JULES VERNE 




  SFの父として知られる、フランスの作家。
1828年にフランス西部のロワール地方に生まれた作者は、家の近くの港を行き交う多くの船を眺めながら、海への憧れを強くしていく。12歳のときに、インドに向かう船に乗り込もうとしたとことを父親に見つかって連れ戻されたというエピソードが残っている。弁護士である父親の勧めにしたがってパリの法律学校に進学するが、学業そっちのけで創作活動に精を出すようになり、ユーゴーやデュマから助言をもらいながら小説を書き続ける。1857年に結婚した後も創作活動を続け、1863年に「Five Weeks in a Ballon」で念願の作家デビューを果たす。その後は多くのSF小説を発表して流行作家となり、1905年に糖尿病の闘病中に亡くなる。
 フランスの作家ということで、英語で読む手段は英語の翻訳本しかないわけだが、古典ということもあってか、あまり読みやすいとはいえない。SF好きな人であれば、とりあえずは話のネタにでも読んでおきたい。




AROUND THE WORLD IN EIGHTY DAYS   11/08/27 更新

 読み易さ 
 面白さ   

物語の舞台は1872年のロンドン。裕福な独身貴族のフォッグは、社交クラブの友人たちと、80日間で世界一周できるかどうかの賭けをする。全財産の半分である2万ポンドもの大金を賭けたフォッグは、新しく雇ったばかりのフランス人執事のパスパルトゥを連れて、早速世界一周の旅にでる。異常なまでの几帳面さと、何事にも動じない冷静さを持つフォッグだが、途中で出会ったインド人女性のアウダを命がけで救出するなど、情に厚い一面も覗かせる。アウダを伴って3人で旅を続ける一行だったが、フォッグを銀行強盗の犯人だと疑うロンドン市警のフィックス刑事がその後を追っていた。はたしてフォッグたちは、タイムリミットの80日間で世界一周を達成できるのか。

 なんといっても、何事にも動じないフォッグのキャラクターが魅力的だ。実際にはこんな人間はいないだろうが、何かあるとすぐにオタオタしてしまう自分にとっては、まさに憧れのキャラクターだ。陽気で忠実な執事のパスパルトゥも憎めないし、フォッグに密かに思いを募らせていくアウダも愛らしい。ラストのオチも、よくできていると思う。
 しかし、当時の2万ポンドという額がどれほどのものなのかわからないため、このあたりがストーリーの面白さに少しだけ水を差している。日本の時代小説ならば、「1両=8万円」くらいを目安にしながら読むのだが、この時代のポンドというのは、現在ではどれくらいの円に換算すればいいのか、皆目見当がつかない。トラブルに遭うたびに、フォッグが大量の札びらを切って強引に旅を進めていくのだが、具体的な額がわかれば、このあたりの場面もさらに面白くなったのにと感じた。
 このほかにも、古典ならではの読みにくさはいくつかあるが、ストーリー自体は古さを感じさせない展開で、いろんなジャンルの小説を読んでいる人でも楽しく読める作品だと思う。



JOURNEY TO THE CENTER OF THE EARTH   10/11/13 更新

 読み易さ 
 面白さ   

主人公のアクセルは、伯父で鉱物学者のリーデンブロック教授とともにドイツのハンブルグに住んでいた。ある日のこと、16世紀に書かれた書物を古書店で買った教授は、その中に暗号が書かれた羊皮紙を発見する。苦労の末に解読した暗号には、「アイスランドの火山から地中に降りていけば、地球の中心にたどり着く」という文章が書かれていた。この発見に大いに興味をそそられた教授は、渋るアクセルを連れて強引にアイスランドに出かける。現地でハンスという男をガイドとして雇い、3人で地球の中心へ向かって出発する。3人が見たものは、地底に広がる驚くべき世界だった。

  SF小説あるいは冒険小説の古典として有名な「地底旅行」の英訳版(原典はフランス語)。ジュール・ベルヌという人はかなりの博識らしく、地学に関するさまざまな知識が作中で披露されている。そういう意味では荒唐無稽なストーリーということでもなさそうだが、やっぱり突っ込みどころは満載だ。
 まず、荷物について疑問が湧く。半年分くらいの食料を装備している設定になっているが、その割に軽く歩き回っている感じなのだ。食料だけでも半年分ということは、そのほかの荷物もあわせたら膨大な量になるはずで、とてもザックに背負って移動できるとは思えない。また、排泄物の処理については一切書かれていないが、紙を使ったと仮定すると、このトイレの紙だけでも膨大な量になるだろう。まさか、手で拭いたわけではあるまい。どうも、このあたりが説明不足なのが気になった。
 一番無理があると感じたのが、大学教授でありながら、いきなり長期間の地底探検に出かけるという設定だ。いくらなんでも、職場放棄をしたらまずいだろう。肝心のストーリーよりもこうしたことが気になって、あまリアリティを感じることができなかったが、細かいことを気にせずに読めばそれなりに楽しめるとは思う。



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