独習のリーディング 



ボキャブラリー学習がある程度進んできたら、次はいよいよリーディング学習です。

これまでの地味で辛いボキャブラリー学習とは違い、リーディングは我々の知的好奇心を大いに刺激してくれます。英語を読むという快感を体験すれば、それまでの地道な努力が見事に報われたと実感できるはずです。是非この快感を味わって下さい。

 リーディング学習の素材

リーディング学習の素材としては、以下のものが考えられるでしょう。

 英字新聞
 ペーパーバック
 英語雑誌 

上記の紙メディアに加えて、最近だと海外のホームページというのもあるかも知れません。

 英字新聞

まず「英字新聞」ですが、自分の場合、この素材から始めました。オリジナルの単語ノートを作る素材として英字新聞を使っていたので、その当時一番身近にあったメディアだったからですが、今考えると、妥当な選択だったと思います。と言うのも、まず文章が整っていることが第一に挙げられます。簡潔にして要点を得た文章は、リーディングの入門としては理想的です。

お勧めする第二の理由として、読みやすいということです。

日本で発行されている新聞ですから、当然日本の記事が中心です。つまり、それだけ背景知識が豊富にあるわけです。この背景知識の有無というのは、実は非常に大きな要素です。

ゴルフに全く興味のない人が国内のゴルフ中継を見てもよく理解できないのに対して、英語はできないけれどゴルフ好きの人が、英語放送のゴルフ中継を見てそれなりに楽しめる、と言う現象は、まさにこの背景知識の有無に依るところが大なのです。

このアドバンテージを活かさない手はありません。英字新聞を買って、自分の興味のある記事を読んでみて下さい。意外とすんなり理解できるはずです。理解できれば自信につながります。自信がつけば、さらに勉強にも身が入ります。

第三の理由として、人前で英字新聞を読むとカッコいい、ということです。

多少動機が不純かも知れませんが、人は誰でも見栄を張りたいものです。見栄を張ることで勉強せざるを得ない状況に自分を追いこむことができます。周りの人間は見てないフリして結構見ています。

英語なんてできなくったって死にやあしないよ、なんてホラを吹いてる人に限って、心の中では、英語ができたらなあ、なんて思っていたりするものです。

日本で発行されている英字新聞としては、THE DAILY YOMIURI, MAINICHI DAILY NEWS, ASAHI EVENING NEWS, THE JAPAN TIMES などがあります。もし自分で読売・毎日・朝日新聞のどれかを購読しているのであれば、その新聞社の英字新聞を読むのが効果的でしょう。それぞれの英字新聞の社説には1日遅れで日本語版の社説の英訳が掲載されるので、対訳が可能です。特に新聞は購読していないというのであれば、THE DAILY YOMIURI をお勧めします。上記3紙を比較した場合、一番コストパフォーマンスが高いと思います。(注:MAINICHI DAILY NEWS, ASAHI EVENING NEWS2001年3月をもって廃刊になりました)


THE JAPAN TIMES は他の3紙に比べてより格調高い英語が使われている、あるいは、THE JAPAN TIMES 以外の3紙は日本人ライターの文章のレベルが低い、とよく言われますが、そんなこと、一般の英語学習者にはわかりませんし、わかる必要もありません。自分の好きな新聞を読みましょう。

いずれにしても、日頃から国内外のニュースにアンテナを張っておくことが大事です。理解度が全く違ってきます。


 ペーパーバック

次に「ペーパーバック」ですが、読書好きの方には是非挑戦して頂きたい素材です。

いい小説を読んで心が洗われた、勇気が湧いてきた、という経験は誰でもがしていることです。英語を読むことができれば、この経験が何倍にも広がるわけです。

しかし、最初は多少尻込みしてしまうかも知れません。自分がそうでした。でも、ちゃんとボキャブラリーの勉強さえやっていれば大丈夫です。必ず読めます。

ここで言う「読める」というレベルは、とりあえず辞書なしで読んで、「ふーん、結構面白いじゃん」と感じることのできるレベルです。具体的に言うと、知らない単語はかなりあるんだけど、大筋を掴むくらいならなんとかなる、辞書を引くよりはとりあえず読み進めたい、ところどころ文章の情景が頭に浮かんでくる、というくらいのレベルです。

そもそも、日本語を読むのと同じに英語の文章を100%理解する、というのは不可能に近いくらいの偉業です。日本語ネイティブの我々にしたところで、日本語で書かれた小説を100%理解するのは至難の技です。どんなに高名な翻訳家でさえ、いくつもの誤訳を犯してしまうという事実が、その困難さを雄弁に物語っています。

プロの翻訳家を目指すという方以外は、そんなに神経質になる必要はありません。大筋が理解できればそれで充分です。

ペーパーバックを読む際に辞書を引くべきか否か、という疑問が湧く方もいるでしょう。答えは「否」です。

まず、ペーパーバックを学習素材と考えないことです。小説はあくまでも娯楽のために読むものです。日本語であろうと英語であろうと同じことです。リーディング学習の素材としてペーパーバックを紹介しておきながらこんなことを言うのは矛盾しているように感じるでしょうが、勉強しているという意識を持たずに読んでいくうちに、自然と英文に馴れてくる、ということです。

自分の場合、最初の頃は倒置構文などに出くわすとつい返り読みをしたりしていましたが、今では倒置構文ということを意識することもなくすんなりと読めるようになって来ましたし(もちろん、すんなりと読めない場合も多々あります)、ページをめくる際、次に来るだろう単語が自然に頭に浮かんで来るようになりました。

古本屋で1冊100円で売っているペーパーバックを手に取ることがありますが、その中に、最初の5頁くらいはびっしりと単語の意味を書きこんであるのに、残りは真っ白という本がたまにあります。これなどは、ペーパーバックで勉強しようと意気込んだはいいが、結局挫けてしまったという典型です。そもそも、辞書を引かないと読めないという時点で、ペーパーバックはまだ無理だと気づくべきです。

ペーパーバックで勉強しようと思わないことです。日頃のボキャブラリー学習のご褒美としてペーパーバックを読む、という姿勢が正解です。

取り敢えず、最寄の図書館に行って洋書コーナーの前に立ってみましょう。どこかで目にしたり、耳にしたことがある作家の作品があるはずです。間違いなくあります。手に取って2〜3頁読んでみましょう。どうでしょう、読めますか?読める、と思ったら迷わず借りましょう。

思ったよりは簡単に読めるはずです。ペーパーバックは新品で買うと1500円くらいしますから、最初は図書館で借りた方が無難です。挫折したって、自分の腹は痛みません。高い住民税を払ってるわけですから、地元の図書館を利用しない手はありません。

それでも不安だという方は、一度翻訳本を読んでから原書を読む、という手もあります。あるいは、映画を観てからそのノベライズ版を読むという方法もあるでしょう。日本でヒットした映画のノベライズ版のペーパーバックは大抵大手の書店で手に入るので、利用して見てはどうでしょうか。いずれにしても、まずは1冊読み切ることです。かなり自信がつくはずです。そうすれば、また新しい本へ挑戦する意欲も湧いてくるでしょう。

繰り返しますが、ペーパーバックはその気になれば読めます(細部を気にしなければ)。力試しのつもりで一度挑戦して見ましょう。     


 英語雑誌

最後に「英語雑誌」ですが、馴染みのあるところとしては、TIME, NEWSWEEK, THE ECONOMIST といったところでしょうか。いずれの雑誌もどれか一誌は図書館に置いてあるはずですから、興味があれば一度手に取ってみることをお勧めします。

書店でも市販されていますが、TIMEやNEWSWEEKなどは週刊誌のくせに1部800円もしますから、まずは図書館で読んでみてどんなものかを把握した方がいいでしょう。

TIMEやNEWSWEEKと聞くとえらく難しそうだなあ、と思われるかもしれません。確かに難しいことは難しいですが、これも英字新聞と同じように背景知識がものを言います。自分もヨーロッパや中東、アメリカの記事はよく理解できません(と言うよりは興味がないので、読まないだけですが)。反対に、日本をはじめとするアジアの記事は面白いですし、それなりに理解もできます。

こういう英語雑誌を読む際には、まず自分の興味のある記事に絞って読むこと、日頃から海外のニュースにアンテナを張っておくこと、これに尽きるでしょう。自分の興味のない海外の記事なんて、日本語で読んだって理解できません。決して自分の英語力のせいばかりではありません。

いずれにしろ、自分が読みたいものを読んで下さい。そうすることにより、今まで日本国内の事にしか向けられていなかった関心が、自然ともっと広い範囲にまで向けられてくるはずです。そうして沸き起こって来る知的好奇心が、更なる英語学習の動機となります。

ただがむしゃらに英単語や英文法を覚えこむだけの受験勉強に対して、自らの知的好奇心を満たすために勉強する、これこそが受験生と社会人との英語学習に対する姿勢の決定的な違いだと思います。


 直読直解について

ある程度英文を読めるようになってくると気になるのが、「直読直解」だと思います。これは文字通り、英文を読んだ順に頭から理解していく手法のことです。これに対して「訳読」という手法があります。英語と日本語の構造上の違いを踏まえた上で、英語を日本語の文法に当てはめて解釈していく手法です。

この「訳読」が日本の英語教育の元凶のように言われていますが、果たしてそうでしょうか?

自分は必ずしも「訳読」否定派ではありません。たしかに英語を読む際にいちいち訳読していては読んでいるとは言えないでしょう。しかし、そもそも日本語と英語の構造は根本からして違います。既に日本語の文法ができ上がっている頭に、全く異質な文法の英語を読んだまま理解しろということ自体、無理があります。英語を読んで一旦日本語のルールに当てはめて英語を理解する、その手段が訳読だと思います。

きっと訳読否定派の方々も、訳読の必要性は充分理解しているのだと思います。いつまでも訳読にこだわっていてはいけませんよ、早く直読直解できるようになりましょう、ということだと自分は解釈しています。

書店で立ち読みをしていると、この直読直解を理論的に解説している本に出くわすことが有りますが、これが例外なく解りにくい。これだったら訳読した方がまだしも効率がいいのでは?なんて読むたびに思います。

そもそも直読直解なんて、理屈ではないと思います。とにかくいかに量を読むか、でしょう。読んでいるうちに、自然とそのまま英文を受け入れるようになって来ます。最初のうちは納得するまで訳読してもかまわないでしょう。むしろ訳読すべきです。時には文法書と首っ引きで読んだりもするでしょう。そうすることによって、英文の構造に馴れてきます。読む量が増えてくるにつれて、いちいち日本語に置きかえるという作業は少なくなってくるはずです。煩わしいことは本能的に脳が拒否するからです(いえ、よくは知りませんが)。

つまり、習うより馴れろ、ということです。

しかし、かく言う自分もいまだに訳読してしまうことが多々あります。仮定法や比較級が使われている文章はやはり難しいです。そういう時は思いっきり訳読してしまいます。それでも理解できないことが多々あります。本当に多々あります。と言うより、理解できないことのほうが圧倒的に多いです。

ここで大事なことは、あまり神経質にならないことです。英語のプロを目指しているなら別ですが、そうでなければ、リラックスして自分のペースで読んで、7割くらい理解できればそれで充分です。

いずれにしろ、インプットの量を増やすことが大事です。




 リーディング独習の心得

 まずは英字新聞から始めるべし
 ペーパーバックは娯楽と割り切るべし
 英語雑誌は興味のある記事に絞って読むべし
 リーディング学習は知的好奇心充足の絶好の機会だと心得るべし


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