14/09/28

もやしについて考えてみる

ここ最近は、野菜の値段が高くて困る。野菜の値段は天候に左右されるから、この価格高騰はどうしようもないけれど、野菜を食べずに生きていくことはできないから、多少高くても買わざるを得ない。などと言いながら、ネギが1本100円とか、キャベツが1玉300円などという値札を見ると、心の中で激しく葛藤しながらも、結局は素通りしてしまう。

そんな状況でも、常に値段が安定している野菜がある。それはもやしだ。もやしの安定っぷりは異常なほどで、安売りされることはあっても、値段が上がるということはまずない。それもそのはずで、もやしの栽培に日光は必要ないから、そもそも天候に左右されることがない。また、すぐに収穫できるというのも、価格安定の大きな要因だ。

安売りのスーパーなどでは、もやしが1袋15円くらいで売られていたりすることもある。こういう値段のもやしを見ると、もやし農家はいったいどうやって生計を立てているのだろうと心配になる。簡単に栽培できて収穫までのサイクルも早いというメリットを活かして、基本的には薄利多売で利益を出しているのだろうが、それにしてもこんなに安い値段で利益など出るものだろうか。

あまりにももやし農家のことが心配なので、ちょっと調べてみたところ、どうやら個人でもやしを栽培している農家というのはほとんど存在しないらしい。もやしという野菜は、基本的には大きな工場で大量に生産されるもののようだ。こうした工場では、一日に何十トンものもやしが生産されるというから驚きだ。逆に言えば、これくらい大量に生産しなければ利益が出ないということだろう。

これで、もやし農家の心配をする必要がなくなってすっきりした。本当に、1袋15円くらいで安売りされているもやしをスーパーで見かけるたびに、家計簿を見ながらため息をつくもやし農家の奥さんの姿が浮かんできて困っていたのだ。これでようやく、安売りもやしを見かけても心がざわつくことがなくなるわけだ。よかったよかった。

値段の上では非常に優秀なもやしではあるけれど、欠点がないわけでもない。それは、足が速いということだ。買ってから3日も経つと、すぐにすえた臭いがして食べられなくなる。だから、もやしを買ったらすぐに調理して食べきらなければならない。もやしを買ったことを忘れて何日か冷蔵庫の中で放置しようものなら、悲惨なことになる。

日持ちのする野菜ならば、値段が安いからなんとなく買っておこうか、みたいな優柔不断な買い方が許されるが、もやしの場合はそうはいかない。明確な目的と断固たる意志を持って買わなければならない。数ある野菜の中でも、もやしほど買い手の意志の強さが要求される野菜はないと思う。もやし恐るべし。

自分は比較的野菜好きなほうだと思うが、もやしもけっこう好きだ。最も好きな野菜は、ピーマン、ネギ、キャベツ、セロリあたりだけれど、もやしはその次に好きな野菜グループの中に入る。なんといっても、あのシャキシャキした食感がいい。自分はすべての野菜についてシャキシャキした食感が好きなのだけれど、もやしの場合は特に食感が大事だと思う。

もやしをさっと茹でてゆでてかつお節をかけるだけで、立派な酒のつまみになる。このとき、あまりゆですぎないのがポイントだ。ゆですぎてヘナヘナになったもやしほど悲しい食べ物はない。だから、もやしの味噌汁を作るときも、しばらくもやしを茹でてから味噌を溶くなんて悠長なことはせず、もやしを投入したらすぐに味噌を溶き入れる。

もやしをおかずの主役として使うこともある。独身の頃は手の込んだ料理を作るだけの腕も意欲もなかったから、手軽に作れるもやし炒めをよく食べていた。もやしだけを炒めるのではさすがに味気ないから、豚コマと一緒に炒めたりしていた。これもシャキシャキの食感を残しつつ炒め、それをドンブリによそったご飯の上にかければもやし丼の完成だ。

ということで、自分が作るもやし料理は、え、これってまだ生なんじゃないの? と思ってしまうくらいにシャキシャキだ。許されるならば生で食べたいくらいだが、さすがにそれもどうかと思うので、ほんの気持ち程度に加熱することにしている。それはともかく、こんなに安い値段でこんなに幅広い調理方法があるもやしは、本当に優秀な野菜だと思う。



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