10/11/21

青春の大学生活 - 自炊の思い出

ついこの間まであんなに暑かったのに、気付いてみればもう冬の気配が漂っている。今年は夏が異様に暑かったせいか、秋を飛び越していきなり冬になったような感じだ。夏の間は、今年はもう涼しくならないのではないかと心配していたが、最近の寒さで、やっぱり季節は巡るんだなと妙に納得している今日この頃だ。

そんな前フリとは関係なく、今回は自炊をテーマに「青春の大学生活」の続きを書いてみたい。大学1年の頃は、まったく自炊などしなかった。毎日の食事は、バイト先の賄い食か、近所の中華屋のレバニラ定食か、大学生協の150円カレーというのが主力メニューだった。たまにインスタントラーメンを作る以外は、すべて外食だった。

しかし、大学2年のある日、道路わきのゴミ捨て場でフタの欠けた炊飯器を拾ったときから食生活が変化を見せはじめた。昔なつかしい炊飯器(こんな感じ)を抱えて部屋に戻り、コンセントを繋いでみると問題なくランプが点く。早速、近所のスーパーに買出しに出かけた。

なにしろ、それまでの炊事道具といえば、アルミの片手鍋とラーメン丼しかないのだ。自炊したくてもインスタントラーメンくらいしか作れない。しかし炊飯器をゲットしたいまとなっては何だって作れるぜ、とばかりに鼻息荒くスーパーに出かけたのだが、いざとなると何を作ればいいのかわからない。

買い物カゴをぶらさげて途方に暮れたあげく、卵と米と醤油を買って部屋に戻った。米を研いで炊飯器にスイッチを入れ、炊き上がりを待つ。ドキドキしながらフタを開けると、ツヤツヤのご飯がちゃんと炊けていて、思わず「おおー」みたいな声を出した。なんだか感動する。

早速、買ってきた卵をご飯に割り落として醤油を掛け回す。そう、自分の記念すべき初の自炊料理は卵かけご飯だったのだ。これが料理といえるのかどうかはわからないが、自分にとっては立派な料理だ。それからしばらくの間は、卵かけご飯ばかりを食べていたような気がする。

しかし、さすがに同じものばかりでは飽きる。そこで、もう少しまともな料理を作ってみようと考えて、また近所のスーパーに向かった。今回は、ブタ小間と野菜のほかに、まな板と包丁とフライパンを買った。そう、今回は野菜炒めにチャレンジしようと考えたのだ。

野菜炒めなら、野菜を適当に切って炒めるだけだから、いくら不器用な自分でも失敗のしようがない。油を引いて肉と野菜を放り込み、塩コショーと醤油で適当に味付けをして食べてみたところ、なかなか美味かった。ということで、生まれて初めて作った野菜炒めは、自分としては上出来だった。

それからはチャーハンやカレーなどにもチャレンジして、徐々に料理のレパートリーを増やしていった。しかし、自分は思い切りせっかちな性格なので、手間ひまをかけて料理を作るということがどうしてもできない。なにしろ常に空腹状態で料理を作るものだから、悠長に時間をかけている余裕がない。

料理を火にかけていい匂いが漂ってくると、もう我慢できない。もう少し煮込めば美味くなるとわかっていながら、空腹に勝てずに料理を火から降ろしてしまう。モツの煮込みなどを作っても、やっぱり空腹に勝てずにすぐに火から降ろすものだから、大根などはシャキシャキのままで、ものすごくフレッシュな煮込みだった。

じっくりと煮込むからこそ煮込みというのは美味くなるのに、火が通ったか通らないかですぐに食べてしまっては、そもそも煮込みとは言わない。多めに作ったときなどは残りを次の日に食べることもあったが、そのときになってようやく、「お、なんだか煮込みに似てるな」などと感じるくらいだ。

こんな調子だから、カレーの場合もジャガイモやニンジンに火が通るのが待てずに、スピード勝負で作ることになる。こうした火の通りにくい野菜は使わず、ピーマンやキャベツやナスなど、すぐに火が通る野菜でカレーを作るようになった。これなら、10分もあればすぐにカレーが食べられる。

しかし、とことんせっかちな自分はそれでも飽き足らず、今度は丼料理に向かって進んでいった。丼料理といっても、本格的な親子丼やカツ丼などを作るわけがなく、適当な食材を適当に炒めて、丼によそったご飯に適当にぶっかけただけのものだ。これならば、ご飯とおかずを別々に食べる必要がないから、さらに手間が省ける。

どれだけせっかちなんだと自分でも思うが、こればかりは自分の性分なのでしかたない。だから、手間ひまかけて料理を作れる人はすごいと思う。自分には絶対にできない芸当だ。自分の場合、料理の才能うんぬんではなく、そもそも性格的に料理に向いていない。

そんな感じで、スピード勝負の料理を極めていった結果、最終的に一番効率的で美味い自炊料理は、卵かけご飯だという結論に達した。これほどまでにスピードと美味さを兼ね備えた料理はないと思う。ということで、ここで断言しよう。男の自炊料理は、卵かけご飯に始まって卵かけご飯に終わると。



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