11/05/08

幸せのカケラを拾い集めてみる

連休中はいつものようにぼんやりと過ごしたため、これといったネタを仕入れていない。なので、特に書くこともないのだけれど、だからといって何も書かずに済ますのも全国に8人くらいはいるだろうと思われる覚書ファンの皆さんに申し訳ないので、無理矢理にでも捻り出して書いてみることにします。

ということで今回は、自分が「ほんの少しだけ幸せを感じる時間」を紹介してみよう。人間という生き物は、歳を重ねるにつれて辛いことが増えてきて、嬉しいことは逆に減ってくるものだが、それでもふと幸せを感じる瞬間というのはそこかしこに落ちていて、それを拾い集めて毎日を過ごしているといった感じではないだろうか。

そんなのはお前だけさ、こっちは毎日楽しくてしかたないね、なんていう幸せな人もひょっとしたらいるのかもしれないが、そんなうらやましい人は放っておいて、サクサクと話を進めていこう。話をわかりやすくするため、朝起きてから夜寝るまでを時系列で書いてみたい。

まず、朝起きたらシャワーを浴びて着替えるのだが、このときにスラックスの折り目がピシッと決まっていると気分がいい。小さな幸せを感じる瞬間だ。ただ、この幸せが続くのはスラックスをクリーニングに出してから3日目くらいまでのことで、それ以降は徐々に幸せな気持ちが薄れていく。

朝食の味噌汁をすする瞬間も、小さな幸せを感じる。自分は必ず最初に味噌汁から食べ始めるが、熱々の味噌汁が空っぽの胃袋に落ちていくのを感じるのは何とも言えず幸せな気分になる。好きな味噌汁の具はアサリやシジミなどの貝類だが、家計の都合でこうした味噌汁を毎朝食べるわけにはいかないのが少しばかり悲しい。

駅までの道を歩くのも、いまの時季は楽しい。駅に行く道には3つくらいのコースがあるのだが、この時季は公園の中を通るコースがお気に入りだ。紫やピンクや白のツツジがきれいに咲いていて、これから始まる憂鬱な仕事のことを束の間だが忘れることができる。

また、駅までの道のりは、人間観察の貴重な時間でもある。毎日決まった時間に出勤していると、毎日同じ顔ぶれに出会うから、そういう人たちにいろんな名前を付けて楽しんでいる。たとえば、いつもセカセカと歩いている「競歩君」とか、ものすごい勢いで走っていく「ダッシュ君」とか、浅黒くてエキゾチックな雰囲気の「モロッコ君」とか、そんな感じだ。

最近のお気に入りは「おしどり夫君」だ。還暦前後のおじさんなのだが、去年の初めくらいに家を新築して引っ越してきたらしい。毎朝家を出て曲がり角まで来ると、必ず家の方を振り返って奥さんに手を振ってからまた歩き出すのが日課になっていた。その微笑ましい光景を見て、「おしどり夫君」と「おしどり妻ちゃん」と名付けたわけだ。

しかし、どうも最近は様子がおかしい。おしどり夫君は、曲がり角まで来ると相変わらず家の方を振り返っているのだが、おしどり妻ちゃんがめっきり姿を見せなくなってしまった。奥さんの姿をいつまでも待ち続けてポツンと曲がり角に立っているおしどり夫君の姿が哀れだ。だから、最近になって「おしどり妻ちゃん」を「鬼嫁ちゃん」に改名した。

このおしどり夫君が曲がり角にポツンと立っている姿を見かけると、なんだか幸せな気分になってしまう自分は人間失格でしょうか。

そんな感じで駅に着くと、ターミナル駅の千葉駅まで2駅戻ってから、改めて乗り直して座席を確保するのだが、これも小さな幸せを感じる時間だ。座席に腰を下ろすなり本を広げて読み始めるのだが、いくらもページをめくらないうちに眠気が襲ってきて、そのまま目的地までうつらうつらとした時間を楽しむ。

会社に着いてからは、特に面白いことはない。昼休みになると速攻で席を立ち、天気がよければそのまま外に出かける。立ち食いソバや牛丼などのファストフードをかきこんだ後は、適当にブラブラと散歩を楽しむ。いろいろなことを考えながら歩くのだが、天気がいいと考え方も少しばかり前向きになるから面白い。

午後の仕事を終えて電車に乗り込んだときに、たまたま座席が空いていると嬉しくなる。座席がいっぱいのときでも、次の駅で自分の目の前に座っていた人が立ち上がったりするのも嬉しい。座席に腰を下ろして、朝の居眠りで中断したページから読書を再開する。帰りの電車で眠くなることはないから、このときが一番ページが進む。

家に帰ってくると、相方の手料理が待っている。当然この時間が一番幸せを感じるわけだが、こんなところでノロケるのはどうかと思うので、夕食の部分は割愛して次に進む。

夕食を終えると大抵は21時くらいになっているので(残業は滅多にしないから、いつも帰りが早い)、寝転がってNHKのニュースを見る。この番組は、何と言ってもキャスターの大越さんがいい。女性アナウンサーにときどき軽い突っ込みを入れたりするのも素敵だ。前任者の田口さんの喋りがひどかっただけに、一層素敵さが増す。

ただし、月曜日だけはNHKのニュースは見ない。代わりに何を見るのかというと、BS-TBSで放送している「酒場放浪記」という番組だ。吉田類といういかにも怪しげなおじさんがディープな居酒屋を訪ねて飲み食いするというだけの番組だが、カメラなんて気にせず本気で飲み食いするところがいい。

この番組を見るたびに、自分もこういう場所に一人で行って飲んでみたいと思うのだが、なしにろ小心者だから実現は難しそうだ。でも、憂鬱な気分になりがちな月曜日にこういう番組があると、なんだか救われたような気持ちになる。まだ見たことがないという人は、機会があったらぜひ見てください。お勧めです。

テレビを見た後は風呂に入る。大抵の人は、のびのびと湯船に浸かるひとときに幸せを感じるのだろうが、自分の場合は典型的な「カラスの行水」だから、湯船に浸かっても、特にどうということはない。正直なところ、毎日シャワーだけでも平気だ。なので、この時間は特に幸せを感じることはない。

風呂から上がったらベッドに入るわけだが、この時間が一日の中で一番好きな時間だ(ただし、休日の場合は早朝が一番好きな時間になる)。ポカポカと暖かい身体を横にして、本を広げて読むこの時間が一番くつろげる。ただし、ここで重要なのは、どんな本を選ぶかということだ。

ロードバイク関連の本を読むのは危険だ。読んでいくうちに夢中になって、眠れなくなってしまう可能性があるからだ。一番いいのは、小難しい文章で書かれた古典のペーパーバックだ。これなら、30分もしないうちにまぶたが重くなってきて自然に眠ることができる。

そんな感じで朝までぐっすり眠ることができればいいのだが、たまに夜中に眼を覚ますことがある。そんなときは枕元の目覚まし時計を確認するのだが、起床時間までまだ2時間くらいあるときなども小さな幸せを感じる瞬間だ。逆にあと30分くらいしかないときなどは最悪の気分だけれど。

ということで、また新しい一日が始まり、同じように小さな小さな幸せのカケラを拾い集めながら生きていくわけだ。こうして書いてみると、あまりにもつまらないことばかりで、思わずめまいがしそうだ。まあ、平日はこんな感じだけれど、休日はもっと幸せの量が多くなる。今度ネタ枯れになったときにでも、そのあたりのことについて書いてみたい。



今週の覚書一覧へ

TOP