10/06/19

野球賭博の何が悪いのか

また相撲界で問題が起きたらしい。今度は現役力士や親方衆が野球賭博に関わっていたということだ。横綱の八百長疑惑から始まって、弟子に対する暴行事件、大麻問題、横綱の引退騒動など、とにかく最近は相撲界における問題が次々に起きてなにかと忙しい。

今回の騒動では、何十人という力士が野球賭博に関わっているということで、名古屋場所の開催自体を中止すべきだなどという強硬な意見まで出ているようだ。いや、別にそこまでする必要はないだろう。自分のように2ヶ月ごとの場所を心待ちにしている健気な相撲ファンだっているのだから、こんなことぐらいで中止にしないでほしい。

「こんなことぐらいで」なんて書くと、いかにも頭が悪そうな感じになってしまうが、実際のところ、野球賭博の何が悪いのか、よく理解できていないのだ。今回の騒動については、力士個人が野球賭博に参加しただけで、周囲の人間に直接迷惑をかけたわけではない。自分の金で遊ぶだけなら、特に悪いことだとも思えない。

たしかに今回の騒動に関しては、賭博の胴元が暴力団であるということと、日本相撲協会が税金面での優遇を受ける財団法人であるということを考えると、何も問題がないとは言えないが、よってたかって批難するほどのことでもないような気がする。おそらく、賭博に参加した力士たちにしたところで、何が悪いのか理解できていないだろう。

野球賭博に限らず、そもそもギャンブルの何がいけないのだろうか。法律で禁止されているから? では、なぜ法律で禁止されているのだろうか。依存症になるから? 借金を作るから? 金銭に関するトラブルを起こすから? 結局のところ、ギャンブルにのめり込むと身を滅ぼす可能性があるからということだろう。

しかし、ギャンブルを禁止している国が胴元になって、競馬、競輪、競艇、オートレースというギャンブルを主催している矛盾はどうなるのか。たまに興味本位で競艇場などを覗いてみることがあるのだが、そこは見事なまでに、淀んだ空気が充満した退廃した雰囲気の場所だ。こういう退廃的な場所を国や自治体が提供しているのはおかしくないか。

そもそも、こうした公営ギャンブルはテラ銭(胴元の取り分)が異様に高い。なんと、勝った金額から25%もふんだくるのだ。今回の野球賭博のテラ銭は10%らしいから、この胴元が良心的に思えるくらいだ。これだけ高いテラ銭を取るのだから、胴元側の負けは絶対にない。最初から国が国民の財布から金を吸い上げるような仕組みにできている。

こうしたギャンブルだけでなく、実は宝くじも法律的には公営ギャンブルとして分類されている。ということは、やっぱり国が胴元になってテラ銭を掠めているわけで、宝くじのテラ銭は50%以上というとんでもない金額になる。くじということで言えば、サッカーくじのtotoのテラ銭も約50%だ。

ここまでくると、ギャンブルというよりもむしろ任意で収める税金として認識したほうがいいだろう。こんなに法外なテラ銭を取られるのであれば、多少ヤバそうだとは感じても、テラ銭の低い賭場でギャンブルをしたほうが得だと考える人間がいてもおかしくない。

そもそも、テラ銭を取られるギャンブルで儲かるのは胴元だけだ。ほんの数回だけ賭けるのであれば、大きく勝ったり負けたりするだろうが、長く続ければ続けるほど、勝敗の比率は1対1に近くなっていくから、結局はテラ銭の分だけ負けることになる。ギャンブルで儲けようと思ったら、テラ銭を取られないように仲間内だけで賭金をやり取りするしかない。

結局、野球賭博などのギャンブルの何が悪いのかというと、お上に隠れて勝手にテラ銭を取るなよということだろう。ギャンブルをするなら、バカみたいに高いテラ銭を収めて公営ギャンブルをやりなさい、それ以外のギャンブルは国にとっては何の得にもならないから禁止します、という思い切り勝手な理屈だ。

今回の騒動については、世間知らずの力士たちを責めるよりも、こうした裏の賭場が立つということの根本的な原因をもっと考えたほうがいいと思う。思い切り高いテラ銭を掠め取っている政府の人間が、今回の問題について力士たちや日本相撲協会をもっともらしい顔で批難するなんて、どう考えてもおかしい。



今週の覚書一覧へ

TOP