11/12/04

自転車通勤について考えてみる

最近は、なんだかものすごい勢いで自転車ブームになっているらしい。たしかに、ロードバイクで街中を走っていると、同じような格好で走っている人があちらこちらで目につくし、書店に行っても、さまざまな自転車関係の雑誌が平積みになっている。これは、マスコミによって作られたインチキくさいブームではなく、本物のブームが到来していると言ってもいいと思う。

初代ロードバイクの流星号(現在は「フェルト君」に改名)を買ったのは、いまのマンションを買ったのとちょうど同じ時期だったから、もう6年も前のことになる。その頃は、まだ自転車ブームというほどの盛り上がりはなかったように思う。いつからブームが始まったのかよくわからないが、おそらくガソリン価格が高騰した2008年くらいからだろう。

それまでのエコブームとの相乗効果で、地球にやさしく、ガソリン代もかからない自転車が見直されて、現在の自転車ブームにつながっているのだと思う。そのブームにさらに拍車をかけたのが、あの大地震だろう。電車が止まって道路も大渋滞した状態で一番頼りになるのは自転車だということを、あの地震で多くの人が感じたはずだ。

そんなこんなで、現在は空前の自転車ブームが到来しているわけだが、それに伴って自転車通勤もブームになっているらしい。自分も、ママチャリからロードバイクまで幅広く自転車を愛している人間だから、この自転車ブームは喜ばしいことではあるけれど、自転車通勤となると、「ちょっとどうなんだろう」と思ってしまう。

自転車通勤というからには、自宅から会社までの道のりを自転車で通うわけだが、だれでも自転車で通勤できるわけではない。時速20キロで走るとすると、無理なく自転車通勤できるのは、会社から半径30キロあたりのエリアが限度だろう。都内や東京近郊は信号が多いから、たった30キロを走るのに2時間近くかかるかもしれない。

自分が住んでいる千葉市は、都内の職場から余裕で50キロくらいはあるから、自転車通勤は不可能だ。まあ、思い切り気合いを入れてロードバイクのペダルを踏めば通勤できないこともないが、会社までの道のりでかなりのエネルギーを使うだろうから、仕事に支障が出そうだ。ということで、まったく現実的ではない。

だから、自転車通勤可能域は職場から30キロ以内ということになる。ただし、都内の交通事情を考慮すると、現実的には20キロ以内だろう。この距離ならば、クロスバイクでのんびり走っても、最悪1時間半もあれば会社に着ける。しかし、自分としては、自転車通勤はまったくおすすめしない。

とりあえず、自転車通勤のメリットとデメリットを考えてみよう。メリットとしては、通勤費の分を得する、健康によさそうだ、ダイエットできるかもしれない、なにはなくても気持ちいい、といったところだろうか。

通勤費の分を得する場合というのは、自転車通勤が会社で認められていて、それに見合うだけの手当てを支給されているか、あるいは、電車通勤をしていると嘘の申告をして通勤費を浮かせるかのどちらかだろう。自転車通勤を認めている会社はそれほど多くないだろうし、もし嘘の申告をしていることがバレたら大変だ。

健康によさそうだとか、ダイエットできそうだとかいうのも、実は自分勝手な思い込みにすぎない。たかが自転車に乗ったくらいでダイエットできたら、だれも苦労はしない。自転車でダイエットできたという人は、純粋に自転車だけでダイエットできたわけではなく、ダイエットしているんだ、という意識がはたらいて、無意識のうちに食事の量を減らしているにすぎない(と思う)。

「なにはなくても気持ちいい」というのは、たしかにそのとおりだ。これだけは否定できないし、否定する気もない。結局のところ、自転車通勤のメリットというのは、「乗っていて気持ちがいい」ということがすべてだと思う。健康にいいとか、エコだとか、そういうのはすべて後付けの理由にすぎない。

では、デメリットとしては何が考えられるだろうか。まず思いつくのが、自転車通勤には事故に遭うリスクが伴うということだ。自転車に限らず、すべての交通手段には事故のリスクが伴うが、公共交通機関と比較すれば、やっぱり自転車の場合は事故に遭うリスクが高くなるだろう。

また、通勤途中でパンクするという可能性も決して低くない。パンクした場合、修理には最低でも20〜30分はかかる。常にこの時間を見込んで早めに家を出られれば問題はないが、自転車通勤をしている時点で電車通勤のときよりも家を早めに出ているはずだから、そこからさらに30分も早く家を出るというのはなかなか難しいだろう。

さらに、雨に降られたら最悪だ。天気予報を信じて傘を持たずに出かけたら、いきなり雨に降られるなんてことは当たり前のようにある。これから仕事が始まるというのに、いきなりずぶ濡れになってしまってはどうしようもない。常に雨具を携帯するという方法もあるが、それもなかなか面倒だ。

自転車通勤の場合、服装についても大きな問題がある。スーツで自転車に乗ってもいいけれど、やっぱりお尻のあたりがサドルとの摩擦でテカってくるからよろしくない。とりあえずカジュアルな服装で自転車に乗り、会社に着いたら着替えるという方法が一般的だろうが、これもなんだか面倒だ。真夏などは汗だくになるだろうから、このあたりも難しい。

さらに、ヘルメットの問題もある。とりあえず、スポーツタイプの自転車に乗る場合は安全を考慮してヘルメットを被るのが常識だが、坊主頭ならともかく、普通の髪型だったらヘルメットのせいで髪の毛がペシャンコになってしまうだろう。朝からいきなり同僚の笑いを取ることになりそうで、これもどうかと思う。

というように、自転車通勤にはメリットよりもデメリットの方がはるかに多い。自分はロードバイクに限らず、ママチャリに乗るだけでもハッピーになれるという自転車大好き人間だが、自転車通勤だけはしたいと思わない。自転車通勤をしている人を見ると、なんともご苦労なことだと思うだけだ。

10キロ以内の距離ならば、自転車通勤のメリットがデメリットを上回ることもあるだろうが、20キロ以上の距離になると、間違いなくデメリットの方が多くなると思う。まあ、自転車通勤を選択するのは個人の自由だからどうでもいいけれど、安易にブームに乗って逆に自転車嫌いになる人が出なければいいなとは思う。



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