15/01/18

オムニバスでいこう

今回は、オムニバス形式で書いてみたい。まずは、フランスで起きたテロ事件について。事件発生直後は、テロ犯を一方的に非難する報道ばかりで、「私はシャルリー」と訴える人が大挙してデモ行進を行っていたが、最近はその風潮に変化が現れている。つまり、風刺画を掲載したシャルリー・エブドの側にも責任があったのではないかという意見だ。

これはもっともな意見で、「表現の自由」という言葉だけで何でも許されていいわけがない。そもそもシャルリー・エブドの風刺画には、ユーモアではなく悪意や侮辱を感じる。だれでも笑える風刺画ならいいけれど、他人をバカにしたような風刺画では笑えない。日本人である自分にはよくわからないが、これが欧米人特有のユーモアのセンスなのだろうか。

シャルリー・エブドとは別のメディアだったと思うが、福島原発をネタにした風刺画がフランスのメディアに掲載されたこともあった。それは、放射能の影響で手足が3本ある奇形の力士が相撲を取っているという風刺画だった。このときは、西側の先進国でもこんなにデリカシーのないことをするメディアが存在するのかと、少なからずショックを受けた覚えがある。

まあ、おとなしい日本人を相手にするのならともかく、今回ばかりは相手が悪すぎた。それにしても、こんなに狂信的な集団を相手にして、挑発するような風刺画を何度も掲載していたわけだから、その勇気だけは感心する。なにしろ、相手はまともな理屈が通用しない狂気の集団だ。そんな集団に対して何度もケンカを売るなんて、よほどの勇気がなければできることではない。

対するテロ集団も、あまりにも大人げない。シャルリー・エブドなんて、発行部数が6万部の三流雑誌だ。日本で言えば、地域で無料で発行されているタウン誌レベルの発行部数だ。この発行部数では、フランス国民でさえ、今回の事件で初めて存在を知ったというくらいのマイナーな雑誌なのだろう。そんなマイナーな雑誌の風刺画にいちいち本気で腹を立てていては体がもたない。

次は、阪神淡路大震災について。毎年この時期になると、各メディアは阪神淡路大震災について報道するが、今年は発生からちょうど20年ということで、例年と比べて報道量が多くなっているようだ。ただ、その報道の内容はというと、街の様子だけはすっかり復興したように見えるが、地域住民の生活はそうではない、というおきまりの報道ばかりだ。

そんなことは当然で、何もかもが震災前の状態に戻るなんてことはありえない。現状の問題点を挙げればキリがなくて、不満なんていくらでもあるだろう。しかし、過去のことをいつまでも嘆いていてもしかたなくて、もっと前を向いていくことが大事なんだと思う。マスコミも、行政のやることにいちいちケチをつけるだけでなく、もっと前向きな報道をしてほしいといつも思う。

また、震災の記憶の風化を危惧する報道も多い。震災を体験していない世代が増えてきて、こういった世代の人間にどのようにして震災の記憶を伝えていくかが問題になっているらしい。これにしても、時代の流れとともに風化してくのはしかたのないことだと思う。こうした報道を見るたびに、無理矢理伝えていく必要もないだろうと思ってしまう。

などと書くと、お前は震災の被害に遭った当事者ではないからそんなことが言えるんだ、という非難を受けるかもしれない。たしかにそれはその通りだけれど、そういう意見もあるということでご容赦願いたい。それに、もしかしたら自分と同じように感じている被災者もいるかもしれない。

阪神淡路大震災から20年経ったということは、地下鉄サリン事件からも20年が経ったということになる。関西に住む人は、1月17日になると、当日の朝はどこで何をしていたかということが話題になるらしいが、首都圏に住む人は、3月20日になると、当日の朝はどこで何をしていたかということが話題になる。

自分の場合、その日はたまたま自分の部屋にいて、朝のワイドショーを見ていた。どのチャンネルを回しても、あちこちの地下鉄の駅で異臭騒ぎが起きているという報道が流れていて、ものすごく異様な雰囲気だったことを覚えている。それまでは、阪神淡路大震災関連のニュースばかり報道されていたのに、この日を境に各メディアはオウム一色になった。

当時からインチキ臭いことが大好物だった自分は当然オウムにも興味を持っていて、オウム関連の報道をそれとなく追っていた。なんとも得体の知れない集団で気味が悪いと感じていたが、まさかこれほど大規模なテロを起こすなんて予想もしていなかった。それからは、言葉は悪いけれどオウムに夢中になった。

テレビでは毎日のように、オウムウォッチャー対上祐率いるオウム軍団の対決が流れていて、ものすごく面白かった。とにかくこの上祐が口の達者なヤツで、オウムウォッチャーたちの鋭いツッコミを見事にかわしていく。自分は、これほど口の達者な人間を後にも先にも見たことがない。だれかコイツをこてんぱんにやり込めてくれと願いながらテレビを見ていたことを思い出す。

改めて考えてみると、一連のオウム事件にはまだまだ謎が多い。オウムの最高幹部の一人である村井秀夫の暗殺事件については、実行犯の動機や背後関係はあいまいなままだし、国松長官襲撃事件については、はたしてオウムの人間が起こした事件なのかどうかもわからないままだ。この襲撃事件については、このまま迷宮入りになってしまうのだろう。



今週の覚書一覧へ

TOP