10/08/15

ノンアルコールビールの意味

毎日嫌になるくらい暑い。今年は春先から天候不順で、もしかしたら冷夏になるのではと予想していたのだが、その予想は見事に外れた。この暑さのおかげで、ノンアルコールビールの売り上げが絶好調らしい。どんな商品にしろ、物が売れるというのはいいことだ。それだけお金が世の中に流通する。

しかし、個人的にノンアルコールビールはどうかと思う。飲んでも酔えないビールを飲んで、何の意味があるのだろうか。そもそも、ビール自体が決して美味しいものではない。高校生のときにビールを初めて飲んだときには、どうして大人はこんなにマズイものを喜んで飲んでいるのだろうと真剣に思ったものだ。

ビールが美味いと感じるのは、飲んだ後にやってくるあのトロリとした酔いがあるからだ。ささくれ立った神経の先端がトロリと溶けて丸くなっていくような、あの感覚が待っているからこそ、あんな苦い飲み物を喜んで飲むのだろう。酔いというご褒美がなければ、おそらく誰もビールなど飲まないと思う。

このあたりはタバコと同じだ。タバコを吸うのは、ニコチンを吸い込んだときのあのクラクラする感じを味わいたいからであって、煙自体の味が好きだという人などいないだろう。現在はニコチンの含まれていない電子タバコなるものが流行っているらしいが、ノンアルコールビールと同じくおかしな商品が流行るものだ。

去年だったか、完全なノンアルコールビールがキリンから発売されたときに、話のネタにと思って飲んでみたことがある。一口飲んでみたときには、結構ビールに似ていてイケるかもと感じた。少し苦味が足りない気もするが、喉越しなどは本物のビールと比べても遜色はないと感じた。

しかし、飲んでいてもまったく酔わないというのはおかしな感覚だ。長年ビールを愛飲している人間としては、あの黄金色の液体を飲めばトロリとした酔いが待っていると身体が覚えこんでしまっているので、酔わないビールというのは、動いていないエスカレーターにそれと知らずに乗って思わず身体が前につんのめってしまうような違和感がある。

いったい、ノンアルコールビールの需要というのはどのあたりにあるのだろうか。一番多いのは、やはりクルマを運転していてアルコールを飲めないという状況だろう。酒席に呼ばれたものの、クルマで参加しているからアルコールは飲めないときなど、ノンアルコールビールならば宴会の雰囲気も壊さないし便利だというところか。

あるいは、クルマで訪ねてきた客に対してノンアルコールビールを出すという場合も多いらしい。要は、本当はビールを飲みたいのだけれど事情があって飲めないから、あくまでもその代用品としてノンアルコールビールを飲むということだろう。なんとも大変なことだ。

自分なら、そんな状況でノンアルコールビールなど飲みたいとは思わない。何が悲しくて、あんなマズイものを飲まなければいけないのだろう。ビールが飲めないのなら、最初からほかの飲み物を飲む。サイダーにしろコーラにしろ、味だけで比較すればノンアルコールビールより何十倍も美味い。

また、ノンアルコールビールの価格が高いというのも気に入らない。さすがに本物のビールよりは安いものの、発泡酒の類よりも若干高めの価格設定になっている。おそらく特別な製法だからコストがかかっているのだろうが、それにしても酒税がかからないことを考えるとかなり高いと思う。メーカーとしてはおいしい商品だろう。

そんなこんなで、ノンアルコールビールについては全否定だ。ビールの味自体が好きだというごく少数の人は別にして、ビールの代用品としてノンアルコールビールを飲んでいる人については、そこまでしてビールを飲みたいという気持ちをごまかさなくてもいいのにと思ってしまう。

しかし、一部のメーカーでは品薄になるくらいに売れているらしいから、こういういじましい人たちが世の中にはたくさんいるということだろう。ビールを飲めない状況であれば最初から飲まなければいいだけなのに、このあたりの心理は理解できない。ノンアルコールビールを飲むくらいならこどもびいるを飲んだほうがずっといい。



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