13/03/24

スーツに関する諸問題について改めて考えてみる

今年の冬は寒かったから、桜の開花も遅くなるだろうと思っていたのだが、今月に入ってから一気に暖かくなり、東京では記録的な早さで桜が満開になった。去年は仕事が忙しくて花見もできなかったが、今年は2年ぶりでゆっくりと桜の花を愛でてきた。都内にはいろんなお花見スポットがあるけれど、自分は播磨坂の桜並木が一番好きだ。

さて、桜の話はともかく、この前近所のAOKI にスーツを買いに行ってきた。去年のちょうど今頃、身内で不幸があり、そのときにAOKI で礼服を買ったのだが、そのときもやっぱり休日出勤していて時間がなかったこともあり、あと1,000円出せばもう一着スーツが買えるというオプションをとりあえず後回しにしたという経緯があった。

とりあえず急いでスーツを買う必要もなかったので、このオプションのことは忘れるともなく忘れていたのだが、来月でこのAOKI が完全に閉店してしまうということなので、それならばせっかくのオプションを使わせてもらおうと思って出かけたというわけだ。去年礼服を買ったときのポイントを使えば、現金は1円も払わなくて済むから、このオプションを見逃す手はない。

しかし、以前の覚書で「スーツに関する諸問題」というタイトルで書いたように、AOKI でのスーツ購入には一度失敗している。とにかく、いま流行りの若者向けのスーツばかりで、自分の好みに合うスーツがまったくないのだ。欲しいスーツがなければしかたないということで、そのときは、とあるデパートに入っているお店でイージーオーダーのスーツを作った。

なので、今回はスーツを買うのではなく、カジュアルなジャケットを買おうと思っていた。自分の好みに合わないスーツを無理に買うよりも、着回しの効くジャケットを一枚買ったほうが得だろうと思ったからだ。そこで、女子の店員さんをつかまえてジャケットを選んでもらったのだが、ここでもなかなか自分の好みに合うものがない。

というか、そもそも絶望的なくらいに品揃えが少ないのだ。こういう量販店の主力商品はもちろんスーツだから、他の商品の品揃えが貧弱なことはある程度予想していたが、まさかこれほど選択肢が少ないとは思っていなかった。店員さんの説明によると、閉店間近ということもあって、在庫が少なくなっているらしい。

いろいろと悩んだ結果、「以前にこちらでスーツを探したのだけれど、自分の好みに合うものがなかったので買わなかった」ということを店員さんに話した上で、もう一度スーツを探してもらうことにした。店員さんによると、今シーズンは新しい商品が入っているから、好みに合うものが見つかるかもしれないということだ。

店員さんには、サイドベンツの入ったものは絶対にダメ、ウエスト部分の絞りがキツイものもダメ、ノータックのものは論外、という条件を伝えた。しばらくして店員さんがスーツを持って戻ってきた。これは今シーズンの新作で、ジャニーズのヒガシと亀梨くんがモデルをやっていて人気商品なんですよと、少しばかり自慢げに話してくれた。

いやいや、モデルがヒガシでも亀梨くんでもかまわないけど、実際に着るのは永橋新吾だからね。女子にモテたいと思いながら、結局一度もモテモテになったことがない、冴えないオジサンが着るわけだからね。そんなオジサンに対して、ヒガシや亀梨くんを引き合いに出すのはどうなのよ、と心の中で激しくつっこんだことは言うまでもない。

とりあえず、店員さんお勧めのヒガシ&亀梨スーツを着てみたのだが、やっぱりピンとこない。しかし、店員さんは「お似合いですよ、すごくきまってます」みたいなお世辞を連発する。まあ、いかに似合わなくても、店としてはとりあえずお世辞を言っておいて、客に買わせようとするのが商売だから、これはしかたがない。

だから、半分以上はお世辞だろうが、店員さんから見たら、もしかして似合っているのかもしれない。これはどこの店に行っても言われることなのだが、自分はウエストが細い割には肩幅があるから、スーツが似合う体型らしい。自分でも、自分のスーツ姿は嫌いではない。というか、それなりにイケているのではないかと密かに思っている。

しかし、いま流行りの細身のシルエットだけはどうしても好きになれない。いくら店員さんが似合っているとお世辞を言ってくれても、鏡に映る自分のスーツ姿を自分でいいと思えなければ、やっぱり買う気にはなれない。結局のところ、ファッションなんて自己満足に過ぎない。自分がいいと思えればそれで十分で、他人の評価なんて気にする必要はない。

店内には、男子の店員さんも何人かいるのだが、彼らが着ているのは当然AOKI のスーツだろう。しかし、とにかく後姿がカッコ悪い。着丈の短いジャケットからはお尻が丸見えだし、のれんみたいにヒラヒラしたサイドベンツもカッコ悪い。自分だったら、あんなスーツを着るなんて絶対にイヤだ。着ろと言われても、全力で拒否する。

でも、彼らはちゃんと納得してこういうスーツを着ているわけだから、それ自体はまったく問題ない。自分みたいなオヤジがどう思っていようが、彼らは自分たちのスーツ姿がカッコいいと思って着ているわけだから、それでかまわない。自分にしたって、あのオヤジはダサいスーツを着てるな、なんて若い男子から思われてもまったく気にしない。ファッションなんて、所詮は自己満足に過ぎないからだ。

そんなこんなで、やっぱりスーツを買うのはあきらめて、無難な紺のジャケットを買った。そのジャケットを特に気に入ったというわけではないけれど、何も買わずに帰るというのももったいないので、一番つぶしの効きそうなジャケットを無理矢理買ったというわけだ。そんなわけで、新しいジャケットを買ったものの、まったく心は弾まない。

誤解のないように言っておくと、AOKI の接客は丁寧で気持ちがいい。強引に買わせようとすることもないし、好みのスーツが見つかるまで熱心に探してくれる。しかし、流行りのタイトシルエットのスーツしか置いていないという戦略だけはどうかと思う。売れ筋の商品を大量に置くのはかまわないけれど、自分のような古臭い男子のために、古臭いスーツも少しでいいから置いてほしい。

自分のような男子は少なからずいると思うのだが、彼らはいったいどこでスーツを買っているのだろうか。店員に勧められるまま、タイトなスーツを買っているんだろうか。ヒガシみたいなルックスならばともかく、40代や50代のオヤジがタイトなスーツを着ている姿はあまりぞっとしない。まあ、ファッションなんて所詮は自己満足だから、本人が満足しているならそれでかまわないけれど。



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