14/02/23

風呂の思い出(続き)

それにしても、村田諒太は強い。昨日のボクシング中継を観戦して、改めてそう思った。オリンピック金メダリストの肩書はダテじゃないということがよくわかった。ボクシングの実力もさることながら、村田には何とも言えない華がある。普通にイケメンではあるけれど、そうしたことだけはなくて、入場時に笑顔を浮かべたり、試合が始まると精悍な表情に一変したりと、見るものを惹きつけるオーラがある。

インタビューの受け答えを聞いていても、頭がいいことがわかる。とにかく、ボクシングファンとしては全力で応援したくなるキャラクターだ。亀田三兄弟のように、いくらボクシングが強くても、頭の悪さがにじみ出ているような選手は応援する気になれない。プロのスポーツ選手というのは、実力さえあればいいというわけではなく、幅広いファンの支持を得るキャラクターも重要だ。

ミドル級という階級は、日本選手が得意とする軽量級とは違って、とにかく選手層が厚い。同じ世界チャンピオンといっても、フライ級とミドル級では、その重みがまったく違う。しかし、村田ならもしかしたら、という期待を抱かせてくれる。日本人で唯一のミドル級チャンピオンである竹原慎二の現役時代と比較した場合、個人的には村田の方が強いのではないかと思っている。

ボクシングのことはともかく、今回も前回に引き続き風呂の思い出について書いてみたい。以前の覚書でも書いたように、中学生になると冬の間は寮生活を送っていたわけだが、その寮には大きな風呂があった。部活を終えて学校から帰ってくると、それからが風呂の時間になる。風呂は毎日沸かしていたのか、あるいは一日おきだったのか、そのあたりは覚えていない。

その寮は二階建てになっていて、一階に男子、二階に女子の部屋があるという作りになっていた。風呂は一階にあり、夕食を挟んで男子と女子が交代制で風呂に入っていたような記憶がある。入浴時間が決められているから、いつでも好きなときに入るというわけにはいかず、男子全員が一斉に風呂に入ることになる。

中学生というのはなかなか微妙な年代で、大人顔負けにボーボーの男子もいれば、まだツルツルの男子もいる。周りがすべて自分と同じ成長度合いならば気にならないのだろうが、成長度合いがボーボーからツルツルまでというグラデーション状になっている場合、お互いになんだか居心地が悪い。だから、みんなタオルで前を隠して風呂に入っていた。

女子の場合は成長が早いから、こうした微妙な状況にはならないのかもしれないが、男子中学生というのはとにかく微妙な生き物なのだ。自分はものすごく成長が遅かったから、中学1年の頃はもちろんツルツルだった。なにしろ、中学校に入学したときの身長が143センチで、2年生のときが146センチ、3年生になってようやく150センチになったくらいだから、いかに成長が遅かったかがわかるだろう。

ついでに言うと、高校に入学したときの身長が158センチ、2年生のときが166センチ、3年生のときが169センチだった。こうして見てみると、中学3年になってから高校2年になるまでの2年間が、自分にとっての第二次成長期だったことがわかる。女子なんて、小学5年生くらいで第二次成長期を迎える場合も少なくないから、それに比べたらものすごく遅い。

身体が小さいことにはいつもコンプレックスを抱いていたから、自分のツルツルっぽい感じもイヤだった。タオルで前を隠すという同じ行為であっても、ボーボーの男子の場合は、ボーボーでごめんなさい、みたいな余裕が感じられるけれど、ツルツルの男子の場合は、ボーボーを目指しているにもかかわらずツルツルな自分が恥ずかしいという悲しさがある。

以前にも書いたように、高校に進学すると下宿生活になるわけだが、この下宿には大浴場なんてないから、下宿生が一人ずつ順番に風呂に入っていた。この下宿には常時5〜6人の下宿生がいて、自分が風呂から上がると、隣の部屋をノックして風呂の順番を告げるというシステムになっていた。この順番もサイクル式になっていて、今回一番風呂だった場合、次回の入浴順は最後になる。

この下宿では、一階の食堂スペースに大きな座卓を出し、下宿生全員が集まって一緒に食事を食べていた。こう書くと、さぞかしにぎやかで楽しい食事なんだろうと思うかもしれないが、実際にはほとんど会話もない殺伐とした食事だった。それぞれの下宿には、その下宿独特の伝統や文化みたいなものがあるらしく、自分の下宿では下宿生同士の交流はほとんどないという文化になっていた。

そういう雰囲気の下宿だったから、自分の部屋に友達を呼ぶこともあまりなくて、自分の方から友達の下宿に遊びに行っていた。こういう下宿というのは、大家さんがあまりうるさいことを言わないから、自然とたまり場になる。麻雀を覚えたのも高校生のときで、金曜日の夜に友達の下宿に集まって徹マンを打っていたことを思い出す。

はじめて徹マンを打ったときに感じたことは、ものすごい勢いで顔に脂が浮くということだ。鼻の頭や額に手をやると、本当にヌルヌルした感じで脂が浮いているのがわかる。いまでは徹マンを打つことはないけれど、たまに夜中まで酒を飲んで午前様になったときなども、やっぱり顔や頭皮に大量の脂が浮いていることに気付く。こういうときは、あまり風呂好きではない自分としても、激しく風呂に入りたくなる。

ということで、これから大学生時代の風呂の思い出と、社会人になってからの風呂の思い出へと展開していくつもりだったが、例によって書ききれなくなってしまったので、続きについてはまた次回に書いてみたい。とりあえず今回の結論としては、ツルツルなのにタオルで前を隠すのは、思春期の男子特有の悲しくも微妙な乙女心だということだ。



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