15/08/09

熱中症とゲリラ豪雨

いつものことだけれど、今年の夏は特に暑い。なるべく日陰を選んで歩いているのに、駅に着いたときにはもう汗だくになっている。比較的涼しい朝でさえこうなのだから、昼間はもっと大変だ。太陽に向かって歩くと、暑いというよりは痛い。こんな日に外で働いている人を見ると、心の底から「おつかれさまです」と思ってしまう。エアコンの効いた屋内で仕事ができる自分は幸せ者だ。

ということで、この季節になると、ニュース番組では熱中症とゲリラ豪雨についての報道ばかりになる。自分は、19時からのNHKのニュース番組を毎日録画して見ているのだが、毎日のトップニュースが熱中症やゲリラ豪雨のニュースばかりなので、いい加減に飽きてくる。ニュースとして放送するのはかまわないけれど、トップニュースとして放送すべき重要なニュースはほかにもあるだろう。

さらにうんざりするのが、熱中症の予防策についての説明だ。エアコンを使って水分をこまめに摂るようにしてくださいと、何年も前から同じことばかり聞かされているものだから、うんざりを通り越してなんだかイライラする。いちいち言われなくても、だれだって暑ければエアコンをつけるし、喉が渇けば水分を摂る。この前テレビで言っていたから、エアコンをつけて水分を摂らなきゃ、なんて思う人はいない。

それにしても、熱中症という言葉は最近になって使われるようになったもので、以前は「日射病」とか「熱射病」などと言っていた。自分が子供の頃は、いまみたいに熱中症で騒ぐような世の中ではなかったから、暑さに対する恐怖心みたいなものはなかった。なにしろ、運動中に水を飲むとかえって疲れるから飲まないほうがいいという迷信が広く信じられていた時代だった。

この言葉に従って、真夏の炎天下でも、野球部の練習中は水を飲むことが禁止されていた。練習中は、暑さと喉の渇きでとにかく大変だった記憶がある。練習が終わると、みんな水道の蛇口を目指して猛ダッシュしたものだ。生ぬるい水道水があれほど美味く感じたのだから、どれだけ喉が渇いていたかということだ。いまから考えると、よくだれも倒れなかったものだと思う。

大学生になって上京したときには、東京はなんて暖かいのだろうと感動したけれど、その分夏の暑さも半端ではなかった。田舎ならば、昼間は暑くても、夜になればだいぶ涼しくなる。窓を開け放しておけば、暑くて眠れないということはまずない。しかし、東京の場合はまったく違って、昼間の暑さが夜になってもそのまま残っているような感じだ。

学生の頃は何度か引っ越したが、エアコンのある部屋に住むような余裕なんてなかったから、4年間をエアコンなしで過ごした。いまほど猛烈な暑さではなかったにしろ、よくエアコンなしで耐え抜いたものだと感心する。前の住人から譲り受けた冷蔵庫が、夏になると冷えが悪くなり、冷凍庫に製氷皿を入れても表面しか凍らなかったことを思い出す。

せめて昼間くらいはどこかで涼めればいいのだが、大学3年と4年の夏は害虫駆除のアルバイトをしていたので、それもできなかった。シロアリ、ユスリカ、ダニ、ネズミ、ゴキブリなどを駆除する仕事で、屋内で作業することもあるけれど、基本的には屋外での作業になる。当時は、朝から晩まで、まったくエアコンの空気に触れることなく生活していたことになる。

社会人になると、会社が用意してくれたアパートの部屋にエアコンが付いていたので、ようやく快適な夏を過ごせるようになった。しかし、当時はまだクールビズなんていう習慣はなく、真夏でもワイシャツにネクタイ姿で仕事をしていた。電車にしても、まだ冷房車は少なく、天井についている扇風機が車内のぬるい空気をかき回しているだけという電車も多かった。

こうして考えてみると、いまは本当に快適になったと思う。夏は暑苦しい格好をしなくてもいいし、駅に着いて電車に乗りさえすれば、快適に冷えた車内で汗が引くのを待てばいい。地球温暖化のせいで、とんでもなく暑くなってはいるけれど、行き帰りの徒歩さえ我慢すれば、あとはエアコンのお世話になればいいだけだ。

しかし、ゲリラ豪雨の場合はそういうわけにはいかない。こればかりは手の打ちようがなくて、なるべくおとなしい感じで降ってもらえませんかと、天に向ってお願いするくらいしかできない。本当に「バケツをひっくり返したような」という表現がピッタリで、一度降り出すとものすごい勢いで降ってくる。急に空が暗くなったら要注意で、屋外にいる場合はすぐにどこかへ避難しなければならない。

幸いなことに、ゲリラ豪雨で直接の被害に遭ったことはないけれど、10年くらい前に本八幡に住んでいたときに、会社からの帰り道で道路がすっかり冠水していて、くるぶしあたりまで水に浸かりながら帰った覚えがある。ゲリラ豪雨のニュースでも、冠水した道路や水浸しになった地下鉄の駅などがよく画面に映し出されるけれど、従来の排水能力ではもはや対応できないということだろう。

熱中症にしろゲリラ豪雨にしろ、その原因は地球温暖化にあるわけで、このまま温暖化が進んでいけば、熱中症もゲリラ豪雨もさらに被害が大きくなるだろう。ゲリラ豪雨だけならまだしも、台風だってさらに大型化するかもしれない。自分が上京してきた頃にくらべると、確実に気候が変化していることがわかる。わずか20年間でもそう感じるのだから、この先20年後にはさらに加速していそうな気がする。



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