15/11/15

フリーランスで仕事をするということ

前回の覚書では脱サラの可能性を探ってみたが、その中で、「フリーランスの仕事だけはしたくない」と書いた。収入が安定しないフリーランスでは、精神的にも安定しないからイヤなのだ。しかし、もしいまの職を失ってどこにも転職できないという事態になったら、最後の選択肢としてフリーランスで食べていくことも考えなくてはならないとは思っている。

28歳から34歳くらいまで、フリーのシステムエンジニアとして仕事をしていたことがあるが、これはフリーとはいっても人材派遣の会社に登録していただけだから、純粋なフリーランスというわけではない。人材派遣の会社を通さずに派遣先の会社と直接雇用契約を結んだこともあったが、純粋にフリーランスとして働いたといえるのはそのときだけだ。期間にすればわずか1年半くらいにすぎない。

フリーというと聞こえはいいけれど、実際には大変だ。サラリーマンならどんなにヒマなときでも毎月一定の収入があるけれど、フリーの場合は仕事が来なければまったく収入がなくなるわけだ。その代わり、たくさん仕事が来ればその分収入が増えるけれど、一人でできる仕事量には限界があるから、どんどん仕事が来ればいいというものでもない。

翻訳業界はフリーランスの多い業界で、自分のように正社員として翻訳をしている人間は少ない。翻訳者と呼ばれる人間のほとんどが、フリーランスで仕事をしていると考えてもいいと思う。なぜフリーの人間が多いかといえば、翻訳者がフリーランスという働き方を選んでいるということもあるが、、そうしたことよりも、翻訳会社側の勝手な都合でそうなっている。

社内で翻訳者を抱えてしまうと、それだけ固定費がかかるわけで、仕事の薄い時期などはその固定費が負担になる。翻訳会社はどこも零細企業ばかりだから、少し仕事が減っただけで、たちまち死活問題につながる。そういう事情で、翻訳作業をフリーランスに外注して、社内では品質管理と工程管理を中心に業務を行うという流れになっている。要は、フリーの人たちは調整弁として機能しているということだ。

実は自分も、フリーランスとして翻訳の仕事をしている。いまの会社は特に副業を禁止されているわけではないので、週末限定でフリーの仕事を受けているのだ。とか言いながら、副業が禁止されていた前の会社でも、こそっとフリーランスの仕事をしていた。翻訳会社はとにかくどこも薄給なので、本業の収入だけで食べていくのはなかなか難しいという事情がある。

いまは週末だけ作業を受けているわけだけれど、仕事量の増減が激しくて、発注が来るときは毎週のように来るけれど、何の前触れもなくパタっと発注が止まることもある。フリーランスにとって何が怖いかといえば、発注が止まることほど怖いものはない。すべては翻訳会社の都合で発注されるわけだから、こちらとしてはどうしようもない。仕事が来ることをただひたすら祈るだけだ。

そんなわけで、打診のあった仕事は可能な限り受けることにしている。頭の中には、「もしかしたらこの仕事の後は発注がパタリと止まるかもしれない」という考えが常にあるから、仕事を断るなんてもったいなくてできない。これはちょっと無理かなと思うようなボリュームの仕事も、基本的にはすべてありがたく受けることにしている。

週末に仕事を発注されて、土日で仕上げるというのが基本的なパターンだが、水曜日くらいに発注を受けることもある。その場合は、土日の負担をなるべく減らすために、木曜日と金曜日の朝に早起きをして仕事をする。平日も週末もずっと仕事ばかりというのはやっぱりイヤだから、一日くらいは休みたい。そんなわけで、朝の3時とか4時に起きて仕事をすることもよくある。

これが会社の仕事だったら、朝の3時起きなんて絶対にできないけれど、フリーランスの仕事の場合はやる気が出てくる。会社の給料は年俸制だから、いくら仕事をしてももらえるお金が増えるわけではないのに対して、フリーランスの仕事は完全な出来高制だから、モチベーションが違ってくるのは当たり前のことだ。この仕事を仕上げればいくら入ってくるというのが明確にわかるのがいい。

IT翻訳の和訳案件の場合、標準的な作業量は1日あたり2,000ワードということになっている。ほかの分野はどうなっているかわからないが、どの分野もだいだいこれくらいのワード数が一般的だと思う。自分はけっこう仕事が早いので、1日あたり2,500ワードを目安にして仕事を受けている。3,000ワードでも問題なく対応できる。2,000ワードなら楽勝、3,000ワードはちょっと大変、くらいな感じだ。

これまでの最高記録は、1日4,800ワードだ。ただ、1日とはいっても、朝の4時くらいから作業を始めて夜の7時くらいまでかかったから、純粋な8時間労働というわけではない。12時間くらいはかかったと思う。1時間あたりの作業量でいえば400ワードくらいだから、特別に速いというわけでもない。ただ、これだけの長時間労働でも作業スピードが落ちなかったというのは、自分でも大したものだとは思う。

このときは、2日分として受けた仕事を無理やり1日で仕上げた。なぜそんな無理をしたかといえば、翌日の日曜日が快晴になるという予報が出ていたので、どうしても外出したかったからだ。曇りや雨の日に自宅にこもって仕事をするのはまったく苦にならないが、きれいに晴れている日に家で仕事をするというのは、ものすごく苦痛だ。外に出たくてしかたなくなる。

昨日も自宅で作業をしたのだが、一日中雨が降っていたので、心穏やかに仕事をすることができた。今日も雨が降っているけれど、仕事はもう終わってしまったので、今日は一日ダラダラ過ごそうと思う。おかげで、この覚書もゆっくりと書くことができる。覚書が更新されていないときは、フリーランスの仕事で忙しいんだなと思ってください。



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