10/10/03

正しい禁煙の方法

いきなりものすごい勢いでタバコの値段が上がったらしい。値上げ前日の9月30日には、駆け込み需要を狙ってスーパーの1階に臨時の販売コーナーを設けているところもあったりして、なんだか売る方も買う方も必死な感じだ。ちょうど5年前に禁煙した身としては、この騒動についてはすっかり他人事だ。

タバコが値上げされるたびに、取りやすいところから税金を取るのはやめろ、みたいな声が上がるが、まあこればかりは仕方ない。タバコの煙には周囲の人間が迷惑していることは間違いないわけだから、こういう迷惑なものを狙い撃ちして増税するのは当然だ。

それにしても、愛煙家にはつらい時代になったものだと思う。オフィス内での分煙化はいまや当たり前だし、駅の構内も喫煙コーナーが撤去されて終日禁煙が実施されているし、新幹線の車内もすべて禁煙だし、歩きタバコも条例で禁止しているところが多いしで、いったいどこで吸えばいいんだ、ゴルア! と怒りたくなるだろう。

ここまでタバコに対して風当たりが強くなったのはつい最近のことで、以前はタバコに対してもっと寛容だった。自分が新卒で入社した会社では、当たり前のように皆が自席でスパスパとタバコを吸っていた。いまから思うとすごい時代だった。きっと、周囲のタバコ嫌いの人たちは大迷惑だっただろう。どうもごめんなさい。

しかし、こうした喫煙者のほうが強い時代というのは長くは続かなかった。時間とともにじわじわと非喫煙者が勢力を拡大してきて、いまではすっかりその勢力が逆転してしまった。以前は大きな顔をして歩きタバコをしていた人が大勢いたのに、いまではあまり見かけなくなった。

こんな風潮だし、今回の大幅値上げをきっかけにタバコをやめようと思っている人も多いだろう。ということで、1回だけのチャレンジで見事に禁煙に成功した自分がものすごく偉そうにアドバイスをしてみたい。禁煙で一番大事なことは、「思い立ったら即実行」ということだ。

まだタバコが何本か残っているから、これを全部吸いきったら禁煙しよう、なんて思っているうちは禁煙などできないと思ったほうがいい。「明日から禁煙しよう」ではなく、「とにかく今日だけは禁煙してみよう」という考え方が重要だ。これは禁煙だけでなく、何事においても共通する考え方だ。

たとえば、アルコール依存に苦しむ人たちの間では、「明日になったら飲んでもかまわないから、とにかく今日だけは断酒しよう」というのが合言葉になっている。この「今日だけはやめる」という考え方でその日を乗り越え、これを続けていくことで結果的に断酒の日々を築き上げていくというわけだ。

タバコについても同じで、「とにかく今日だけは」と考えて禁煙を続けていけばいい。幸いなことに、ニコチンにはアルコールや薬物などのように強烈な依存性はないから、ある程度の期間が経てばニコチンに対する欲求はきれいに消える。それはもう、見事なまでに消える。

アルコールの場合、一度依存症に陥ると、たとえどれほど長期間断酒したところで、アルコールに対する欲求は絶対に消えない。そういう意味では、アルコール依存症というのは不治の病と言えるだろう。それに比べれば、ニコチンに対する依存なんてかわいいものだ。

自分の場合は、禁煙をしようと思い立った瞬間に、まだ15本くらい残っているタバコをゴミ箱に投げ捨て、家中のライターを探し出して全部捨て、ついでに灰皿もすべて捨てた。我ながら機敏な行動だったと思う。こうした機敏さと大胆さがいつも発揮できていれば、今頃はもっと違った人生が送れていたかもしれない。

それはともかく、禁煙を始めてからの数日はやっぱり少しだけ辛かった。自分の場合は、晩酌のときに2〜3本吸うだけのライトスモーカーだったから日中は平気なのだが、アルコールを飲むとタバコが吸いたくなるのが少しばかり辛かった。しかし、これも3日くらいで収まり、1週間も経ったころにはすっかり平気になった。

この期間がどれくらいになるかは、それまでにどれくらいの本数を吸っていたかによると思う。禁煙に成功した友人の話では、それまでは1日に20〜30本ほど吸っていたが、ニコチンに対する欲求がきれいに消えるまでは2〜3週間かかったということだ。やはり、禁煙中はそれなりに辛かったらしい。

ここで重要なことは、禁煙には必ずゴールが存在するということだ。「明日から」ではなく、「とにかく今日だけ」という考え方で禁煙を始めてみてはどうだろう。1日でも禁煙に成功すれば、「せっかく1日禁煙できたんだから、もう1日だけ」という気持ちになると思う。あとは、その日々を淡々と積み重ねていくだけだ。



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