15/01/11

激安理髪店での悲劇

大してめでたくもないけれど、とりあえず新年最初の覚書なので、心のこもっていない挨拶をしたいと思います。明けましておめでとうございます。旧年中はいろいろとお世話になった覚えはないのですが、もしかしたら何かの形でお世話になったのかもしれないので、今年もよろしくお願いします。

などと、いつもの前フリをそっくりそのままコピペしたところで、新年最初の覚書は、去年の年末の出来事について書いてみたい。いつものように、今年を占う企画はやめにした。大して面白くない割に予想も当たらないので、書いていてつまらなくなったからだ。書いている本人がつまらないということは、読んでいる人はもっとつまらないだろうから、書く意味がない。

ということで、仕事納めの翌日である12月27日に、突然髪を切りたくなった。自分の場合、髪を切りたくなるのはいつも突然のことなので、一週間前に美容院を予約する、なんていう周到なことはしない。予約の電話を入れるのさえ面倒なので、大抵の場合、朝イチで飛び込みで店に入る。そこで断られれば、別の店に入ればいい。

しかし、このときは年末だったから、さすがに飛び込みで行ったら厳しいだろうと思い、当日の朝に電話で確認をしてみたところ、年内はすでに予約でいっぱいだという。別の店にも電話してみたが、やはり同じように年内は無理だと断られた。この調子では、どこの店でも同じような状況だろう。しかし、このうっとうしい髪のまま年を越す気にはなれない。

そこで、以前に一度行ったことがある激安の理髪店で髪を切ることにした。街中でよく見かける1000円カットのお店だ。以前に行ったときには、あまりにもぞんざいな扱いを受けたため、二度と行くものかと心に誓ったのだが、どの美容院も混雑しているいまとなってはしかたがない。それに、カット自体はそれほどひどくはなかったから、今回限りだと思えばいい。とにかくさっぱりしたい。

自分の場合、美容院に行くのは半年に一回くらいだ。美容院自体があまり好きではないということもあるし、ダラダラと伸ばしてバッサリ切るというのが一番コストパフォーマンスが高いという理由もあって、このくらいの頻度になっている。髪が伸びるスピードは1か月で1センチくらいらしいから、「全体的に5〜6センチくらいカットしてください」とか「半年分カットしてください」などとお願いしている。

激安理髪店に入ってみると、まだ10時前だというのに、店内はけっこう混んでいる。こういう店を利用するのは、自分くらいの年代の男子が多いのかと思っていたが、女子もけっこういる。とは言っても、おしゃれに気を使うようなセレブな感じの女子がいるはずもなく、しゃれっ気のないおばさんやおばあさんばかりだけれど。

ちょうど一席だけ空いていたので、すぐにカットしてもらえることになった。特にスタイルに対するこだわりはないので、「全体的に5センチくらい切ってください」と、自分より一回りくらい年上に見える女子の店員さんにお願いした。この時点では特に不安はなかったのだが、後ろ髪にいきなりハサミを水平に入れてザクッと切られたときには、ものすごく嫌な予感がした。

とにかく、ハサミの立てる「ザクザク」という音がすばらしい。何の迷いも感じられない。これだけ迷いなく水平方向にハサミを入れてザクザクと髪を切る人はちょっと記憶にない。普通は、髪を何層かに分けてハサミを入れていくものだと思うが、この店員さんはすべての層をまとめて切るものだから、ザクザクと小気味いい音が出るわけだ。

ザクザクカットが一通り終わったところで、全体的な調整に入るのかと思っていたら、いきなり後頭部を合わせ鏡で見せられて、「これくらいでいかがですか」と聞かれた。その鏡には、無残にも一直線に切りそろえられた後頭部が映っていた。それを見た瞬間、「コイツ、殺してやる」という殺意が湧いてきた。これは冗談ではなく、本当にそう思った。それくらいひどかった。

しかし、激安店を選んだ時点で、どんな仕上がりになっても文句は言えないと覚悟を決めるべきであることはわかっていたので、「はい、大丈夫です」とだけ答えて席を立った。やり場のない怒りを抱えたまま帰り支度をしていると、さっきの店員さんが、6回来店すると1回分のカットが無料になるポイントカードを渡してきたが、いりませんと断った。だれがこんな過酷な罰ゲームを金を払って何回もやるというのだ。

店を出て窓ガラスに映る自分を改めて確認してみると、すっかりカリメロ状態になっている。想像してみてほしい、47歳の男子が突然カリメロに変身した姿を。他人だったら腹を抱えて笑えるけれど、自分がその被害に遭ったらとても笑えない。ちゃんとした美容院に行ってさらにカットしてもらおうかとも考えたが、面倒なのでやめた。

別に自分は芸能人でもないから、容姿なんてそれほど気にする必要はない。それに、たまにはカリメロ気分になるのも楽しいかもしれない。そんなことを無理矢理思い込みながら、店を後にした。それにしても、ひどい店員さんに当たったものだ。いったいどういうセンスをしているのかとあきれてしまう。何があっても、絶対にこの店には二度と行かない。



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