14/11/09

冨田選手の冤罪の可能性について考えてみる

競泳選手の冨田くんが、アジア大会で韓国人カメラマンのカメラを盗んだ事件について、本人が冤罪を主張する会見を開いたらしい。この会見自体は見ていないのだが、その前から本人が盗みを否定していることは知っていた。冨田くんによると、見知らぬアジア系の男から無理矢理何かをバッグの中に入れられたらしい。

この話を聞いた瞬間、反射的に「そんなわけあるか」と思ってしまった。結論から言うと、この事件が冤罪事件である可能性は99パーセントない。本当は100パーセントないと言い切りたいところだけれど、冤罪を主張する冨田くんのことを考えて、1パーセントくらいは可能性を残しておいてあげてもいいかなという感じだ。

ネット上では冤罪説もまことしやかにささやかれているが、どこをどう考えたらこれが冤罪になるのか、まったく理解できない。冤罪論を展開する人たちの意見では、わざわざ危険を冒してまでカメラを盗む動機がない、だれかにはめられたに違いない、反日の韓国警察にはめられたに違いない、などが主なところだろうか。

わざわざ盗む動機がないというのはたしかにそのとおりかもしれないが、逆に言えば、だれかが冨田くんのことをはめる動機についてもよくわからない。北島康介クラスの有名人なら、そういうこともあり得るかもしれないが、日本国内でさえほとんど知名度のない冨田くんをはめたところで、いったい何の得があるのだろう。

だいたい、「謎の第三者」が登場してくる時点で、冨田くんのクロは確定したようなものだ。頭の悪い犯罪者ほど、突然強盗が現れて妻を殺害したんです、みたいなバレバレの嘘をつく。自分に容疑がかけれらているときに、すべての罪を謎の第三者のせいにしようとするのは、自分がやりましたと自白しているに等しい行為だと思う。

ネット上では、いろいろと裏を読みたくなる人たちが多いようだけれど、今回の事件はそんな裏読みはまったく必要がないくらいに単純な事件だと思う。高価そうなカメラをたまたま見つけた冨田くんが、つい衝動的に盗んでしまったというだけのことだ。実際のところ、盗みの動機なんて単純なもので、そんなことをしたら後でどうなるかなんてことまで咄嗟には考えが回らないのが普通だろう。

ただ、冨田くんの主張で唯一納得できるのは、心が弱くてつい認めてしまったという部分だ。これについては、本当にやっていないのならどうしてウソの自白をするんだ、自分がやったから自白したんだろう、という意見をよく聞くけれど、実はそうとも言い切れない。冤罪事件の多くは、警察の厳しい取り調べに疲れ果て、裁判で無実を証明すればいいと考えて自白してしまったために発生している。

今回の事件についても、言葉が通じない韓国で取り調べを受けたわけだから、いろいろと心細い思いをしただろう。ここで認めておけば大ごとにはならないという警察の言葉を信じて、ついウソの自白をしたという可能性は十分に考えられる。人間の心というのはそれほど強くない。本当にやっていないのならば絶対に認めたりしないはずだ、というのは、よほど心の強い人にしか通用しないセリフだ。

今回の冨田くんの主張で納得できるのはこの部分だけで、あとはどう好意的に解釈しようとしてもあまりにも無理がありすぎて、どうにもならない。本人としては、罪を認めて帰国してみたら、勤務先は解雇されるし、水泳連盟からも厳しい処分を受けるしで、改めて事の重大さに気付いたのだろう。このままでは自分の人生が終わってしまうと思ったのかもしれない。

そこで考え付いたのが、謎の第三者を使った冤罪の主張だ。冨田くんは、事件の発生時刻を10:48だと思っていたようで、その時間には確たるアリバイが存在するから、そのことに気を強くして今回の主張になったのかもしれない。しかし、本当の発生時刻は11:48であることが会見で明らかになってしまい、アリバイに頼ることはできなくなった。かわいそうに。

冤罪を主張するということは、冨田くんにとっては非常に大きな意味のあることなのだろう。素直に罪を認めてしまったら、この先一生犯罪者というレッテルを貼られて生きていかなければならないが、冤罪を主張すれば、たとえ周囲はどんなに疑っても、自分だけは「いや、オレは絶対にやってないから」と言い続けることができる。

周囲の人間から見た場合、あまりにも往生際が悪いけれど、本人にとってみれば、冤罪を主張することが唯一の拠り所になるのだろう。絶対にやっていないと言い続ける限りは、少なくとも自分の中だけでは自分のことを犯罪者だと認めなくてもいいわけだから。それにしても、言い訳があまりにもファンタジーすぎるのが残念だ。



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