12/07/01

ニュータウンについて考えてみる

そろそろ本格的に暑くなりそうだ。これからの季節は、ビアンキ君でロングライドというのは少しばかりキツイから、丸ちゃん号でポタリングという機会が増えそうだ。あまり疲れることはしたくないけれど、家の中にこもっているのも嫌だというときに、ママチャリというのは本当に便利な乗り物だ。何の準備もなく、そのまま出かけられる気軽さがいい。

ということで、ユーカリが丘の周辺を丸ちゃん号でポタリングしてみた。千葉県に住んでいない人にとっては、ユーカリが丘なんて地名は聞いたことすらないかもしれないが、ニュータウン業界(そんな業界があるのかは知らないが)ではかなり有名で、自治体が開発した街ではなく、山万という民間の会社が開発した街なのだ。

通常のニュータウンというのは、自治体が最初に開発事業を計画し、民間のデベロッパーが実際の開発を請け負うというパターンが多いが、この場合、最初に一気に開発してその後はほったらかしということになりがちだ。そのために、ニュータウン自体が高齢化するという問題が起きるわけだが、ユーカリが丘の場合は違う。

山万という会社は、1970年くらいからユーカリが丘の開発に着手し、街が段階的に成長していくように綿密な計画のもとに開発を行ってきた。通常のニュータウン開発のように、最初から一気に街を新築物件で埋め尽くすのではなく、毎年建てる新築物件の数を制限しているらしい。これが、ユーカリが丘を持続的に活性化させる作戦というわけだ。

常に新築物件を供給することで街の新陳代謝を促しているわけで、このあたりの戦略はなるほどなと感心する。多摩ニュータウンなどは、街自体の高齢化が問題になっているけれど、ユーカリが丘の場合は高齢化率がかなり低いらしい。こうしたことも最初から計算して開発事業に着手したのだから、山万という会社はなかなか素晴らしい。

また、この街のユニークなところは、ユーカリが丘線という電車が走っている点だ。これは、タウン内を環状運行する電車で、どこかの鉄道会社が経営している路線ではなく、山万が自前で敷いた路線だ。まあ、鉄道とはいっても、全長が4キロあまりというミニ路線だから、モノレールや路面電車をイメージしたほうがわかりやすい。

実際に自分も乗ってみたのだが、15分くらいで一周してしまうような短さだ。線路に沿って自転車でゆっくり走っても、30分もかからない。車両もコンパクトで、向かい合った座席がかなり近く感じる。さらに、電車の名前が「こあら1号、こあら2号、こあら3号」で、車両にもコアラのイラストが描かれていて、なんとも素敵なゆるさ加減だ。

実際に丸ちゃん号でユーカリが丘の街を走ってみると、この街のさらなる奥深さがわかる。街の顔となるユーカリが丘駅の周辺には高層マンションが建ち並び、大型のショッピングセンターなどの商業施設も集中しているが、駅から離れたとたんに緑豊かな風景が広り、低層の一戸建てが建ち並ぶ静かな街並みへと変化する。

従来のニュータウンの場合、土地を効率的に利用するために、大規模なマンションが中心の街並みになるが、実はこれがよくない。集合住宅の場合、新築当時はいいけれど、老朽化してきたときに問題になる。一戸建てなら、リフォームするにしろ、新しく建て直すにしろ、自分たちだけで決めることができるから問題はない。

しかし、マンションの場合はそういうわけにはいかなくて、すべての住民が同意しなければ、新しく建て直すなんてことはできない。建物が老朽化するということは、そこに住む住民も年を取っているわけだから、「この先いくらも生きられないのに、いまさら建て直すなんてねえ」ということになるだろう。その結果、建物の老朽化だけが進み、若い世代には見向きもされなくなって、さらに高齢化が進むことになる。

だから、ニュータウンを開発する場合は、集合住宅と一戸建てをバランスよく建設する必要があるということになるのだろう。「○○団地」などの古いニュータウンは、このあたりについて見事に失敗していて、同じ方向を向いた同じような建物が同じ速度で老朽化して、そこに住む人たちも同じように高齢化の一途をたどっている。

ということで、ユーカリが丘という街は高度に計算された街だということがわかる。一気に開発して一気に撤退するという従来型の方法ではなく、こうして計画的に街を作り上げていくというのは、ニュータウン開発のいいモデルケースになると思う。そうは言っても、これから日本の人口は減る一方だから、そもそもニュータウンの需要自体がなくなるだろう。

これはユーカリが丘にも言えることで、これまでのように街の発展を維持していくのは難しくなると思う。都市部でも人口減少が始まれば、それに伴って地価も下がるから、わざわざ通勤に不便な郊外に住む理由がなくなる。その街自体に大きな魅力があるなら別だが、結局のところ、ニュータウンというのはベッドタウンにすぎないから、その土地に土着しなければならない理由は最初からないわけだ。

などといろいろ書いてみたけれど、結論としては「ニュータウンの散策は面白い」ということだ。電車の時刻表を調べて都心への通勤を頭の中でシミュレーションしてみたり、スーパーの品揃えや価格をチェックしてみたり、図書館の蔵書は充実しているか、散歩が楽しくなりそうな公園や緑道はあるかなどを確認しながら街を散策するのはけっこう楽しい。




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