14/04/06

入学式の思い出

日本全国、空前の入学式ブームらしい。桜の季節に入学式があるというのは、いかにも日本らしくて素敵な光景だと思う。東大などの一部の大学では、国際化を見据えて秋入学へ移行しようという動きもあったけれど、桜をこよなく愛する自分としては、桜が咲き誇るいまの季節に入学式をやってもらいたいと思ってしまう。

自分も、小学校、中学校、高校、大学と合計4回の入学式を経験しているので、今回は入学式の思い出について書いてみたい。小学校の入学式については、もう40年以上も前のことになるので、まったく覚えていない。ただ、小学校に入学する前の春休みに、小学校の教室に同級生が集められて知能テストを受けされられたことだけは覚えている。

これが人生初の知能テストだったと思うが、なんて簡単な問題ばかりなんだと思ったことをいまでも覚えている。別に、自分が頭がよかったと自慢したいわけではない。知能テストの問題なんて、ほとんどが簡単なものばかりで、その簡単な問題をいかに大量に解けるかが重要になってくるわけだから、問題が簡単だと感じるのは当たり前のことだ。

中学校の入学式については、鮮明に覚えている。自分が生まれ育った村には小学校が2つあって、自分が通っていたのは全校生徒が30人ほどの小さな学校だった。もう一つの小学校は全校生徒が200〜300人くらいいたから、中学校に入学するということは、知らない同級生ばかりがいるクラスに放り込まれるということを意味していた。

中学校の入学式では、一人の生徒が代表として壇上に立って挨拶するというのが決まりになっていた。たしか、2つの小学校の持ち回り制度になっていて、今年が小学校Aの生徒が代表として選ばれた場合、来年は小学校Bから代表が選ばれるというシステムになっていたと思う。このときの入学式では、自分が生徒代表として挨拶することになっていた。

これは、自分が成績優秀だから代表として選ばれたというわけではなくて、同級生に男子は自分しかいなかったから選ばれたというだけのことだ。小学校の同級生は自分を含めて6人いたが、そのうちの5人は女子だった。いまから思えば、子供の頃に女子ばかりに囲まれて過ごすというのはかなり特殊な体験で、いまだに女子とうまく話ができないのは、このときの体験が原因になっているのではないかと思う。

それはともかく、入学式の前に30分ほどリハーサルをするということで、それまでに中学校の体育館に集合するようにというお達しが学校からあった。自宅から中学までは8キロくらいの距離があり、バスは一日に3本しか走っていなかったから、父親にクルマで送ってもらうしかない。クルマなら、ゆっくり走っても15分もあれば着く距離だ。

普通の父親であれば、自分の息子が代表として挨拶する大事な入学式なのだから、時間に遅れないように出発するだろう。しかし、自分の父親はあまり普通ではなかったらしく、いつまでたっても出かけようとしない。そんな様子にやきもきした母親は、なにかと父親を急き立てるのだけれど、そんな様子を楽しむかのように、父親はまったく動こうとはしない。

結局、これ以上待っていたら入学式に遅刻してしまうというギリギリのタイミングで、ようやく父親の運転するクルマに乗り込んで家を出た。何が楽しくてこういうことをするのかよくわからなかったが、父親はさも楽しそうに、「心配しなくても大丈夫だ、おれたちが行かなければ式は始まらないんだからな」みたいなことを言っていた。いや、自分たちが行かなくても式は始まるだろうと思ったが、だまっておいた。

中学校の体育館に到着したのは、式が始まるわずか5分前だった。挨拶を読み上げる生徒がまだ来ないということで、先生たちも焦っていたらしく、自分が到着するやいなや壇上に引っ張り上げられて、ものすごい勢いで手順を教えられた。とにかく、壇上に立って挨拶を読み上げればいいだけだろうと思っていたので、先生の説明に適当にうなずいていた。

式が始まって自分が挨拶をする番になり、登壇して校長先生に向って式辞を読み上げた。そつなく読み上げて、やれやれと思いながら自分の席に戻ったのだが、十分にリハーサルしていなかったためにちょっとした失敗をしてしまった。本来であれば、校長先生に失礼のないように、校長先生と対面したまま後ろ向きで壇から降りなければならない。

しかし、中学生になったばかりの頭の悪い男子がそんな面倒な作法を知るはずもなく、式辞を読み上げたらそのままくるりと向きを変え、校長先生にお尻を向けて壇から降りてしまったのだ。この失敗は後から聞かされたので、式のときにはそんなことには気付かなかった。後から教えられたときにも、そんな細かいことをいちいち気にするなよと思ったくらいだから、別にどうということもなかった。

そんなこんなで、入学式のしょっぱなで意図せずに強烈に目立ってしまったこともあり、なんだか面白そうなヤツが入ってきたな、と周りは思ってくれたらしく、知らない生徒ばかりのクラスにもすぐに溶け込むことができた。それというのも、父親がわざと遅刻してくれたからこういう結果になったわけで、いまとなってはいい思い出だ。

この先は、高校の入学式と大学の入学式の思い出に続くわけだけれど、例によって書ききれなくなってしまったので、この続きはまた次回。



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