16/03/27

株とりなめこと春キャベツ

今場所の稀勢の里はいままでと違うなと思っていた。それを強く感じたのが、琴奨菊との対戦だ。キセノンとしては珍しく、立ち合いで変化して叩き込みで勝ったわけだけれど、何がなんでも勝ちたいという強い意志が表れていた一番だった。この取り組みを見たときに、今場所のキセノンは本気で優勝を狙っているなと感じて、非常に期待が高まった。

しかし、横綱戦で連敗してしまい、優勝の可能性はほぼなくなった。いまの時点では、優勝決定戦に持ち込んで勝つという可能性も残っているけれど、99パーセント無理だろう。肝心の直接対決で負けていては、優勝なんてできるわけがない。今場所のキセノンは違うと感じたのはやっぱり間違っていて、今場所のキセノンもやっぱりいままでのキセノンと同じだった。

それにしても、今場所の白鵬は全盛期を思い起こさせるような強さだ。初日こそ雑な取り組みで星を落としたけれど、そこから目が覚めたような感じでいつもの強さを取り戻した。それというのも、解説の北の富士が初日の取り組みで「白鵬も衰えましたね」みたいなことを言ったから白鵬もカチンときて本気を出したのだろう。まったく、余計なこと言うなよ、勝昭。

ということで、最近は株とりなめこにはまっている。株とりなめこというのは、普通のなめこのように石突の部分を切った状態で売られているものではなく、しめじのように一株丸ごとの状態で売られているなめこのことだ。これが、コリコリとした食感で非常に美味い。普通のなめこよりもぬめりが少ないので、コリコリした食感がさらに楽しめるのがいい。

なめこは最初からぬめりがあるものだと思っていたが、株とりなめこを見る限りでは、そうではないらしい。キノコ類は胞子を飛散させて繁殖していくわけだから、なめこはあんなにヌメヌメの状態でどうやって胞子を飛ばしているのかと不思議に思っていたけれど、株とりなめこのヌメヌメ程度なら、十分に胞子を飛ばせそうだ。これまでの疑問が一つ解決してちょっとうれしい。

ただ、なめこというのは味噌汁以外の用途があまりないのが惜しい。あのぬめりのせいで、炒め物にするわけにもいかず、鍋にいれるのもイマイチだしということで、「まあ、味噌汁に入れるかなめこおろしあたりが妥当でしょうな」、「このヌメヌメのせいでご迷惑をおかけしてすみません」、「いやいや、そのぬめりがいいんだから、あまり気にしないで」というやり取りの末、いまのポジションに落ち着いたのだろう。

子供の頃は、なめこを食べることはほとんどなかった。なめこに限らず、シメジやエノキもほとんど食べたことがなかった。なにしろ、実家はシイタケ農家だから、家で食べるキノコは必然的にすべてシイタケということになる。いまでこそシイタケは大好きだけれど、子供の頃は大嫌いだった。いつもシイタケを食べさせられていて、それがマズかったからだ。

当然だけれど、美味いシイタケは美味い。しかし、そういう良いシイタケは優先的に売り物として出荷することになり、家で食べるシイタケは売り物にならないようなクズシイタケばかりになるから、美味いわけがない。家で食べるシイタケといえば、傘が大きく開ききったようなものばかりで、そういうシイタケが食卓に乗っているのを見るたびに、心の中でゲンナリしていた。

株とりなめこと同じくはまっているのが春キャベツだ。葉っぱがガサガサになっている春キャベツがスーパーの野菜売り場にどどーんと積まれているのを見ると、つい足を止めてしまう。それが安い値段だったりすると、まだ家の冷蔵庫の中にキャベツが残っているにもかかわらず、つい手に取って買い物かごに入れてしまう自分がいる。

春キャベツの一番の魅力は、葉っぱが柔らかくて甘いことだ。普段売られているキャベツとはまったく別物と言っていいくらいに、味も食感もまったくちがう。春キャベツを噛みしめると、春が来たんだという喜びが体中に静かに染みわたっていく。逆に、春キャベツが店頭から消えると、大好きな春が終わってしまったと感じてしまい、なんだか寂しくなる。

キャベツを選ぶ場合、普段なら巻きがしっかりしてずっしりと重いキャベツを選ぶけれど、春キャベツの場合は逆だ。なるべく巻きがゆるやかで、手に取ったときに軽いと感じるものを選ぶようにしている。春キャベツの場合は、そういうキャベツの方が美味い。とにかくキャベツという野菜は、煮てよし、焼いてよし、生でもよしという万能選手だ。なんというか、ものすごい安定感がある。

春キャベツの時期になるとヘビーローテーションで作る料理があるので紹介したい。それはキャベツ丼だ。春キャベツをフライパンで炒めて軽く塩コショーを振り、熱々のご飯に乗せ、その上からかつお節を振りかけて醤油をタラリと一周かければ完成だ。料理というほどのものではないけれど、時間がない平日の朝でも簡単に作れる手軽さがいい。ぜひお試しあれ。



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