10/02/07

青春の大学生活 - 5千円札1枚だけでフリー雀荘に入ってみた

ついこのあいだ年が明けたと思ったら、もう節分が終わったらしい。とにかく時間の経過が早すぎて、過去の出来事の順番がよく思い出せない。何年も前の出来事だと思っていたことが、日記を確認すると去年のことだったり、その逆に、つい最近の出来事だと感じていたことが実際には随分と前のことだったり。

そんな感じで、自分の記憶力に若干の不安を覚えながら、「青春の大学生活」の続きを書いてみたい。このシリーズは、一応時系列に沿って書いているつもりだが、なにしろかなり昔のことだから記憶が怪しい。今回のエピソードは、19歳の誕生日を目前にしたちょうどいまくらいの時期のことだと思うが、ちょっと自信がない。

前回は、行きつけの雀荘で「社長」に見事にはめられたところまで書いたので、今回はその後の麻雀修行について書いてみたい。麻雀ネタとはいっても、今回はこれまでのようなマニアックな内容ではないので、麻雀を知らないよい子のあなたでも普通に読めます。ぜひ読んでやってください。

いまとなっては詳しく思い出せないが、その日はとにかく金に困っていた。電気料金かガス料金か電話料金か、とにかくそういった公共料金の支払いに困っていたような気がする。急いで払い込まないと、すぐにこれらのサービスが止まってしまうような状況だったと思う。

たしか、全部で1万円くらいの金が必要だったと思う。しかし、自分の財布にあるのは5千円札が1枚だけ。仕送りや奨学金、バイトの給料が振り込まれるまでにはもう少し時間がかかる。とにかく、すぐにでもこの5千円札を1万円にする必要がある。そうなれば選択肢はひとつしかない。麻雀だ。

要は、手元の5千円を倍の1万円にすればいいだけのことだ(本当は、仕送りが入るまでの生活費も必要なのだが、目の前の請求書に焦ってしまって、そこまで考えがいたらない状態だ)。それであれば話は早い。麻雀で1回トップを取ればちょうど5千円くらい勝てる。

短絡的にそう考えた自分は、5千円札が1枚だけ入った薄い財布を握り締めて、東中野の雀荘に向かった。この店は初めて行く店だが、いつも通っている中野駅前の雀荘は若干レートが低かったので、1回のトップだけで確実に5千円を手にできるレートの店で打つ必要があったのだ。若くてバカな自分は、どの店でも絶対に勝てる自信があった。

若干緊張しながら入店すると、ガラの悪そうな店員がいきなり「預かり金として3千円をいただきます」と言ってきた。いまではこうしたシステムが当たり前だが、この頃は入店時の預かり金というシステムを採用している雀荘は少なかったため、かなり慌てた。

このシステムは、どうやら金を持たずに打つ客を警戒してのことらしい。しかし、自分としてもほとんど手持ちがない状態での入店だ。預かり金とはいえ、いきなり3千円の出金は痛い。そうは言っても、金を払わないことには打たせてもらえないのであれば、払うしかない。しぶしぶなけなしの5千円札をガラの悪いアンちゃんに渡した。

予想外の出費で、手持ちのキャッシュはいきなり2千円に減った。5千円でさえ心細いのに、2千円ではさらに不安だ。もちろん、最初から勝つことだけを考えて乗り込んできているわけだが、やはり最悪の事態も同時に想定しているわけで、この「手持ちは2千円だけ」という状況はかなり不安だ。しかも、場代としてさらに500円が徴収される。

こうした不安があると、麻雀にもかなり影響する。うなるほどの金が財布にある状況で打つ麻雀というのも問題だが(そんな状況で打ったことなど一度もないが)、ピーピーの状態で打つ麻雀というのもかなり危ない。とにかく余裕がないため、どんなに伸びる可能性のある手牌でも、最短のアガリを目指して手が小さくなってしまうのだ。

こういう心理状態で勝負するギャンブルは、まず勝てない。勝たなければマズイ、負けたらマズイと思っていたら、ギャンブルは絶対に勝てない。ギャンブルに限らず、人生のすべての勝負事において共通する心理だと思うが、弱気になって勝てる勝負など絶対にない。

このときも、財布の中身が気になって勝負に集中できず、最初の半荘こそ若干プラスの2位でなんとかしのいだものの、次の半荘は若干マイナスの3位で、この心臓に悪い勝負をこれ以上続けるのは無理だと感じ、汗をぐっしょりかきながら(本当にぐっしょりとかきながら)店を出た記憶がある。

財布の中身はまったく増えていないため、どうしようかと思案に暮れたあげく、大学の正門前に立って、通り過ぎる人たちの中に知り合いの顔を探す作戦に打って出た。幸運にも優しい友達から1万円を借りることができたため、その場はなんとかしのげたが、この後は学生ローンにはまることになる。そのお話については、また次回。



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