14/04/13

入学式の思い出(続き)

小保方さんが記者会見を開いたことにより、STAP細胞の問題についてはますますヒートアップしてきた感じだが、やっぱりわからないことが多くて、素人の自分としてはなんとも消化不良だ。それにしても、小保方さんだけを悪者にしてこの問題の幕引きを図ろうとしている理研はおかしくないか。一番非難されるべきは、小保方さんの不正行為を見抜けなかった理研ではないのか。

理研の偉いさんたちは偉そうなことを言って小保方さんを断罪しているけれど、そもそも自分たちの組織に属する研究者の研究成果をチェックするのが仕事ではないのか。それなのに、自分たちのチェック体制のずさんさは棚に上げておいて、小保方さんの論文のずさんさだけをあげつらうのは反則だろう。偉そうな顔をして裁く側の立場に回るなと言いたい。裁かれるべきは、むしろあなたたちの方だ。

さて、前回は中学校の入学式の思い出を書いたので、今回は高校の入学式の思い出について書いてみたい。自分が生まれ育った佐渡には当時7つの高校があった。佐渡には7つの高校があるということを教えてあげると、たいていの人が「そんなにたくさんあるの」と言って驚く。よほど離島のイメージが強いのか、佐渡にはほとんど人が住んでいないと思い込んでいる人が少なくない。

ただし、現在では佐渡の高校は5校に減ってしまった。そのうちの1校は中高一貫の学校なので、佐渡島内の高校の数は正確には4つということになる。自分が通っていたのは、佐渡の中では一番生徒数が多い佐渡高校という学校だった。とりあえず、島内では一番の進学校ということになっていて、島内全域から生徒が集まる学校だった。

自分たちの学年には6クラスあり、250人くらいの生徒がいたと思う。島内全域の中学から生徒が集まるということで、自分が通っていた中学からも、自分を含めて5〜6人がこの高校に進学した。つまり、自分にとって高校に進学するということは、知らない生徒ばかりのクラスに放り込まれるということを意味するわけだから、かなり心細かった。

しかも、高校に通うには親元を離れて下宿生活を送らなければならず、それも心配だった。一応、高校がある町までバスは走っているのだが、一日にたったの3本しか走っていないから、バスで高校に通うのは物理的に不可能だ。となれば、必然的に下宿に住むしかない。つまり、下宿から学校に通うというのは、佐渡の中でもかなりの田舎者だということになる。

高校の入学式当日は、父親が運転するクルマに乗って実家から高校まで送ってもらうことになった。前回の覚書で書いたように、中学の入学式にはわざと遅刻していったわけだが、父親は今回もなかなか出かけようとしない。たしかに、春先は農作業が忙しいというのは事実だけれど、それにしたって入学式当日くらいは早く仕事を切り上げてくれよと思ってしまう。

自宅から高校までは30〜40キロくらいの距離がある。いまでは2車線の広い道路が通っているけれど、当時は曲がりくねった細い山道で、ちょっと大きなトラックが対向車として現れようものなら、すれちがうのさえ一苦労するような道路だった。だから、なかなかスピードを出すわけにもいかず、クルマで1時間くらいはかかるような距離だった。

ようやく父親の運転するクルマに乗り込んだときにはかなり時間が経っていて、入学式にギリギリ間に合うかどうかという感じだった。式に参加するだけならギリギリでもかまわないが、その前に各クラスに集まって説明を聞くことになっていたから、それに間に合うかどうかが心配だった。クラスに知り合いは一人もいないから、よけいに心配になる。

しかし、父親はそんな自分の気持ちを知ってか知らずか、「心配しなくても大丈夫だ、おれたちが行かなければ式は始まらないんだからな」などと、中学の入学式のときと同じことを言っている。いやいや、さすがに今回は自分たちがいなくても式はサクっと始まるだろうと思ったが、父親の機嫌を損ねても困るのでだまっておいた。

ようやく高校に着き、自分のクラスの教室までダッシュしたのだか、教室はすでにもぬけの殻でだれもいない。しまった、完全に出遅れたと思いながら、一つだけ残っていた椅子を抱え、式が行われる体育館に向ってまた全力でダッシュした。椅子を抱えたのは、おそらく各自が椅子を持って体育館に移動したのだろうと推測したからだ。

体育館に着くと、まさに式が始まろうとしているところで、おごそかな感じで静まり返っていた。息を切らせながら椅子を抱えた自分は、いったいどこに座ればいいのかわからず、生徒たちの列から一人だけ離れて座っている人に、すいません、ぼくはどこに座ればいいですかと尋ねてみた。その人が先生なのかどうかよくわからなかったが、とりあえず一番近くにいた大人に訊いてみようと思ったのだ。

椅子を抱えた生徒にいきなり質問されたその人は、え、いや、みたいな感じで明らかにとまどっていた。後で聞いたところ、その人は来賓として呼ばれた人らしく、挨拶をするためにその場所で待機していたらしい。その様子を見た自分は、間違った人に声をかけてしまったことに気付いてさらに動揺したが、後ろから本物の先生に声をかけられて、ようやく席に着くことができた。

そんな感じで、高校の入学式は散々な目に遭った。中途半端に目立っただけで、大したインパクトも与えることができず、ただ恥をかいただけという結果になってしまった。それからしばらくは、椅子を抱えて猛ダッシュした姿を肴にして父親に笑われた。どうやら父親は、そもそもの原因が自分にあるということを理解していないようだ。

この先は、大学の入学式の思い出に続くわけだけれど、例によって書ききれなくなってしまったので、この続きはまた次回。



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