11/09/18

自転車で佐渡を一周してみた

人並みに夏休みを取って実家に帰省してみた。本当は、せっかく人並みに夏休みを取ったのだから、ハワイに行くとか、カナダに行くとか、スイスに行くとか、アイスランドに行くとか、グリーンランドに行くとか、北極に行くとか、月に行くとか、火星に行くとか、海王星に行くとかしたかったのだが、予算の都合で佐渡になった。

以前からロードバイクで佐渡を一周してみたいと思っていたので、今回はロードバイクを抱えての帰省となった。なにしろ、現在はフェルト君とビアンキ君という豪華な2台体制だから、どちらか1台を持ち帰っても支障はない。ということで、ビアンキ君のおかけで最近は登板機会が減ってきたフェルト君を持ち帰ることにした。

自転車を持ち帰ると簡単に言っても、実はけっこう準備が大変だったりする。なにしろ、いままでに輪行などしたことがないのだ。とりあえず、雑誌やネットなどを参考にして、輪行に必要なものを揃えてみた。とは言っても、基本的には輪行袋が1つあればいいので、特に難しいことはない。実際に大変なのは、自転車を分解して袋に収める作業だ。

これも、雑誌やネットを参考にしながら作業を進めるわけだが、自分はどうもこうした作業が苦手で、なかなか思うように進まない。自分は子供の頃から不器用で、中学校の授業で椅子を作ったときも、左右の脚の長さが違う椅子ができたりして、あまりの不器用さに我ながらビクーリしたくらいだ。これは、いまだに夢に見ることがある。

そんな不器用さを今回も遺憾なく発揮しながら、なんとか作業を終えて輪行袋にバイクが収まった。さて、今度はこの袋を抱えて佐渡まで移動するという大仕事が待っているわけだ。紐を肩にかけると、ズシリと重さが伝わってくる。いくつかの装備を身にまとったフェルト君の総重量は11kgくらいはあるだろう。

バイクジャージに着替え、フェルト君を抱えてバス停を目指して歩き始めたのだが、バス停までのわずかな距離が果てしなく遠く感じる。なにせ、重いのだ。細い紐は肩に食い込むし、ペダル部分は太ももに当たるしで、歩き始めたばかりなのにいきなり汗が噴き出す。こんなことで、本当に佐渡まで帰れるのだろうかと不安がよぎる。

しかし、いろいろな持ち方や姿勢を試していくうちに楽な運搬方法のコツをつかんだようで、東京駅の新幹線ホームにたどり着いたときには、だいぶ余裕が出てきた。新幹線の座席は、あらかじめ一番後ろの座席を予約しておいた。この席ならば、壁と座席との間のスペースに、輪行袋がちょうどすっぽりと収まる。輪行は、こうした部分まで考慮しなければならないから大変だ。

新潟駅に着いてフェルト君を組み立てたところで、大きな山場は超えた。カーフェリーにはロードバイクをそのまま持ち込めるから、もうバイクを分解して袋に詰めたりする必要はない。ヘルメットを被ってサングラスをかけ、佐渡汽船に向って走りながら、輪行は自分には向かないなあと思った。不器用な自分にとって、この作業はハードルが高すぎる。

佐渡に着くと、あのノロノロ台風がちょうど日本海を通過しているらしく、雨はまだ落ちていないが雲行きが怪しい。急いで家に帰ろうと思い、船を下りてすぐにフェルト君で走り出す。この日はちょうど、佐渡国際トライアスロン大会の開催日らしく、大勢の選手が走っているマラソンコースをフェルト君で走ることになった。

沿道には地元の人たちが出てきて、マラソンを走る選手たちに声援を送っているのだが、その中をロードバイクで走っていくのは妙な感じだった。まさか自分のことをトライアスロンの参加選手だと勘違いする人はいないだろうが、中にはついでに声援を送ってくれる人もいたりして、なんだか居心地が悪い。

そんな感じで家に着き、台風が通り過ぎるまで家でゴロゴロしていた。台風が通過すると空気がガラリと入れ替わり、秋を感じさせる爽やかな風が吹いてきた。サイクリングには絶好のコンディションだ。母親に握ってもらったおにぎりを持って、朝5時に出発した。海まで下り、そこからはひたすら時計回りに海岸線を走るだけだ。

これまでにクルマで佐渡を一周したことは何度もあるけれど、自転車で走ってみるとやっぱり風景の見え方や感じ方が違う。それにしても、佐渡に住んでいるときには自転車で佐渡を一周するなんて考えたこともなかった。そもそも、自転車でそんな長距離を走るという発想がなかった。それだけに、いまこうして佐渡を一周しているというのは感慨深いものがある。

クルマで走っているときにはフラットに感じた海岸線も、自転車で走ってみるとかなりアップダウンがある。特に、佐渡の北端あたりは複雑な地形になっていて、かなり急な坂もあったりして面白い。このあたりは佐渡の中でも秘境で、海岸線には勇壮な景観が広がる。佐渡を代表する観光スポットなので、佐渡を訪れた際はぜひ立ち寄ってください。

佐渡の海岸線は信号がほとんどなくて走りやすいのだが、自転車で走っていて困るのが、コンビニがないことだ。コンビニやスーパーは佐渡の平野部に集中しているから、海岸線沿いにはそうした店がほとんどない。だから、食事のタイミングと場所を事前に計画しておかないと、後でとんでもないことになる。腹が減ってからコンビニを探していては遅いのだ。

そんなこんなで無事に佐渡を一周してきた。サイクルコンピュータの距離メーターは230キロを表示している。自宅から海岸に出るまでに10キロ近くあるから、その往復分を差し引くと、純粋に佐渡を一周するだけなら210キロくらいになるだろう。実際に自分で走ってみて、佐渡の大きさというものを改めて実感した。

去年、フェルト君で房総半島を一周したときも楽しかったが、今回の佐渡一周も楽しかった。なにしろ、生まれ故郷でのサイクリングだから、やっぱり思い入れが違う。フェルト君は実家に置いてきたので、帰省したときにはいつでも乗れる。ということで、帰省したときの楽しみがひとつ増えた。また爽やかな風を感じながら、佐渡を巡ってみよう。



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