15/10/12

パチスロ雑誌を読んでみた

今年も日本人がノーベル賞を受賞した。素晴らしい。同じ日本人として誇りに思う。なにしろ、2000年以降の自然科学部門の受賞者数に限定すると、アメリカに次いで日本が2位だというのだから素晴らしい。でも、このところ毎年のように受賞者が出るから、受賞して当たり前みたいな気がしてきて、ありがたみが薄れているような感じもする。

それと同じように、村上春樹が落選してハルキストたちが落胆する風景も、毎年の風物詩になってきた。熱心なハルキストたちがどこかのお店に集まり、ノーベル文学賞の発表をワクテカ状態で待っているところに、別の人が受賞したというニュースが入ってきて一斉に落胆する姿は、何度見ても笑える。もうそっとしておいてやれよ。きっと、村上春樹本人も迷惑しているだろう。

そんな感じで世間が盛り上がっているときに、自分は街中で拾ったパチスロ雑誌を読んでいた。パチンコ業界の動向に少し興味を持ったことがあって、ネットでちょこっと調べたり、図書館でパチンコ関連の本を読んだりしたことはあったけれど、コンビニなどに置いてあるいかにも低俗な雰囲気を醸し出している雑誌はこれまで読んだことがなかった。

早速読んでみたが、意味がさっぱりわからない。マンガ雑誌なので、絵があればなんとなくわかるだろうと思っていたのだが、これが面白いくらいにわからない。「ゴッピーのみ384Gでやっとペカ」、「設定6の合算127分の1なんで、もっとサクサク当たってほしい」、「G-STOP 3G後にGOD!!」などなど、呪文のようなセリフのオンパレードだ。

呪文といえば、「ラーメン二郎」が思い浮かぶ。ビジュアル的には豚のエサみたいなラーメンだが、腹ペコヤングな男子を中心にカルト的な人気を誇っている。その二郎では、トッピングを注文するときに、「アブラ、ニンニク、カラメ、ヤサイマシマシ」みたいな呪文を唱えるらしい。初めての客にとってはこの呪文がハードルとなって、なかかな二郎デビューできないようだ。

自分もラーメンは大好きだけれど、きっと二郎には一生行かないだろうなと思っている。でも、豚のエサみたいなビジュアルのラーメンにあれほど熱狂的なファンが多いというのはやっぱり気になる。もしチャンスがあれば、一度くらいは食べてみたい気もする。ということで、注文の仕方を調べてみた。何事も準備が重要だ。いつチャンスが訪れないとも限らない。

二郎というのは、どこも行列必至の人気店だから、店の前で並んでいるときにラーメンの「小」にするか「大」にするかをまず聞かれるらしい。「小」といっても、普通のラーメン屋の倍くらいの量があるというから、ここは大人しく「小」と答えればいい。問題はカウンターに座ってからだ。お店の人から「ニンニク入れますか?」と聞かれたら、いよいよ呪文の登場だ。

ここで、二郎デビューだからとビビって、何も注文しないのも悔しい。だからといって、いきなり「ニンニク、カラメ、ヤサイマシマシ」などと通ぶって注文したら、絶対に食べきれないことは目に見えている。ここは、「カラメ、ニンニク」とサラっと言ってみよう。これなら、素人っぽくは見えないのではないだろうか。とりあえず、頭の中ではここまでシミュレーションできている。あとは、実際に行動を起こす勇気だけだ。

ものすごい勢いで話が逸れてしまった。二郎の呪文ではなく、パチスロの呪文に話を戻そう。「ゴッピーのみ384Gでやっとペカ」、「設定6の合算127分の1なんで、もっとサクサク当たってほしい」、「G-STOP 3G後にGOD!!」などの呪文の中で自分にもなんとかわかるのが、「設定6」というキーワードだ。これはネットで勉強したからわかる。

パチスロには1〜6までの設定があって、設定1は最もシブい台で、設定6は最も甘い台ということになる。パチスロの必勝法とは、思い切り簡単に言うと、設定6の台を見つけてひたすら長時間粘るということだ。最近のパチンコやパチスロにはテクニックなんて必要なくて、当たるか当たらないかは単純に確率の問題らしい。だから、出る確率の高い台で長時間粘れば、それだけ回収率も高くなる。

しかし、「この台は設定6です」なんて親切な貼り紙がしてあるわけではないから、自分で実際に打ってみて、その台が高設定の台かどうかを判断しなければならない。それを判断する方法はいろいろとあって、このあたりがテクニックといえるのかもしれない。しかし、そうした方法はどれも難解なものばかりで、読んでいてもまったく理解できない。

理解できないということで言えば、そもそもパチンコやパチスロにはまるということが理解できない。ロードバイクで走っている途中で、トイレを借りるためにパチンコ屋に入ることがあるけれど、いつも行ってもあの独特な雰囲気に圧倒される。外はものすごく爽やかに晴れているのに、なぜ轟音が鳴り響くタバコ臭い場所で貴重なお金をドブに捨てているのだろう。

パチンコ屋の従業員の態度も嫌いだ。何が嫌いかといえば、あのわざとらしいくらいに丁寧な接客態度だ。客とすれちがうときに軽く会釈したり、台に座って売っている客の横で片膝を折って話を聞いたり、いちいちへりくだっているのが気持ち悪い。客から金をむしり取っているという引け目があるから、ああいう過剰な接客になるのだろう。本当に気持ち悪い。

ということで、パチスロ雑誌を読んで思ったことは、パチスロにはまる人たちの情熱はすごいということだ。呪文のような専門用語を覚える情熱もすごいし、平日の朝早くから周囲の目も気にせずパチンコ屋の前に並ぶ情熱もすごい。その情熱の何割かを本業で発揮すれば、もっと違う人生もあるんじゃないか、などと余計なことをいつも考えてしまう。パチンコ屋なんてなくなればいいのに。



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