11/01/29

祝・佐渡高校野球部選抜大会出場決定

我が母校である佐渡高校が、春の選抜大会に出場することが決まった。佐渡から甲子園に出場するのは初めてのことで、佐渡高校OBとして素直に嬉しい。21世紀枠という少しだけズルイ方法での出場だが、それなりの結果は残しているわけだから、堂々と胸を張っていいと思う。

2008年の夏の新潟県大会では決勝戦まで勝ち上がり、一打出れば逆転サヨナラという、まさに甲子園まであと一歩のところまで来たし、去年の秋の県大会でも準優勝したのだから充分に強い。そのときの決勝戦の相手は、2009年夏の甲子園大会で準優勝した日本文理高校だ。選抜に出ても恥ずかしくないだけの力はあると思う。

去年の暮れに、21世紀枠の候補として佐渡高校の名前が挙がったときから期待していた。9校のうち3校が選ばれるということで、確率としては3割強だが、自分としては8割方はいけるだろうと思っていた。なにしろ、離島というハンデと、そこそこの進学校でもあるという、まさに高野連の好きそうな材料が揃っているからだ。

しかし、実際に選ばれてみると、やはり喜びもひとしおだ。いまごろ、佐渡は盛り上がっていることだろう。これから、寄付金集めやら応援団の結成やら甲子園までの交通手段の確保やらで、学校関係者はなにかと大変だろうが、めでたいことなのでやりがいもあるだろう。大いに盛り上がってほしい。

それにしても自分が高校生の頃は、甲子園なんて夢のまた夢だった。他の運動部が突然変異的に全国大会に出場するようなこともあったが、やはり甲子園は特別だ。なにしろ、ほかのスポーツとは注目度がまったく違う。自分が中学生のときに柔道部が全国大会に出場したこともあったが、島民の間ではほとんど話題にもならなかった。

佐渡高校野球部がここまで強くなったのは、深井さんという監督の力が大きいらしい。2006年に深井監督が就任したときには、県大会の1回戦を勝てるかどうかという弱小チームだったが、深井監督は就任の挨拶で、「お前たちを必ず甲子園に連れていってやる!」と部員たちに約束したらしい。カッコいいよ深井さん、あんたカッコよすぎるよ。

それから猛練習の日々が始まるわけだが、一番困るのが、島内には練習相手がいないということだ。佐渡には高校が5つあるのだが、どの高校の野球部も弱小チームばかりで、いい練習相手にはならない。そこで、シーズン中は毎週のように本土まで出かけて強い相手と練習試合を重ねることになる。

佐渡と新潟本土を結ぶ交通手段は船しかない。しかも、片道2時間半もかかる。大荷物を抱えながら船に揺られて到着し、練習試合をこなした後は、また2時間半をかけて佐渡まで戻らなければならない。とにかく時間がかかる。時間がかかるだけならまだしも、時間に比例してお金もかかる。

このように、練習試合だけでも、本土の高校とは比較にならないくらいのハンデがあるのだ。そのハンデを克服するために、きっとものすごい努力を重ねたのだろうと思う。あまりにも当たり前の感想で情けないが、本当に胸が熱くなる。ついでに目頭も熱くなる。どうも最近涙腺が緩くなってきて困る。

それにひきかえ、自分はいままでに何か真剣に努力したことがあっただろうか。高校では柔道部に入っていたが、本当に適当だった。なにしろ、自分が部長になってからは、冬の間は部活動は中止していたくらいだ。冬の畳というのは想像以上に冷たいから、それが辛くて冬眠していたのだ。なんたる怠慢な部長だろう。

一事が万事そんな調子で、とにかく楽な方へ楽な方へと流れていってしまうのが自分の悪い癖だ。社会人になってからも、嫌なことからは極力逃げながら、のらりくらりと生きてきた。まあ、こんな調子でもなんとか生きてこられたというのは一種の才能かもしれないが、あまり自慢できることではない。

英語だけはほんの少しだけ頑張って勉強したけれど、それにしたって、人より少し単語を多く知っているというくらいのレベルだ。英語は話せないし、映画やドラマも字幕なしではチンプンカンプンだけれど、ちょっと難しい本くらいなら読めますよ、というエクスキューズ付きの英語力でしかない。

こうして考えてみると、これだけは頑張ってきたと胸を張れるものが自分にはないということに改めて気付く。もう人生も半ばを過ぎたというのに、いったいこれまで何をしてきたのだろう。脳細胞を溶かしながらダラダラと酒を飲み、嫌なことからは目をそらしながら、楽に生きる方法だけを考えて生きてきた。なんと無益な生き方だろう。

ということで、母校の甲子園出場に重ねて少しだけ真面目に自分の生き方を反省してみたけれど、こういう感情も一時的なもので、またすぐにいつものいい加減な自分に戻っていくわけだ。人間というものは、そんなに簡単に変われる生き物ではないしね。こうして時々これまでの人生を考えてみるくらいでいいと思う。

それはともかく、佐渡高校野球部には心からおめでとうと言いたい。せっかく甲子園に出場するのだから、できれば勝ってもらいたいとは思うが、そこまで甘くはないだろう。とにかく、一方的な試合にさえならなければいいと思っている。佐渡の高校生が甲子園でプレーする姿を見られると思うだけで、胸が熱くなってくる。



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