舛添さんに対する怒りが噴出した感じだったけれど、最近は舛添さんに対する怒りを持続させるための燃料が切れかけているにもかかわらず、雰囲気だけでバッシングを続けているような感じだ。マスコミの報道にしても、最近はなんだか面白がっているような気がしないでもない。こうなってくると、ちょっとしたイジメだ。

それにしても、どうして都知事にはまともな人が選ばれないのだろうか。「まともな人」というのは、普通に仕事ができる人という意味で、ほかに含むところはない。自分の記憶の中では、青島幸男が都知事になってからそうした傾向が続いているような気がする。青島さんは、公約通りに都市博を中止しただけで、それ以外の仕事はほとんどしなかった。しなかったというよりは、できなかっただけかもしれない。

石原さんは、個人的には嫌いな政治家ではないけれど、4期16年は長すぎる。ああいう偏った考え方を持っている政治家が16年もの長きにわたって都知事という要職に就いていたというのは、よく考えてみれば異常な事態だ。ロシアのプーチンがずっと大統領を務めているのと同じようなもので、いろいろな意味で危なくてしかたない。日本の中に東京という独裁国家が存在しているようなものだ。

石原さんの後任の猪瀬さんも、カネの問題で辞任に追い込まれた。せっかく東京オリンピックの招致に成功して評価が高くなっていたのに、つまらないことで都知事を辞めざるを得なくなった。その後を受けて、クリーンなイメージをアピールして当選したのが舛添さんだっただけに、余計にバッシングも激しさを増しているのだろう。自業自得とはいえ、大変なことだ。

どうしてこういう人たちばかりが都知事に選ばれてしまうのかといえば、だれに投票していいかよくわからない人たちが知名度だけを頼りに投票してしまうからだ。だれなのかよくわからない人に投票するよりも、メディアによく出ている有名人の方が、なんとなくよさそうに思える。自分で調べるという面倒なことはせず、イメージだけでなんとなく投票する人が多いから、こういうことになる。

候補者を担ぐ政党としても、そのあたりのことはよくわかっているから、その人の能力なんて二の次で、とにかく知名度の高い人を立候補させる。要するに、有権者のことをバカにしているわけだ。まあ、バカにされても無理はない。なにせ、山本太郎なんていうとんでもないバカを国会議員にしてしまったくらいだから、いかにテキトーに投票しているかがわかるというものだ。

そういう意味では、日本の総理大臣が直接選挙で選ばれるシステムでなくてよかったと思う。政党の勝手な都合で総理大臣がコロコロ変わるのは勘弁してほしいけれど、その代わりにトランプさんみたいなおかしな人が雰囲気だけで総理大臣に選ばれることはない。直接選挙というと、いかにも民主主義的で素晴らしいことのように思えるけれど、今回の舛添さんのようなこともあるから、いいことばかりでもない。

それはともかく、舛添さんを降ろして新しい都知事を選ぶにしてもまたカネがかかるし、今回の件では本人もさすがに少しは反省しているだろうから、このまま舛添さんに都知事をやらせておけばいいと思う。自主的に給料も減らすらしいし。結局のことろ、都知事なんてだれがなっても同じことだ。実務は優秀な役人がしっかりとやってくれるわけだから。



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