15/03/29

花見で一杯

今年もやっぱり桜が咲いた。春になると毎年当たり前のように花を咲かせる桜は偉いなと思う。毎年当たり前のように歳を取るだけでまったく花が咲かない自分とは大違いだ。千葉市の桜はまだ咲きはじめたばかりという感じだが、都内の桜は明日にも満開になるようだ。ということは、今日あたり都内の桜の名所はどこも花見客でいっぱいだろう。

改めて考えてみると、自分はこれまでに花見をいうものをしたことがない。ここで言う花見とは、桜の木の下でシートを広げて何人かで宴会をするという由緒正しい花見のことだ。そう、自分はこれまでの48年間の人生において、この由緒正しい花見というものをただの一度もしたことがないのだ。この年代の男子として、これはかなりのレアケースではないだろうか。

そもそも、自分が生まれ育った田舎には、春に花見をするという習慣がなかった。春になると、とにかく農作業で忙しくて花見どころではないというのがその理由だ。だから、小学校の運動会も、秋ではなく、農作業が一段落つく6月に開催していた。秋は秋で、また稲刈りなどの農作業で忙しくなるから、消去法的に6月開催ということになったのだろう。

まあ、子供の頃に花見をしようなんて思うわけもなく、桜にも特に興味を持たないまま大人になったわけだけれど、桜が好きになったのは30歳を過ぎたくらいの頃からで、20代の頃は特に興味はなかった。そいうこともあって、花見をしようとは思わなかったのかもしれない。ただ、花見をするチャンスはないこともなかった。

新卒で入社した会社では、部やチーム単位で花見を開催していて、自分もそうした集まりに参加するチャンスはあったのだ。あれは入社して2〜3年目の頃だったと思うが、自分の部屋に男子が何人か集まって麻雀をしたことがあった。その日は金曜日で、翌日に大宮公園で部の花見大会が予定されていた。

事前の話し合いでは、麻雀は適当に切り上げて、翌日の昼から開催される花見に合流しようという予定になっていた。しかし、そんな約束もどこへやら、結局はいつものよう熱くなり、徹マンになってしまった。これからすぐに出かけようかという話にもなったのだが、結局は睡魔に勝てず、そのまま昼過ぎまで寝てしまい、花見には参加できなかった。

いまから考えてみれば、このときが自分が花見に最も近づいた瞬間だった。それ以降は、花見に誘われることもなく、自ら花見を企画することもなく現在に至るというわけだ。いまさらだけれど、若いうちに一度くらいは花見に参加しておけばよかったと思う。もしかしたら、このまま花見をすることなく死んでしまうのかと思うと、なんだか寂しい気がする。

そう思う一方で、花見なんてそれほど楽しくもないだろうという気もしている。花見には、いじましいというか貧乏くさいというか、そういうマイナスのイメージがあるのだ。まず、地面にシートを広げて座り込むというのがちょっといただけない。あんなに薄いシート一枚ではお尻が冷えて痛くなるだろうし、見た目もなんだか貧乏くさい。

また、場所の問題もある。広い公園なら問題はないけれど、川沿いの緑道などで花見をする場合は、なかなか広い場所がないから、どうしても無理矢理な感じの場所にシートを広げることになってしまう。緑道から一段下がった溝みたいな場所にすっぽりはまり込んで花見をしている人を見かけると、何もそこまでして花見をしなくても、と思ってしまう。

そして、最大の問題は食べ物だ。花見をしながら火を使うわけにはいかないから、出来合いのものをつまみに酒を飲むことになる。手作り弁当ならばそれなりに楽しいだろうが、コンビニなどで適当に買った乾きものなどをつまみに酒を飲むのはなんだかわびしい。それに、花見の時季はまだ寒い日もあるから、冷たいビールに冷えたつまみというのもなんだかお寒い感じだ。

そもそも、花見という行為自体が言い訳めいているのがどうかと思う。シートに座り込んで、今年もきれいに咲きましたなあ、なんて桜を見上げるのはせいぜい最初の1〜2分くらいのもので、あとはただひたすら飲み食いして無駄に脳細胞を溶かしていくだけだ。桜なんて本当はどうでもよくて、結局は酒を飲みたいだけなのに、桜をその言い訳に使うのがなんだかセコイ。

アウトドアで酒を飲みたければ、バーベキューに勝るものはないだろう。地面に座り込む貧乏くささもないし、目の前で焼いた熱々の肉や野菜をすぐに食べられるし、そもそも言い訳を考える必要がないのがいい。バーベキューの目的は、肉を食べて酒を飲むというだけのことだから、花見のように桜をダシに使う必要がない。なんともストレートで潔い。

などと言いながら、本音としてはやっぱり由緒正しい花見というものを一回くらいはやってみたい。冷えたビールと冷たいつまみでお寒い感じになりながら、桜のことは二の次で無駄に脳細胞を溶かしてみたい。そして、やっぱり花見なんて大して面白いものでもないな、などと言ってみたい。ということで、「死ぬまでに一度はやってみたいことリスト」に花見を追加しておくことにしよう。



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