11/07/10

歳を取ると涙腺が弱くなるというのは本当らしい

最近のお気に入りは、NHKの連続テレビ小説「おひさま」だ。もちろんリアルタイムでは見られないから、いつも録画して見ているのだが、主役の井上真央たんが素晴らしい。若いのにものすごく演技がうまいと思う。若くて可愛いというだけでドラマに出ている女子とはまったく違う。

また、その相手役の高良健吾くんもものすごくさわやかなイケメンだ。まるで、20年前の自分を見ているかのようなイケメンぶりだ。きっと、このドラマをきっかけにブレイクするだろう。脇を固める俳優さんや女優さんたちも素晴らしい。登場する人たちがすべていい人ばかりというのが少しうそ臭いが、朝ドラはこれくらいでちょうどいいのかもしれない。

ということで、いい人たちばかりが出てくるうそ臭いドラマを見ては、いつも涙を流している。歳を取ると涙腺が弱くなるというのはどうやら事実らしく、最近は本当に涙もろくなってきた。なにしろ、感動的なシーンで感動的な音楽が流れてくると、それだけでじわりとくる。そこから涙がこぼれるまでに10秒もかからない。

若い頃は、こんな学芸会みたいなわざとらしいドラマなんて、鼻で笑っていた。朝ドラを見ながら涙を流している母親を見て、どうしてこんなにわざとらしいドラマで泣けるのか、本当に不思議でしかたがなかった。しかし、いつの間にか自分自身がそういう不思議な生き物になってしまったらしい。

ドラマだけでなく、小説を読んでもすぐに泣ける。これまでで一番泣けたのは、浅田次郎の「鉄道員」と「天国までの100マイル」だ。この2冊だけで、ドラム缶1本分くらいは泣いたと思う。とにかく、「家族愛」をテーマにしたドラマや小説に極端に弱い。自分でもどうしてここまで涙もろくなってしまったのか不思議なくらいだ。

子供の頃も、やたらと泣き虫だった。親に少しでもきつい口調で何か言われると、すぐに泣いていたし、女子とケンカしても言い負かされて、最後にはいつも泣いていた。そんな泣き虫の自分が大嫌いだった。今度は何があっても絶対に泣かないぞと決心しても、結局はいつも泣いていた。

中学生くらいになると、さすがに人前で泣くようなことはなくなった。たまに悔し泣きをするようなこともあったが、それでも人前で涙を見せることはほとんどなくなった。泣くという行為自体が、なんだかとても恥ずかしいことのように感じていたのだと思う。だから、ドラマを見て泣くなんてこともほとんどなかった。

そんな感じで、若い頃は、自分が涙腺の弱い人間だとは思っていなかった。しかし、30歳を過ぎたあたりからだろうか、なんだか涙もろくなってきたようだ。それと同時に、年齢を重ねるにつれて自然が好きになっていることにも気付いた。涙腺と自然に対する愛着というのはリンクしているのだろうか。

以前は、桜が咲いても、新緑が萌えても、紫陽花が笑っても、ひまわりが背丈をいっぱいに伸ばしても、コスモスが可憐に揺れても、もみじが真っ赤に燃えても、なんとも思わなかった。四季の移り変わりは、気温の変化や日照時間の長さなど、直接的な情報でしか感じることができなかった。

それがいまとなっては、季節の花や木々だけでなく、空の高さや雲の形、空気に混じる匂いにまで敏感に四季の移り変わりを感じるようになってきた。年齢を重ねるとなぜ自然が好きになるのか、その理由はよくわからないが、周囲の人間に聞いてみても、やっぱり自分と同じように感じている人は多い。

毎日を何も考えずにダラダラと過ごしているようでいても、実はそれなりに何かを感じて何かを考えながら生きているということだろう。若い頃は感じることができなかった、人の優しさや生きることの厳しさみたいなものをそれなりに学んできたということだろう。結論としては、自分も少しは大人になったらしいということだ。



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