14/11/24

裁判を傍聴してみた

ただいま絶賛有給消化中につき、毎日ヒマだ。せっかくだから旅行にでも行けばいいのに、ということも言われるけれど、自分はそれほど旅行好きというわけでもないから、わざわざ高いお金を払って旅行に行く気にはなれない。それに、この時期は日が落ちるのがとにかく早いから、何をするにしてもイマイチ楽しくない。

ということで、普段の休みではできないようなことをしようと思い、裁判を傍聴してみることにした。自分は、フィクションにしろノンフィクションにしろ法廷シーンが大好物で、検察と弁護側のやり取りを読むだけでドンブリ飯三杯はいける。以前から裁判を傍聴したいと思っていたのだが、平日しか開廷していないため、なかなかそのチャンスがなかった。

ママチャリに乗って千葉地裁を訪れ、受付で話を聞いてみると、建物の3階から5階では民事裁判が行われ、6階から8階では刑事裁判が行われているらしい。民事裁判を傍聴してもつまらない。せっかく傍聴するならやっぱり刑事裁判でしょということで、6階に上がってみる。各フロアは回遊式になっていて、法廷のドアにその日の予定表が貼り出されている。

なにしろ初めての傍聴なので、要領がよくわからない。とりあえず覚醒剤事件の裁判を傍聴してみようと思い、緊張しながら法廷のドアを開けた。部屋の中ではすでに裁判が始まっていて、証言台に立っている初老の男性が弁護士の質問に答えている。裁判の進行の迷惑にならないように、空いている傍聴席に静かに座った。

数えてみたところ傍聴席の数は18席で、小法廷と呼ばれる小さな法廷のようだ。しばらく聞いていると、この事件は夫婦そろって被告になっているということがわかってきた。それぞれの父親が証人として呼ばれ、弁護士と検察からの質問に答え、最後に裁判官が質問するという流れになっているらしい。証人質問が終わると、今度は被告人質問になり、同じように進行していく。

被告人である夫婦は、奥さんの方は小柄で美人さんだが、旦那の方は身体も大きくいかにもガラが悪そうな感じだ。年齢も一回り以上離れている感じで、どうしてこれだけの容姿がありながらこんなにダメな男子を選んだのだろうと不思議になってしまう。しかもこの旦那は、覚醒剤で服役したことがこれまでに2回あるらしい。

初犯のときはおそらく執行猶予が付いただろうから、逮捕歴はこれまでに3回ということになるはずだ。ということは、これが4回目の逮捕ということだから、覚醒剤の常習者であることは間違いない。しかも、さらにクズなことに、この旦那は奥さんをパートで働かせて、自分は生活保護を受けながら覚醒剤をやっていたというのだからタチが悪い。4歳の息子がいるんだから、自分も働けよ。

弁護士の質問に答える形で、この旦那は懸命に反省の弁と更生への誓いを述べるのだが、これが4回目の逮捕ということを考えると、なんとも白々しく聞こえてしまう。傍聴人や検察官だけでなく、この旦那の弁護士でさえ、「どうせコイツは、出所したらまた覚醒剤に走るだろう」と考えていたに違いない。弁護士としても、こんな旦那の弁護なんてやる気が出ないだろう。

この裁判では事実関係を争うことはなかったので、1回だけで結審し、最後に検察官が求刑を読み上げた。奥さんに対しては1年6か月、旦那に対しては2年6か月という求刑だ。これを受けて、弁護士が情状面からの減刑を裁判官に訴え、次回の判決公判の日時を決めて閉廷となった。被告人は、両脇に付いていた刑務官に腰縄と手錠をかけられて退廷していく。

判決としては、奥さんが懲役1年6か月で執行猶予3年、旦那が懲役2年の実刑判決といったところだろう。旦那にすすめられて覚醒剤に手を出した奥さんについては、これが初犯ということもあり、実刑判決が出されることはまずないだろう。逆に旦那については、これまでの服役歴から考えても、執行猶予が付く可能性はない。

地裁近くのラーメン屋でお昼を食べた後は、午後の部の開始だ。刑事裁判としては覚醒剤事件が一番多いが、その次に多いのが傷害事件だ。ということで、覚醒剤の次は傷害事件を傍聴してみることにした。被告人は40台半ばの男子で、不動産会社の社長をしているらしい。仕事上のことで専務と車内で口論になり、追いすがる専務をクルマで引きずって重傷を負わせたということだ。

最初は、いい加減な仕事をする社長に腹を立てた専務が社長に忠告し、それに腹を立てた社長が専務をクルマで引きずったのかと思っていたが、どうやらそんなに単純な話ではないらしい。日常的に被害を受けていたのは実は社長の方で、年下の専務から暴言や暴行を毎日のように受けていたようなのだ。

正座させられて脇腹を蹴られたり、杖で全身を殴られたり、ライターで熱したハサミを手の甲に当てられたりと、「こっちの方がよっぽど傷害罪じゃないか」と言いたくなるような暴行を日常的に受けていたらしい。事件当日も、身の危険を感じた被告が専務から逃げようとして、クルマで引きずる形になったようだ。

赤の他人である自分が聞いていても、思わず被告に同情したくなるくらいだから、肉親が聞いたらさぞかし辛いだろう。傍聴席には証人として呼ばれた被告の両親が座っていたが、母親はずっとハンカチで涙を拭いていた。被告の父親の証言によると、被告には4人の子供がいて、家庭では非常に面倒見のいい子煩悩な父親だということだ。

被告の弁護士はまだ若く、経験が浅いようで、イマイチ要領を得ない質問が続き、予定の時間をオーバーしてしまった。裁判官が次の法廷に出なければならないため、ここでいったん中止となった。最後まで傍聴できなかったのは残念だが、被害者とは50万円で示談も成立しているらしいから、おそらく執行猶予付きの判決になるだろう。

このほかにも収賄事件と傷害事件を傍聴したのだが、どの事件も非常に面白かった。書きたいことはまだまだいっぱいあるのだが、とりあえず今回はこんなところでやめておこう。今回の傍聴で感じたことは、自分が被告として裁かれるだけならまだしも、肉親を証言台に立たせるのは非常に辛いだろうなということだ。恥をさらすのは自分だけにしたいものだとつくづく感じた。



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