10/06/06

ドストエフスキーの名作「カラマーゾフの兄弟」の感想を語る

ドストエフスキーの代表作として有名な「The Brothers Karamazov (邦題: カラマーゾフの兄弟)」を読んだ。別にドストエフスキーが好きだというわけではないのだが、世界文学における最高傑作という評価さえあるこの作品を読まないのも人間としてどうかと思い、そのボリュームに圧倒されながらも読んでみた。

実に1ヶ月半ほどかかって読み終えたのだが、激しくつまらなかった。こんなにつまらない作品がなぜ世界最高傑作とまで評価されるのか、頭の悪い自分にはさっぱり理解できない。ペーパーバックのページにも簡単な感想を書いておいたのだが、きっと誰も読まないだろうから、ここで改めてこの作品について語ってみたい。

まずは、あらすじを以下に紹介しておこう。

強欲な成り上がり者のフョードルには、ミーチャ、イワン、アリョーシャの3人の息子がいた。放蕩で乱暴な長男のミーチャは前妻との息子で、皮肉屋で無神論者の次男のイワンと、純粋で敬虔な三男のアリョーシャは後妻との間にできた息子たちだった。そんな父親のフョードルと長男のミーチャとの間で、財産と女性を巡って諍いが発生する。妖艶なグルーシェンカを父親と争うミーチャは、財産を巡るトラブルもあり、父親に深い恨みを抱くようになる。そんなある日のこと、フョードルが何者かに殺害されて大金が盗まれるという事件が発生する。その現場から血まみれになって逃げ出した姿が目撃されたミーチャは、殺人の容疑で逮捕されて裁判にかけられる。アリョーシャとグルーシェンカはミーチャの無実の訴えを信じるが、イワンはミーチャの犯行を疑わない。そして、ついに運命の評決が下される。

この作品を読んでまず戸惑ったのが、登場人物の名前がすべて2通りあるということだ。たとえば、長男のミーチャの正式名(なのかどうかは知らんが)はドミートリだし、三男のアリョーシャはアレクセイだし、ヒロインのグルーシェンカはアグラフェーナといった具合だ。2つの名前を使い分けて読み手を混乱させるその意図がわからない。

また、各キャラクターのセリフが長くて芝居がかっているのも、読んでいてイライラする。古い小説にはこうしたわざとらしいセリフ回しが多いが、決して読みやすいものではない。普段の生活でもこんな芝居がかった話し方をするヤツが目の前にいたら、おそらく背負い投げで投げ飛ばして腕ひしぎ十字固めを決めると思う。それくらいイライラする。

さらに、メインのストーリーと関係のないサブストーリーが多すぎて、読んでいて混乱する。ただでさえ、つまらないことをグチャグチャと語って無駄にストーリーを引き伸ばしているのに、さらにストーリーには直接関係ないことをあちこちに挿入しているものだから、頭の悪い自分としては話の流れについていけない。

しかし、検察側と弁護側が対決する法廷シーンが最後に出てくるということで、法廷シーン大好き人間の自分としてはこのラストに期待して辛抱強く読み進めていった。ところが、ここでも検察側と弁護側が芝居がかったわざとらしいセリフ回しで裁判を進めていくため、せっかくの法廷シーンを楽しむことができない。

この裁判では、長男のミーチャにかけられた殺人容疑が審理されるわけだが、状況証拠としてはミーチャにとって不利なものばかりで、笑ってしまうくらいにミーチャの犯行を印象付ける証言ばかりが集まる。読者に対してはミーチャの無実が明かされるのだが、それを知って読んでいても、実はミーチャが犯人なんじゃね? と思ってしまうくらいだ。

こんなに不利な状況証拠ばかりが集まってしまっては、どんなに有能な弁護士でも陪審員の心象をクロからシロに変えることはできないと思う。だから、弁護士の最終弁論の内容も、被告の無実を理論的に証明するものではなく、疑わしきは被告の有利に、ということを陪審員の良心に訴えかけるくらいしかできない。これでは読んでいても退屈だ。

しかし、アマゾンでのレビューなどを見ると、皆さん絶賛の嵐なのだ。こうした小説は好みが分かれるのが普通だと思うのだが、翻訳の質を批判する感想はあっても、この作品自体をくさすような感想はほとんどない。なので、こうした感想を書くのは正直なところ気が引けるのだが、面白くないものを面白いとは書けない。

それにしても、こんなにダラダラとして芝居がかった小説を、世の中の人たちは本当に理解して面白いと感じているのだろうか。世界的な名作というだけで、勝手にありがたがって理解したつもりになっているだけではないのか。こうした作品が絶賛の嵐というのは、自分としては非常に気味が悪い。

ということで、こうした頭の悪い感想を書く人間がいてもいいだろう。理解したフリをして底の浅いもっともらしい感想を書くよりも、ずっと健全だと思う。正直なところ、もうドストエフスキーの作品を読みたいとは思わないが、「罪と罰」くらいは読んでおくべきかとも思う。自分も、世界的な名作をありがたがる類の人間だから。



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