独習のボキャブラリー 



英語の基礎はボキャブラリーです。

英語に限らず、フランス語にしろドイツ語にしろ中国語にしろ日本語にしろ、語学の基礎は誰が何と言おうとボキャブラリーです。外国語の習得はボキャブラリー学習に始まり、ボキャブラリー学習に終ります。単語を知らなければ、読めないし、聞けないし、話せないし、書けません。あたりまえです。

しかし、この万有引力の法則にも匹敵するくらいの揺るぎない常識に真っ向から立ち向かって来る勇気ある人達も、残念ながら無視できないくらいの勢力を占めているのが現実のようです。こういう人達に共通するのが、「とりあえず有名な教材を買えばなんとかなるかも」、「とりあえず有名な英会話スクールに通えばなんとかなるっしょ」という、他力本願な考え方です。

本当にそう思いますか?本当に?え、本当に?基本的な単語も理解できないのに?それで本当に英語ができるようになると思いますか?

ちょっと厭味なくらい念押ししてしまいましたが、こういう人って結構貴方の周りにもいるんじゃないでしょうか。貧弱なボキャブラリー知識のまま文法書や読解問題集に手を出して挫折し、語彙力不足のままなんとなく資格試験を受けてその結果に落胆し、最後には高価な通信教材や英会話学校に頼りこれまた挫折してしまい、その結果英語をあきらめてしまう人がどれほど多いことか。大体、基本的なボキャブラリー力もないのに中途半端に色んなものをかじっても、身につくはずがありません。繰り返し言います。英語の基本はボキャブラリーです。


 ボキャブラリー・ビルディングの素材

ボキャブラリー・ビルディングの素材としては、以下のものが考えられるでしょう。

 市販の単語集を使用する。
 英字新聞・英語雑誌・ペーパーバック等の紙メディアからオリジナルの単語帳を作る
 英字新聞・英語雑誌・ペーパーバック等の紙メディアを読みながら直接覚える 

理想としては読みながら覚えるという方法だと思いますが、実際のところ、読みながら覚えるというのは至難の技であり、非現実的方法だと思います。何度も目にする単語は自然と頭の中に入って行くということもありますが、大抵の単語は一度や二度辞書をひいたくらいでは容易に記憶には残りません。やはり「単語を覚える」という気構えで臨まない限り、単語は覚えられません。あたりまえの話ですが。

これから英語の勉強を始めようという方なら、学生時代に使っていた教科書や、受験用に使用していた単語集を復習することから入るのが手軽でお金もかからないので、いい方法だと思います。まずはこのレベルのボキャブラリーを習得することが、これからの英語学習の基礎になります。最低限このくらいの単語力がないと、英字新聞やペーパーバックといった紙メディアに挑戦することすらできません。

市販の単語集を選ぶポイントですが、現在は様々なものが市販されていますので、色々と手に取ってみて、自分に合うと思ったものを使用すればいいでしょう。自分が高校生の頃は単語集と言えば「試験に出る英単語」くらいしかありませんでしたが、今は本当に色んな単語集が溢れています。中にはあまりできのよくないものもありますが、大部分のものはよくできていますので、比較的有名な単語集を購入すれば後悔することも少ないと思います。

こうして基礎的な単語力を身に付けた方に次のステップとしてお勧めしたいのが、紙メディアからオリジナルの単語帳を作るという方法です。市販の単語集はその大部分が大学受験用なため、それ以上の使用目的を想定して作られた単語集というのはあまり市販されていません。したがって市販の単語集をマスターしてしまった人の場合、自分自身でこれから必要になるボキャブラリーを身に付けていく必要があります。

自分の場合、最初に英字新聞から勉強を始めました。

まず英字新聞を買ってきて、社説の欄を切り抜き、それをA4版のノートの左側に貼り付けます。その記事を辞書を使って読みながら、知らない単語にアンダーラインを引き、右側のページの同じ線上に発音記号と意味を書きこんでいきます。こうすると、英字新聞を使った自分オリジナルの単語帳ができるというわけです。 

実はこの方法は「英語の学び方」(高田誠著・旺文社)という本に紹介されている方法をそのままパクったものです。

切り抜く記事としては、別に社説でなくとも、自分の興味のある記事でかまいません。しかし社説はA4版のノートにサイズがピッタリですし、文体も整っているので、勉強のとっかかりとしては理想的だと思います。日本語の新聞の社説との対訳も可能です。

THE DAILY YOMIURI, ASAHI EVENING NEWS, MAINICHI DAILY NEWS の社説には、それぞれ前日の読売新聞、朝日新聞、毎日新聞の社説の英訳が掲載されますので、対応する英字新聞を活用してみるのも有効な手段でしょう。(注:MAINICHI DAILY NEWS, ASAHI EVENING NEWS は2001年3月をもって廃刊になりました)

このオリジナル単語ノートをお勧めする理由は、以下の3つのポイントからです。

 文脈で覚えられる
 達成感がある
 自分の語彙数が把握できる

まず「文脈で覚えられる」ですが、これはわからない単語を辞書で引く過程において、すでにその単語の意味をある程度予測しながら辞書を引いていることに意味があります。市販の単語集の中には一つの単語だけ抜き出して意味を書いているだけのものもありますが、やはり文脈の中で覚えるほうが印象に残りやすいと言えます。

なるほど、この単語ってこういう雰囲気で使うんだ、というのがなんとなくではありますが、見えて来ます。ボキャブラリーの勉強と並行して読む・聴くのインプットの勉強をすると、一層効果的です。苦労して覚えた単語を実際に目にしたり、耳にしたりすれば、その単語はまず忘れません。とにかくこの時期はインプットあるのみです。

次に、「達成感」ですが、これは何冊もこの単語ノートを仕上げて行く過程で得られるものです。

最初の頃は単語でびっしりと埋まっていたページが少しづつすっきりしたものになっていくのを改めて見てみると、自分の英語力が着実に伸びていることを実感できます。単語の暗記という単調で辛い作業を継続するためには、その成果を目に見える形で残して行くことが大事だと思います。復習の際に便利なのはもちろんですが、これからの学習意欲も湧いてきます。

そして「自分の語彙数が把握できる」ですが、英語の勉強をしていると、一体自分にはどのくらいの語彙数があるんだろう?と考えることがあると思います。実際に、英検などの検定試験では級別に目安となる語彙数を示しています。このオリジナル単語ノートを作れば、大体の語彙数を把握することができます。

自分の場合を例に取ってみましょう。

まず、中学・高校の6年間の教育課程で習う単語の総数は約5000語です。それに加えて、大学受験用の単語集を使用して勉強した人の場合、約1000語の上積みがあるそうです。自分の場合、本格的に勉強を始めたのが高校卒業後10年近く経っていたので、それを差し引いて考えると、英語学習スタート時点での語彙数は約5000語だったのではないかと思います。

そして、これまでに作ってきた単語ノートの語彙数が約6000語です。もちろん、その単語全てを覚えているわけではありません。かなり忘れている単語もありますから、仮に記憶保持率70%と考えて計算すると、自分の現在の語彙数は約9000語ということになります。

たまに書店で英検1級の問題集を立ち読みして、語彙の問題を解いてみることがありますが、正解率は9割以上です。英検1級の想定する語彙レベルは約10000語ですから、かなり実情に近い数字だと思います。


 単語の覚え方

さて、このようにして単語ノートを作っても、ただ作っただけでは単語は覚えられません。どうやって覚えるか?これについては明確な解答は存在しません。自分の好きな方法で暗記して下さい、としか言えません。

ひたすら書いて覚える人、何度も口に出して覚える人、ジェスチャーを加えて覚える人など、さまざまだと思います。

ただ単純に空で暗記するよりは、こういった方法を介して覚えた方が断然記憶の定着はいいでしょう。特に動詞を暗記する場合は、その動詞のジェスチャーをしながら口に出して覚える、という合わせ技は非常に有効だと思います。いずれにしろ、色々と試してみて一番自分に合った方法を見つけて下さい。

参考までに、自分は語呂合せで暗記しています。この語呂合せという方法には賛否両論あるようですが(と言うより、否定論の方が圧倒的に多いようです)、自分はいつも図書館で勉強しているので、周りの人の迷惑にならないような効率的な方法を求めた結果がこの「語呂合せ」でした。本当に下らない語呂でここに記すのも恥ずかしいくらいです。まあとりあえず、どういった方法でも暗記はできるということです。もちろん、効率の良し悪しはありますが。

語呂合せはあまり自信をもってお勧めできる方法ではありませんが、これはちょっといいかな? なんて思っている方法もあります。もし興味があれば試してみて下さい。

まず、市販の単語集にしろ、オリジナルの単語帳にしろ、常に身に付けておくことです。そして、天気のいい休日に外出した際、緑のきれいな公園のベンチに座ったときなどに、おもむろにこの単語集を開いて自分の苦手な単語を暗記するのです。その時の美しい景色とともに、単語が印象深く記憶に残ります。この時、横のベンチに座っているのが正視に堪えないくらいの痴態を演じている茶髪のカップルだったり、たえがたいくらいの異臭を放つホームレスのおじさんだったりと、周囲の環境が印象深いものであればあるほど効果的です。

この方法は特に休日でなくとも、日常生活の中でも応用できます。

朝寝坊をして、駅までダッシュして一息ついた電車の中で単語集を開く。
会社で上司にミスを指摘されたときに、怒りとともにトイレの個室に単語帳を持ち込む。
お目当ての異性から話し掛けられた後、鼻の下を伸ばしながらポケットに忍ばせておいた単語カードを取り出す。

つまり、日常生活の中のちょっとした感動を、単語の暗記に利用するわけです。これは想像以上に使えます。是非試してみて下さい。ただ、あまりネガティブな状況を利用すると、いつまでもそのときの嫌な思い出が消えないという欠点があります。なるべくポジティブな状況下での利用をお薦めします。


 辞書の使い方

英語学習において欠かすことのできないのが辞書です。この辞書の使い方によってかなり学習効率も変わってきます。

自分はリーダースの英和辞典を使っていますが、あのサイズで26万語収録というのはやはり凄いです。プロの方にも愛用者が多いということですが、納得できます。

まず、初めて引いた単語には赤のペンで線を引きます。次に辞書を引いた時にその単語に赤の線が引かれている場合、さらに青のペンで線を引きます。次に辞書を引いた時にその単語に赤と青の線が引かれている場合、緑のペンで線を引きます。

こんな感じで色づけをしていくと、例えば赤と青の線が引かれている単語の場合、自分は覚えたつもりだったのに、実は覚えていなかったということが一目でわかるわけです。

こういった単語を引くと、さすがに3回目は確実に覚えようと思うので、ほぼ100%の確率で覚えることができます。暇なときに辞書をペラペラとめくってみたりするのも面白いものです。2色、3色の線が引かれた単語は自然と目に入ってきますから、自分にとって苦手な、でも出現頻度は高いというまさにキーとなる単語の復習ができます。

とは言え、色付きの単語を引いてしまった時はやはりちょっとショックです。ありゃ、この前覚えたつもりだったのにもう忘れてる、って感じでしょうか。
自分も、最近本当に色付きの単語を引いてしまいます。

辞書を引く前に、「あれ、この単語多分1回引いたことがあるなあ。どんな意味だったっけ」っていう場合はまだいいのですが、全く見たことのない単語のつもりで辞書を引いてみると赤と青の線が引いてあった、なんてときは、本当に自分の記憶力の弱さが情けなくなります。特に最近その傾向が強いので、やっぱり記憶力が衰えているのかな、と感じざるを得ません。

しかし、前にも書いたように、自分にはそれを補うだけの知識と経験があるはずと日々言い聞かせて勉強しています。

単語はとにかく覚えてナンボです。覚えれば覚える程、確実に英語力は伸びます。最初はほとんど伸びを感じられないかも知れません。しかし確実に力はついています。とにかく少しの間辛抱して勉強してみて下さい。必ず明日は来ます。




 ボキャブラリー独習の心得

 ボキャブラリーは語学の基礎と知るべし
 ボキャブラリーは文脈で覚えるべし
 ボキャブラリーは五感を駆使して習得すべし


TOP