12/12/16

オムニバスで行こう

今週は大きなニュースがいくつかあったので、オムニバス形式で簡単な感想を書いてみたい。まあ、早い話、ネタ枯れにつきやっつけ仕事で適当に書いておこうという作戦だ。ちなみに、「omnibus」という単語には「乗合馬車」という意味もあって、ちょっとした古典を読むと出てくることがある。この単語の語呂としては、「主にバスだよね、乗合馬車の意味って」くらいでどうだろう。

まずは、北朝鮮のミサイル発射について。前日までのマスコミは、延期どころか、発射の中止まであり得るのではないかという論調だったのに、不意打ちを食らわせる形で発射された。自分もまったく予想していなかったら、昼休みに外出したときに、選挙カーが「北朝鮮がテポドンを打ち上げました。日本はなめられているんです!」などとがなっているのを聞いて、初めてその事態を知った。

今年の4月に一度失敗しているから、今回はどうしても成功させたかったのだろう。それにしても、今回の打ち上げ成功で一番赤っ恥をかいたのは、韓国ということになりそうだ。ミサイルが解体されたらしいという情報を鵜呑みにして油断していたわけだから、少しばかりカッコ悪い。それに比べて、日本の対応には及第点をあげてもいいのではないだろうか。

これで調子に乗った北朝鮮が、来年あたりに核実験を強行してくるかもしれない。国連で厳しい制裁決議を出して北朝鮮を抑え込まない限り、どんどんと調子に乗りそうな気がする。それもこれも、北朝鮮がらみの問題には何かにつけて拒否権を行使してきた中国とロシアの責任だ。中国みたいな国に、常任理事国なんてやらせるなよと言いたくなる。

次は、京都の舞鶴で発生した殺人事件の控訴審で、被告の男性に対して逆転無罪が言い渡されたニュースについて。この事件は、一審では無期懲役という判決が出ていたのに、控訴審では、検察側の状況証拠だけによる主張が根拠薄弱ということで、思い切り却下されてしまった。うーん、この判決はどうだろうか。

この裁判は、裁判員制度が導入される直前に始まった裁判ということで、審理はすべてプロの裁判官によって行われた。これがもし、裁判官による審理だったら、おそらく有罪判決になっていただろう。断言はできないが、そんな気がする。普通の市民感覚で裁判に臨んだら、この被告のことをシロだと感じる人は、おそらくいないように思う。

そもそもこの被告は、若い頃に二人殺して服役している。その事件では、懲役16年という判決が出た。二人殺しておいて、刑期がたったの16年ということにも驚くが、この被告は、出所後も強制わいせつやら傷害罪やらの罪を犯して、また警察のお世話になっているらしい。こうした犯罪歴を見ると、この被告は根っからの犯罪者ではないかという気がする。

しかし、だからと言って、疑わしき被告は有罪として裁くべきだと断言しているわけでもない。おそらく、こうした凶悪犯罪の裁判は、「普通の市民感覚」で裁判をすれば、95パーセントくらいは妥当な判決が出ると思う。しかし、すべての犯罪を「普通の市民感覚」で裁いてしまうのは危険だということも思ったりする。

実際に、プロの裁判官が裁いた事件にしても、これまでに多くの冤罪が起きている。一番記憶に新しいところでは、東電OL殺人事件のゴビンダ氏の裁判がそれだ。この事件は、東京電力で管理職を務める女性が、毎日のように繁華街で売春をしていて巻き込まれた事件という特異性のため、事件当時は非常に大きな話題になった。

自分も、この事件には少なからず興味を持ったので、何冊かの書籍を読み、さらには現場のアパートにまで実際に足を運んだこともある。その結果、自分としてはゴビンダ氏は「シロ」だという印象を持っていた。しかしそれは、ゴビンダ氏が犯人だということに疑問を投げかける書籍ばかりを読んだのが理由であって、そうでなければ、普通にゴビンダ氏の有罪を疑うことはなかったと思う。

今回の舞鶴殺人事件にしても同じことで、入ってくる情報はすべて「容疑者はクロ」というバイアスがかかったものばかりだったから、自分としてもそう思い込んでいた部分があった。実際に詳しく経過を追うことができたなら、また違う印象を持ったかもしれない。いずれにしても、今回の判決は「正しい判決」だとは言わないが、「いたしかたない判決」だと思う。

「疑わしきは罰せず」というのが裁判の原則だから、今回の判決はその原則に忠実に従ったもので、この判決を非難することはできないだろう。多くの真犯人を見逃すことになっても、冤罪者を一人も出さないことを目指すのが正義なのか、たとえ何人かの冤罪者を出すことになっても、真犯人は絶対に見逃さないことが正義なのか、どちらが正しいのかと聞かれたら、自分はやっぱり前者が正義だと思う。

ただ、今回の判決に関しては、どうしても釈然としないものを感じることも事実だ。同じ舞鶴市では、今回の事件の何年か前にも、女子高生が殺害される事件が起きていいて、その犯人はいまだに捕まっていない。もちろん、その事件と今回の事件との関連性を示す絶対的な客観的事実はないのだが、もしかしたらと思わないこともないというのが正直なところだ。

さて最後は、角田美代子容疑者が留置所で自殺したというニュースについて。おそらく、このニュースを聞いた人のほとんどが感じたことだと思うが、この角田容疑者の自殺方法には驚いた。なにしろ、看守が15分おきに巡回している隙をついて、自分で自分の首を絞めて自殺したというのだから。

拘置所や刑務所での自殺というのは、なにも今回が初めてではなくて、定期的に発生しているようだ。こうした場所では自殺の手段は限られるから、その多くが首吊りによるものらしい。首吊りというのは、何も木の枝や天井の梁からぶら下がる必要はなくて、たとえばドアノブなどのちょっとした突起物でも、そこにタオルをひっかけて輪っかを作り、首を入れて前のめりに体重をかければ、充分に首吊りできるものらしい。

しかし、今回の自殺方法は、ニュースを見る限りでは、布団に入って横になったまま、首にTシャツを巻きつけて自分で首を絞めて自殺したようだ。しかも、その部屋には自分以外にも人がいて、さらに15分おきに看守が巡回していたという状況だったというから、たとえ凶悪犯とはいえ、よくぞだれにも気づかれずに自分の首を締めきったものだと感心する。

そんなこんなで、今週はいろいろと自分にとって興味のあるニュースがあった。特に、角田美代子の自殺には驚いた。自分は、こうした異常犯罪にものすごく興味があって、裁判記録などのノンフィクションにはすぐに飛びつく。今回の事件についても、裁判の行方について興味があったが、肝心の主犯が自殺してしまっては、真相の解明は期待できそうもない。




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