14/11/16

ハローワークに関するあれこれ

まだWebが発達していなかった頃は、転職活動といえば、求人誌を買って手書きの履歴書と経歴書を郵送するという方法しかなかったが、最近ではWebを利用した転職活動が主流になっている。なので、わざわざハローワークを利用して転職活動をしている人はそれほど多くないと思う。そこで今回は、ハローワークに関するあれこれを紹介してみたい。

ハローワークと聞くと、なんだか冴えない中年の人たちが条件のよくない求人を探す場所、みたいなイメージを持つかもしれないが、そのイメージはだいたい当たっている。自分は、仕事の関係で土曜日しかハローワークに行けなかったが、やっぱりハローワークには独特の雰囲気がある。なんというか、空気がちょっとだけ重いのだ。

自分のように、フルタイムで仕事をしながらハローワークで転職先を探している人も当然いるとは思うけれど、平日の昼間にハローワークを利用する人たちは、その多くが無職なのだろう。中には若い人もいるけれど、大半が自分と同じような中年世代で、端末に向って求人情報を検索する背中にそこはかとない哀愁が漂っている。

ハローワークに寄せられる求人は、飲食業や建設業などのブルーカラー系の職種が多い。こうしたことも、ハローワークに対する冴えないイメージの一因だろう。ハローワークの職員も、ハローワークに来るのはそういう人たちばかりだと思い込んでいるフシがあって、窓口での対応が少しばかり雑な感じになることがある。

それを、自分で実際に体験した出来事がある。何年か前のことになるが、ハローワークの端末で仕事を検索するときに、職種コード一覧に翻訳業のコードが記載されていなかったため、窓口で尋ねたことがあった。そのときに対応してくれたのは年配の男子の職員で、「で、どういう職種なの?」みたいな感じで、かなり横柄な態度だった。

その態度にカチンとしながら、翻訳です、と答えると、「あ、翻訳ですか、えーっと、翻訳はどれかな。。すみません、ちょっと調べますので、席でお待ちください」みたいな感じで、その職員の態度がいきなり変わった。その態度を見ながら、ハローワークに来る冴えない失業者たちを毎日相手しているとこうなってしまうのかなと感じた。

もちろん、こういう職員ばかりというわけではなく、丁寧な対応をしてくれる職員も多い。というか、ほとんどの職員が丁寧に対応してくれる。お役所的なぞんざいな扱いを受けるというイメージがあるかもしれないが、そういうイメージを持ってハローワークに行くと、意外なほどの丁寧な対応に驚くかもしれない。

まあ、丁寧な対応とはいっても、毎日多くの求職者を相手にするわけだから、ほとんどの場合、きわめて事務的に手続きが進んでいく。事務的ではあるけれど、横柄な感じではないというだけのことだ。だから、ハローワークに行っても、それほど面白いネタが転がっているわけではないけれど、たまには面白い場面に遭遇することがある。

自分が窓口で紹介状を発行してもらっているときに、隣の窓口に若い男子が来て職員に相談しはじめたことがあった。すぐ隣なので、聞きたくなくても会話の内容が聞えてくる。その男子の相談内容とは、「自分がどんな仕事をしたいのかわからないんです」という、なんとも衝撃的な内容だった。いやいや、ハローワークに来るなら、希望する職種くらいは決めてきなさい。

こんな衝撃的な相談にどう対応するのかと思っていたら、その職員はまったく困る様子もなく、「では、これだけはやりたくないという仕事からつぶしていきましょう」という答えを返していた。その答えを聞いて、なるほど、そういう考え方もあるのかと感心した。こうした相談には慣れているのかもしれないが、その鮮やかな回答にはさすがにプロだと感心した。

この男子の相談内容が面白いので、目の前の職員と適当に世間話をしながら時間稼ぎをして、隣から聞こえてくる会話をしばらく聞いていたら、今度は、「面接の終わりに、『それでは何か質問はありますか』と聞かれるじゃないですか。あれって、何も質問しないのはマズいんですか?」という相談が聞えてきた。いやいや、そういうことは自分がやりたい仕事を決めてから心配しても遅くないから。

この質問にはさすがに職員さんも失笑していたが、「そうですね、特に質問がなければ無理に質問しなくてもかまいませんよ」と答えていた。偉いな、こんなにくだらない質問にも丁寧に答えるなんて、さすがにプロだ。自分だったら、真面目に答える気にならない。というか、「どんな仕事がしたいかわからない」と相談された時点で追い返すと思う。

ということで、たまにはハローワークに行くのも面白いと思う。あくまでも「たまに」行くから面白いのであって、ハローワークに通い詰めになってしまっては面白くもなんともない。応募するたびに落ち、またハローワークに通うというサイクルは、確実に人の心を蝕んでいく。ただ、あきらめたらそこで終わりなので、そのあたりの精神的なバランスを保っていくのが大事だと思う。



今週の覚書一覧へ

TOP