10/05/16

ロードバイクで房総半島を一周してみた

去る5月9日(日曜日・仏滅)、我が相棒の流星号とともに房総半島を一周してみた。結論からいうと、年頭の目標として掲げた300キロのロングライドは無事に達成した。走る前は300キロなんて楽勝だと思っていたが、実際に走ってみるとそれなりにキツかった。

本当は、日曜日に300キロをチャレンジするつもりはなかった。翌日の疲れを考えると、土曜日に300キロを走って日曜日は休養に当てたかった。しかし、土曜日に軽く150キロほど走ったところ、激しく気持ちのいい陽気で、日曜日も同じような陽気が続くということを天気予報で知ったため、急遽日曜日にチャレンジすることにした。

ルートは、最初に房総半島を横断して九十九里まで出て、それから時計回りにひたすら海岸線を走るというものだ。海岸線を走るときには時計回りに走るのが基本だ。なぜならば、左手に海の景色を独占できるからだ。反時計回りだと対向車線越しに海を望むことになるため、イマイチだ。

それと、赤信号を無視できるというメリットもある。海岸線を走る場合、左側から道路が合流することはほとんどないため、基本的に交差点はすべてT字路になる。これならば、車体の小さな自転車は赤信号を無視して走っても支障はない。同じ理由で、湖や池の周囲を走るときには反時計回りに走るのが基本だ。

当日は夜中の2時に起き、軽い食事を摂って3時に家を出発した。この時間はまだ外は真っ暗で、市街地を抜けるとほとんど灯りがなくなる。本格的なナイトライドの装備なんて用意していないから、小さなライト1つだけで恐る恐る夜道を走った。東の空が白み始める4時過ぎくらいまでの1時間あまりは、まさに恐怖の時間帯だった。

九十九里に抜けたときには完全に夜が明けて、昨日と同じように気持ちのいい青空が広がっていた。ここからは何も考えずに、ただひたすら海岸線を走るだけだ。早朝の風はまだ冷たさを感じるが、身が引き締まるような冷たさで非常に気持ちがいい。サイクリングの醍醐味を感じる瞬間だ。

そんな感じで最初は快調に走っていたのだが、御宿あたりに来ると、いきなりトンネルが連続して現れる。今回のチャレンジにあたって一番心配していたのが、実はこのトンネルだった。路肩が広く取ってあるトンネルならばまったく問題はないのだが、房総半島には素掘りのような幅の狭いトンネルが多い。

路肩部分のまったくない狭いトンネルを通るときには、大型のダンプカーに圧殺されやしないかと肝を冷やしながら走ることになる。さらに、トンネルで一番怖いのは音だ。トンネル内では音の逃げ場がないため、車の走行音はすべてトンネル内に反響する。この音がものすごく怖い。

軽自動車の音でも、トンネル内では増幅されて大型トラックのような轟音になるし、大型トラックの音はスペースシャトルの発射音のようなものすごい音になる。トンネル内ではこうした音に絶えず追い立てられるわけだから、本当に生きた心地がしない。

一番の難所は、勝浦を過ぎたあたりで3本の長いトンネルが連続する場所だ。ここは精神的にキツかった。自分としては、この場所が房総半島一周における最大の難所だと思う。後ろからクラクションを鳴らして煽るバカもいて、本当に肝を冷やした。こういうバカには、一度でいいから自分でも自転車でトンネルを走ってみろと言いたい。

そんなこんなで、肝を冷やしながら鴨川まで抜けた。ここまで来ると、もう当分トンネルはない。房総半島最南端の白浜まで降り、州崎をぐるりと回りこんで館山に出るまでが、房総半島一周ライドのハイライトだろう。このあたりは車の交通量も少なく、南国情緒の漂う海岸線を満喫しながら気持ちのいいライドを堪能できる。

しかし、朝からの走行距離が180キロを過ぎたあたりで、軽い吐き気が襲ってきた。時刻としては、昼の1時くらいのことだ。吐き気といっても大したことはないので、だましだまし走っていたのだが、200キロを超えたあたりで今度は軽いめまいを感じるようになってきた。

なんだか頭がボーっとして、現実感から遠く離れたように感じる瞬間が何回も訪れる。このまま走っていたら転倒事故を起こすかもしれない。さすがにこれでは危ないと感じて自転車を停め、そのまま道端にしゃがみ込んだ。身体はそれほど疲れているわけでもないのだが、どうにも調子がよくない。寝不足のせいだろうか。

そうやって10分ほど膝を抱えた状態で休憩していたら、なんとか回復してきたので、恐る恐る自転車にまたがってペダルを踏み出す。どうやら大丈夫そうだ。もうさっきのような危ない感じはない。ここまでは時間を気にするあまり、休憩時間を切り詰めて走っていたのだが、倒れてしまっては元も子もない。ここからはこまめに休憩を取ることにしよう。

館山を過ぎて内房に入ると、またトンネルが連続して現れる。しかし、このあたりは何回も走っているルートなので、どのトンネルが危険かということはだいたい頭の中に入っている。残りの距離も100キロを切っているから、もう安心だ。後は、淡々と残りの距離を消化するだけだ。

富津あたりまでくると、ようやくトンネルも終了だ。吐き気やめまいも治まり、ペダルを踏む脚にも力が戻ってきたような感じだ。肩やお尻はさすがに痛くなってきているが、それもあと数時間の辛抱だ。何のために走っているのか自分でもよくわからないが、よく頑張ったぞ、おれ。

サイクルメーターの距離表示が280キロを超えたあたりになると、この距離表示とにらめっこをしながら走っていた。後半は休憩を多めに取ったため、もう日はとっぷりと暮れている。あたりが暗くなると、どうしたわけか途端に疲れが全身を襲ってくる。それでもなんとか300キロを走り終えて帰宅したときには、達成感よりも安堵の気持ちのほうが大きかった。

ということで、夜中の3時に出発して、家に帰り着いたのは夜の8時に近くなっていた。平均時速は21.2キロだったから、全部で3時間近く休憩を取った計算になる。当初の計画では、休憩時間を2時間にして夜の7時にゴールするつもりだったが、自分の貧脚からすれば、このあたりが限界だろう。

とりあえず、無事に走りきっただけでよしとしておこう。さすがに走り終えたときには疲労を感じたが、翌日は心配したほどの筋肉痛は出なかった。もしかしたら、普段から走っているおかげで体力が付いてきているのかもしれない。体力を付けてどうしたいのか、自分でもよくわからないが、とりあえずお疲れさまでした。



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