独習のスピーキング 



英語の独習において一番習得が困難なのがスピーキングです。「読む」「聴く」「書く」は独習だけでものにすることも可能ですが、「話す」という行為は相手があって初めて成立するわけですから、全くの独習だけでは習得は難しいのは事実です。しかし、インプットの勉強を続けていれば、自分でも気づかないうちに簡単な会話ならこなせるくらいの力が自然についてきます。もちろん、俗に言う「ペラペラ」と話せるというわけには行きません。この辺りの能力は、いかに練習量を積んで反射神経を鍛えるか、にかかって来るものです。

自分は全く海外経験がなく、日常生活でも全く英語を使う必要のない環境にいますので、このスピーキングに関しては何を書くべきなのかすら思い浮かばないくらいのお粗末さですが、最低限このくらいのことに気を使えば会話が成立する、ということに主眼を置いて私見を述べさせて頂きます。


 具体的な文章で、易しい表現で

いざ英語を話そうとする場合、まずはその話したい内容が日本語で頭に浮かんで来ます。そしてその日本語を頭から英語に直して行き、その作業が完成してからおもむろに英語を話し始める。おそらく英会話にあまり慣れていない人の回路はこんな具合になっていると思います。これはこれで間違ってはいません。と言うより、これが当然の流れです。話したい内容が英語で浮かんで来るようになれば、もうゴールは目の前です。

日本人である限り、まず最初に日本語で考えてしまうというのはこれはもう仕方がありません。英会話ができるか否かは次の「日本語を英語に直す」というステップにかかっていると言っていいでしょう。

最初の頃はどうしても英語と日本語を1対1で訳そうとするため、未知の表現に出くわすとそこで思考がストップしてしまい、会話も途切れてしまいます。

「雨が降りそうだなあ、傘持って来てないのに」
なんて言う簡単な文章ならば、
It looks like rain. I don't have an umbrella with me.
という単純な置き換えでこと足ります。しかし、次の文章はどうでしょうか。

「今朝飲んだ牛乳にあたったみたいで、お腹をこわしちゃったよ」

「牛乳にあたる」って、英語で何て言うんだろう?「お腹をこわす」ってどう表現すればいいのかな?なんてことを考え始めたらもういけません。そこで思考はストップしてしまいます。こういった場合、元の日本語を、自分の英語で表現できるくらいの具体的な表現に変えてしまいましょう。

「今朝飲んだ牛乳が腐っていたようで、お腹が痛い」

これならば、難しい表現を使う必要はないでしょう。
A cup of milk which I had this morning must have turned sour. So, I have a stomachache.

関係代名詞がちょっと硬い感じがするというのであれば、
I drank milk this morning. It must have turned sour. So, I have pain in my stomach.
というように、文章を区切ってもいいでしょう。会話ではこちらの方が自然に聞こえます。

"turned sour" という表現が思い浮かばなければ、"It was bad" だけでも充分に通じると思います。これくらいならなんとかなりそうだ、という気がしませんか?

とにかく、まずは自分の言いたいことをなるべく具体的な文章でイメージして、易しい表現で話すことが大事だと思います。気の利いた表現をスッと口に出せればカッコいいのは言うまでもありませんし、誰もが望むことですが、まずは確実に誠実に自分の意思を伝えることを心がけるべきでしょう。流暢さを求めるのはそれからです。

 単語ではなく文章で

初対面の人と会話をする際、まず気をつけることは「失礼にならないように」ということだと思います。

身だしなみや態度と同じくらい、言葉遣いは相手に与える第一印象を大きく左右することは言うまでもありません。英語を使って意思疎通をする場合、いかに自分の貧弱な英語で相手に不快感を与えないようにするか、ということは難しい問題です。しかし、お互い人間ですから、目と目を見て誠実に話せば、こちらの誠意は伝わります。しかし、いくら誠実に話しているつもりでも、単語を並べただけでは、やはりぶっきらぼうな印象を与えてしまいがちです。

テレビで茶髪にピアスといった若い人たちのインタビューをよく見ることがありますが、彼らの会話を聞いて不快な思いをすることが多々あります。あの語尾を伸ばす独特の発音も不快の一因ですが、なによりも彼らの会話が文章の体を成していないということが最大の要因ではないかと思います。

「今日はどこから来たんですか?」 「えー、埼玉ー」 「これからどこに行くんですか?」 「えー、渋谷ー」
 
一体彼らは国語の時間に何を教わってきたのでしょうか?まあ、もちろん彼らは確信犯ですから、これを英会話初心者に当てはめることは妥当ではありませんが、やはり単語だけでは会話は単調になってしまうし、失礼な感じを与えてしまうということは言えるでしょう。こんな会話を続けていけば、すぐに相手も単語だけで会話をするようになるでしょう。こうなってはもはや会話とは言えません。多少辛くても、最初から文章で話すように心がければ、上達も速いと思います。

 その他、ちょっとしたコツみたいなもの

会話を滑らかに進めるちょっとしたコツみたいなものもあります。ある程度会話に馴れて来たら試してみて下さい。

相手の話を聴く場合、こちらが黙ったままでは相手としても話し辛いものです。相手の目を見ながら要所要所で頷く仕草を見せると、相手も話にリズムが出てきます。仕草だけではなく、"I agree" とか、"exactly" といった相槌を打つとより効果的です。もちろん、納得できない場合には反論すればいいでしょう。ただ相槌を打つだけなんてそれこそ馬鹿みたいです。いずれにしろ、ただ黙って聴いているより、はるかに効果的だと思います。

あとは、なるべく沈黙を作らないことです。何か意見を求められて自分の考えをまとめている間なにも喋らないと、せっかちな相手はすぐに口を挟んできますから、結局何も話せないまま終わってしまうこともありえます。こういう場合、まずは自分に話す意思があるということをアピールする必要があります。「I  think that...」 で止まってしまっても、黙りこまらずに、"well" とか "you know" とか "let me see" といった曖昧な表現で取り敢えずごまかしておいて、その間に次の展開を考えるというのも、姑息なようですが、意外に使える技(?)です。

 発音について

発音に関しては、「いいに越したことはない」というのが自分の考え方です。確かに発音がよければカッコいいですし、聴き取り能力にも好影響を与えるでしょう。しかし別に発音が悪くても、英語として相手に通じるだけの発音なら、それで充分だと思います。第2言語として英語を話す外国人は大勢いますが、それぞれの国の訛りが入った英語を堂々と話しています。日本語訛りの英語だって充分に通じます。

大体こちらとしては一生懸命に英語を勉強しているわけですから、様々な訛りの入った英語を聴き取る作業くらいはネイティブにおまかせしましょう。あんまり甘やかすと、彼らはますますいい気になりますから。大体彼らは日本にいて日本人に道を尋ねる時でも、当然のように英語で訊いてきます。日本にいながら道を尋ねるという簡単な日本語さえ勉強しないという彼らの傲慢さは、一体どこから来るのでしょうか。ですから我々日本人も必要以上に卑屈になることはありません。少しくらいはネイティブにも苦労してもらいましょう。

"L""R"の発音がうまくできないなどと悩む必要もないと思います。相手はちゃんと文脈からどちらなのか判断してくれるはずです。

"Japanese live on rice." と言ったつもりが相手には"Japanese live on lice." と聞こえたとしてもまさか「ほお、日本人はシラミを主食にするとな。これはまた面妖な」などと言う人はいません。(もしいたら「いやあ、自分はノミの方が好きなんだけどね」と言ってやりましょう)

かく言う自分の発音は自分でもかなりひどいと自覚しているので、どうにも負け惜しみみたいな感じがして嫌なのですが、自分の発音をあまり恥ずかしいとは思っていません。まあ、多少は恥ずかしいですが。今のところ英語を話す機会が全くないので、発音の必要性を自覚できていないだけかも知れません。しかし、皆が皆アメリカ人やイギリス人を目指す必要はないというのが、今のところの考えです。




 スピーキング独習の心得

 具体的な文章で、易しい表現で話すべし
 きちんとした文章で話すことを心がけるべし
 発音に神経過敏になるべからず


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