16/02/07

クスリと賭博

清原が覚せい剤所持の容疑で逮捕されてからというもの、メディアはこの事件の報道一色になっている。取材を受けた関係者は一様に「驚いた」とか「ショックだ」とか言っているけれど、ウソつけという感じだ。本心では、「やっぱりな」と思っている人がほとんどだろう。最初に報道を見たときには自分も驚いたけれど、次の瞬間には「やっぱりなあ」と感じた。

現役時代の清原は、特に好きでも嫌いでもなかった。ただ、自分は桑田のファンだったので、KKコンビの片割れの清原にも頑張ってほしいという気持ちはあった。しかし、巨人に移籍して肉体改造に取り組んだあたりからなんだか危ないイメージになってきて、「番長」というキャラクターが定着してからは、どうにも好きになれなくなった。単純に言うと、バカっぽい感じが嫌いだった。

現役を引退してからはどんどんとイメージが悪くなり、見た目はその筋の人と変わらなくなってしまった。だから、2年前に週刊誌で清原の薬物疑惑が報道されたときも、いまの清原ならそんなこともあるだろうな、くらいの感じだった。現役選手という枷が外れて、やんちゃしたくてしかたなかったのだろう。大学デビューとか社会人デビューならまだしも、中年デビューというのはイタすぎる。

今回の事件では、専任チームが2年も前から内偵を進めていたらしいが、そこまでする価値があるのかと思ってしまう。初犯だから、清原には間違いなく執行猶予がつくだろう。これだけの時間と労力とお金をかけながら、刑務所に送ることさえできないわけだ。こんなことに貴重な税金を使うくらいだったら、もっと有意義なことに使ってもらいたい。

清原自身は自業自得だからしかたないとしても、まだ小さい子供たちがかわいそうだ。こんな微罪で(と書くと怒られるかもしれないが、量刑的に見た場合、正真正銘の微罪だ)、清原の家族の人生まで大きく変えてしまっていいのだろうか。それに値するような大きな罪だろうか。有名人だから、見せしめのために逮捕されたのだろうけれど、なんだかかわいそうな気もする。

そもそも、薬物の何がいけないのかと考えると、罪に問われるべき理由がよくわからない。罰というものは、他人に危害や損害を与えた報いとして受けるものだと思うが、薬物に関しては、自分の身体と精神をむしばむものであって、直接他人に危害を与えるものではない。極端な話、自分ひとりで楽しむだけだったら、罪に問われるべきものでもないのでは、と思ってしまう。

薬物と比較した場合、その害のレベルはかなり落ちるけれど、アルコールだって同じようなものだ。長く飲酒を続けていれば立派な依存症になり、自分の意志の力だけではアルコールをやめられなくなる。こうした状態になれば、薬物依存症の人間とあまり変わらない。なのに、薬物に手を出した人間は問答無用で逮捕され、タチの悪いアル中が罪に問われることはない。なんだかおかしな話だ。

結局のところ、薬物が反社会的勢力の重要な資金源になっているという点が、最も問題なのだろう。だったら、覚せい剤を買っている人間を逮捕するのではなく、それを売っている側の人間を逮捕すべきだと思うのだが、それもなかなか難しいのだろう。その結果、多くの時間と労力とお金をかけながら、たったひとりの使用者しか逮捕できないということになる。なんてムダなことをしているのだろう。

薬物よりもよくわからないのが賭博だ。ノミ行為や裏カジノなどの違法賭博は問答無用で逮捕されてしまうけれど、胴元側も賭ける側もお互いに納得してギャンブルをしているわけだから、だれに迷惑をかけているわけでもない。たとえば、仲間内でポーカーをして現金のやり取りをしているところを警察に見つかったら逮捕されてしまうわけだけれど、これってかなりおかしな話ではないだろうか。

なにしろ日本には、競馬、競輪、競艇、オートレースという公営ギャンブルがそこら中にあるのだ。中央競馬なんて、人気があるタレントをCMに起用してさかんにイメージアップを図っているけれど、やっていることと言えば、25パーセントという詐欺みたいに高いテラ銭を巻き上げているだけだ。こんなに高いテラ銭で賭けたって、勝てるわけがない。どうやっても、胴元側が絶対に儲かる仕組みになっている。

つまり、賭博を禁止しているのは、仲間内で勝手に賭け事をされたら国にテラ銭が入らなくなるからという理由にすぎないわけだ。バクチをしたかったら、理不尽に高いテラ銭を払って公営ギャンブルをしなさいというのは、なんとも人をバカにした話だ。まあ、絶対に勝てないような条件のギャンブルにはまってしまう人間も、自業自得だとは思うけれど。

パチンコも純粋なギャンブルだと思うのだが、なぜか違法ではない。それは、警察の利権がからんでいるからだ。パチンコ業界と警察は、裏ではズブズブの関係でつながっているから、パチンコの違法性が問題になることはない。出玉をいったん景品と交換して、それから換金するという回りくどい方法で違法性を免れているだけのことだ。本当に姑息なやり方だと思う。

ということで、薬物にしろ賭博にしろ、その違法性にはイマイチ納得できないのだけれど(特に、賭博の違法性については納得できない)、これは別に自分が薬物や賭博をやりたいということではない。どちらもハマってしまえば取り返しのつかないことになるのはわかっているから、わざわざ自分から手を出そうとは思わない。そういう意味で、簡単に覚せい剤に手を出した清原なんかは、勇気のある人間だなと思ってしまう。




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