10/10/17

アンケート調査の落とし穴

普段のニュースは朝晩のNHKニュースでチェックしているのだが、テレビでは放送されない小さなニュースについてはネットでチェックしている。ネットのニュースでは、Yahoo! ニュースがよくまとまっていて見やすい。そのYahoo! サイトで気になるニュースを見つけた。

子供時代の手伝いや自然遊び体験が結婚に有利 アンケートで判明という記事だ。簡単に説明すると、子供の頃に外で遊んだ経験の多い人は、そうでない人に比べて既婚率が1割ほど多いという内容だ。このアンケート結果を受けて、子供の頃の体験は異性との関係に大きな影響があると、この記事ではまとめている。

何も考えずに読むと、なんとなく納得してしまいそうだ。ウチの子も将来結婚で苦労しないように、いまからでも外で遊ばせておくか、などと考える人もいるかもしれない。あるいは、いまだに結婚できないのは子供の頃にゲームばかりしていたからかなのか、などと反省する人だっているかもしれない。

しかし、よく考えればかなりいい加減なアンケートだということがわかる。このアンケートの決定的な欠陥は、「子供の頃によく外で遊んだ」ということと、「現在結婚している」ということを、単純に1対1の因果関係として結びつけている点だ。これではまるで、子供の頃に外で遊んでさえいれば結婚できるという誤解を与えかねない。

そもそも、子供の頃から外で遊んでいたという人は、家の中でゲームばかりしていたという人に比べて、外交的で明るい性格だとも考えられるだろう。そういう人が異性に対して積極的になれるのはごく自然なことで、こうした人の既婚率が高いのも不思議ではない。

あるいは、子供の頃に外で遊んでいたと人というのは、当然ながら田舎育ちの人が多いわけだ。田舎にはいまだに大家族が少なくないから、そうした環境で育てば自然に「家」というものを大事に考えるようになるし、結果として結婚ということを強く意識するようになるのはごく自然なことだ。

逆に、都会の子供は核家族で育つ場合が多いから、それほど家というものに執着はない。だから、結婚に対しても淡白な考え方を持つようになり、結果として既婚率が下がることになる。つまり、このアンケートの「子供の頃に外で遊んだかどうか」という条件は、「田舎で育ったか都会で育ったか」という条件にもなり得るということだ。

もちろん、この推測が正しいとは限らない。むしろ、突っ込みどころ満載だとは思うが、ここで重要なことは、「子供の頃によく外で遊んだ」という事実から、「だから既婚率が高い」という結論を導き出すのは、非常に乱暴だということだ。あまりにも乱暴すぎて、暴れん坊将軍も真っ青だ。

これは、「国立青少年教育振興機構」という独立行政法人によるアンケートらしいが、何をくだらないことをやっているのかと思う。こういうくだらないアンケートを行って高い給料をもらっている人間がいると考えると、正直なところ頭に来る。こういうふざけた事業は、蓮舫大臣に即刻仕分けしてもらいたい。

これに似たようなアンケートは他にもあって、たとえば「おかずの品数が多い子供は、少ない子供に比べて成績がいい」というアンケート結果があった。テレビのニュースで見たのか、何かの雑誌で読んだのか、あるいはネット上で見つけたのか、そのソースについてはよく覚えていないが、とにかくそんなアンケートがあったことは記憶している。

このアンケートなどはまさに噴飯物で、「おかずの品数が多い子供は、少ない子供に比べて成績がいい」という結論を出した人間の頭を疑いたくなる。たしかに、おかずの品数と成績には因果関係があるのかもしれないが、だからといってその両者を短絡的に結びつけることはできないだろう。

おかずの品数が多いということは、その家庭がそれだけ裕福だということだ。裕福であれば、子供の教育にもそれなりに金をかけることができるから、成績もそれなりに上がる。それとは逆に、おかずの品数が少ない家庭はそれなりに貧しいから、子供の教育にもあまりお金をかけられない。だから成績も上がらない。

このアンケート結果を見て、「ウチの子にも今日からおかずを増やしてあげなくちゃ」などと素直に考えてはいけない。むしろ、おかずの品数を減らしてでも、子供の教育費に回すべきだ。おかずを減らした分のお金を塾や家庭教師などのお金に回したほうが、おそらく成績アップには効果があるだろう。

もちろん、子供の成績がすべて家庭の経済事情に左右されるということではないと思う。その証拠に、自分は子供の頃からずっと貧しくて、食卓におかずが2品以上並んだことなどめったになかったが、成績は常にトップ(に近い感じ)だった。まあ、小学生の頃は同級生が自分を含めて6人しかいなかったというオチがつくのだけれど。

ということで、こうしたいい加減なアンケート結果を鵜呑みにするのは危険だ。特に、メーカーが行うアンケートは、最初から自社製品の購入意欲を煽るような結果に誘導することがほとんどだ。独立行政法人でさえこんないい加減なアンケートをしているわけだから、世間にはインチキ臭いアンケートが蔓延していると考えて間違いない。



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