DANIELLE STEEL 




 ロマンス作品で有名なアメリカの女性作家。
 1947年にニューヨークで生まれた作者は、広告代理店に勤務するかたわら小説を書き始め、1973年に作家デビューを果たす。1978年に出版された "The Promise" がベストセラーとなり、それ以降も次々にベストセラー作品を発表し、ロマンス作品の第一人者としての地位を不動のものにする。
 文章は非常に平易で読みやすい。しかし作風がワンパターンなため、作者の作品を何冊か読むと「またこのパターンか」と思ってしまうこと請け合い。ただ、ワンパターンなだけに安心して読めるということもあり、これからペーパーバックに挑戦しようという人には文句なくお勧め。




THE KLONE AND I  11/09/24 更新

 読み易さ 
 面白さ   

平凡な主婦のステファニーは、13年間連れ添った夫からある日突然離婚を切り出されてしまう。ショックを受けるステファニーだったが、旅先で出会ったピーターと恋におち、やがて親密な関係になっていく。ハイテク企業を経営するピーターは、自分が仕事で出張している間にステファニーを寂しがらせないため、自分のクローンであるポールをステファニーの元へと送る。外見はピーターにそっくりだが、真面目で分別のあるピーターとは違い、享楽的で奔放なポールに戸惑うステファニーだったが、次第にポールに惹かれていく。ステファニーの2人の子供もポールになつき、4人で楽しい時間を過ごす。しかし、ピーターが帰ってきたら、ポールはメンテナンスのために工場送りになってしまう。外見はそっくりだが性格が正反対の2人の男性の間で、ステファニーの心は揺れ動く。

 タイトルが「clone」ではなく「klone」となっているのは、作中に登場するポールが純粋なクローン人間(同じ遺伝子から作られた生命体)ではなく、コンピュータ制御によるロボットだからということだろう。そのロボットのポールが、大酒を飲んだり、アクロバティックなセックスをしたり、本当の人間以上に喜怒哀楽を表したりで、リアリティについては最初から一切無視した内容になっている。
 2人の男性(正確には、1人の男性と1体のロボット)の間で思い悩むステファニーをコミカルに描いているが、悪いのはすべてピーターであることは間違いない。そもそも、なぜトラブルメーカーのポールをステファニーに会わせたのかということからしてわからない。すべて自分で原因を作っておきながら、ステファニーとポールの仲を嫉妬するなんて、頭が悪いのかマゾとしか思えない。まあ、こんなバカ男のことなんてどうでもいいけど。



SECOND CHANCE  10/09/18 更新

 読み易さ 
 面白さ   

主人公は、ファッション雑誌の編集長を務める42歳の独身女性フィオーナ。華やかなファッション業界で忙しく働くフィオーナは、自由な独身生活を満喫していた。そんなある日のこと、広告代理店を経営するジョンと一緒に仕事をすることになったフィオーナは、誠実で優しいジョンに惹かれてゆく。生涯独身を貫くつもりでいたフィオーナだったが、ジョンの熱心なプロポーズを受け入れてついに結婚に踏み切る。しかし、ジョンの二人の娘は父親の結婚に反対し、フィオーナに対しても露骨に敵意を表す。さらに、仕事で忙しく飛び回るフィオーナに対してジョンの不満が次第に募り、ついにジョンから離婚を切り出されてしまう。失意の底に沈んだフィオーナは、仕事を辞めてパリに移り住み、小説の執筆を始める。小説を書いて必死にジョンのことを忘れようとするフィオーナだったが、心の片隅には常にジョンがいた。

 なかなか面白かった。結婚する前は、相手のどんなことでも許せるつもりでいたのに、結婚して一緒に生活を始めると、次第にお互いに対する不満や苛立ちがつのってくるという感情は、世の中の夫婦のほとんどが経験していることだと思う。こんなはずじゃなかったと思いながらも、お互いに我慢したり、妥協したり、ときにはケンカしたりしながら、時間をかけて本当の夫婦になっていくのだろう。
 それにしても、ジョンのヘタレぶりには読んでいてイライラした。結婚しても自分のペースを崩そうとしないフィオーナもどうかと思うが、そんなフィオーナに我慢できずにいきなり離婚を切り出すジョンは、さすがに人間としてどうかと思う。こんなヘタレ男にセカンド・チャンスを与える必要はないと思う。

 



SECRETS  09/07/11 更新

 読み易さ 
 面白さ   

ハリウッドの敏腕プロデューサーであるメルが新しいテレビドラマを制作することになり、優秀な役者を揃えるために自ら動き出す。その結果、サビーナ、ザック、ジェイン、ビル、ガブリエルという5人の個性的な役者が揃い、ドラマの撮影が開始される。華やかな撮影現場で楽しく仕事をする役者たちだが、彼らには誰にも言えない秘密があった。サビーナは恋人のメルにも打ち明けることのできない秘密を抱え、ザックはゲイであることを打ち明けることができず、ジェインは夫からの暴力に悩み、ビルは麻薬中毒の妻に振り回され、ガブリエルは大富豪である両親を嫌っていた。そんなある日のこと、麻薬中毒であるビルの妻が自宅で死体となって発見され、容疑者としてビルが逮捕されるという事件が発生する。ドラマの撮影にも大きな影響を与えるこの事件に、メルと役者たちはビルの無実を信じて団結する。

 普通に面白かった。ハリウッドの役者が主人公ということで、美男・美女が主役といういつもの嫌味な設定も無理なく読むことができた。
 物語の後半には自分の大好物の法廷シーンもあるのだが、これは本当にオマケみたいなもので、リアリティという点でもイマイチだった。そもそも、妻を殺害した犯人として裁判を受けている法廷の傍聴席に、現在の恋人であるガブリエルを連れてきたらダメだろう。話題のドラマに共演している二人が同じ法廷に姿を見せたらすぐにマスコミに嗅ぎつけられて、あることないこと書き立てられるのがオチだ。こういう細かい部分をおろそかにすると、ストーリーのリアリティが一気になくなって、読むほうとしても一気に白けてしまう。いくらロマンス小説とはいっても、誰が読んでも明らかにおかしいと感じるような傷は残さないに越したことはない。



SPECIAL DELIVERY  03/04/25 更新

 読み易さ 
 面白さ   

59歳のジャックと50歳のアマンダは、お互いの子供同士が結婚しているという関係にある。華やかなファッション業界に身を置き、派手に遊びまわる独身のジャックをアマンダは嫌悪する。そんなアマンダを襲ったのは、最愛の夫の突然の病死。悲嘆に暮れるアマンダを娘夫婦が心配し、ジャックが主催するパーティーへと連れていく。同じように辛い過去を持つジャックはアマンダに優しく接し、次第にアマンダも心を開き、二人は激しい恋に落ちてしまう。しかし、二人の子供達はそんな二人を激しく非難する。

 相変わらず著者の作品は安心して読める。主要な登場人物が出揃った時点で、これから先のストーリーが自然に頭に浮かんでくるくらいに安心して読める。しかも、その予想通りに展開していくので、安心しきって読める。この安心感が何とも言えずに心地良い。自分にとっての著者の作品は「マンネリ」を超えて、ついには「安心感」にまで辿り着いてしまったらしい。
 本作のテーマはもちろん「中年の男女の愛」だが、いつも通りに美男美女が主役なので、なんとも現実感に乏しい。たまには思い切り普通の容姿の人間を主役に据えて書いてみたらどうかとも思うが、それはおそらく無理な注文なのだろう。



THE GHOST  03/02/10 更新

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愛するキャロルから突然の別離を宣告された建築家の主人公チャーリー。キャロルとの楽しい思い出の詰まったロンドンを後にしてニューヨークに戻った傷心のチャーリーは、仕事に集中することができず、半年間の有給休暇を取って旅に出る。旅の途中で出会った古い屋敷に心を奪われたチャーリーは、その屋敷を借り受けることに。屋根裏部屋で偶然手にした古い日記には、200年前に建てられた屋敷の主人であるサラという名の女性の半生が記されていた。日記に綴られたサラの勇気に触れたチャーリーは、自分の受けた傷を克服すべく立ち上がる。

 スティール氏の作品としては珍しく、男性が主人公になった作品。現実世界と日記の過去世界とがパラレルに描かれる展開で、多少は構成に気を使って書いた作品という印象を受ける。別にスティール氏のことを悪く言うつもりはないが、どの作品の登場人物もあまりにも美男・美女ばかりなため、どうにもおとぎばなしみたいな感じがして、読んでいてちょっとばかり恥ずかしい。



THE LONG ROAD HOME  02/11/19 更新

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母親からの虐待を受け、地獄のような幼年期を送る主人公のガブリエラ。両親の離婚を機に修道院に預けられたガブリエラは、周囲のシスターたちの暖かい歓迎を受け、自分の一生を神に捧げることを誓う。しかし、修道院に通う神父のジョーと激しい恋に落ちてしまうガブリエラ。シスターと神父という、許されぬ愛に苦悩したジョーは、自らの命を絶ってしまい、一人残されたガブリエラは失意の底に沈む。次々と容赦なくガブリエラを襲う悲劇。彼女に安息が訪れる日はくるのか?

 偉大なるマンネリ。この作品を評するのにこれ以上適切な表現はない。「またこのパターンか」となかば辟易しながらも、最後まで読ませてしまうストーリー展開。本当に安っぽくて薄いメロドラマなんだけど、つい読まされてしまう。
 著者の作品は大抵は駄作だが、たまに面白い作品もあったりするところがミソ。期待せずに読んだ分、この作品は結構楽しめた。ストーリーの途中は中だるみ気味だけど、冒頭部分とラストはキッチリと読まる。恐るべし、「偉大なるマンネリ」。著者の作品は、忘れた頃に読むのがベスト。続けて読んだら、間違いなく飽きる。



GRANNY DAN  02/02/07更新

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舞台は20世紀初頭のロシア。幼い頃からバレエ一筋に生きてきた主人公のダニーナは、ある日ひどいインフルエンザに罹り、生死の境をさまようが、医師ニコライの献身的な看護により奇跡的に息を吹き返す。それを機に互いに深く愛し合うようになった二人だったが、ニコライは妻子のいる身。頑なに離婚を拒否するニコライの妻のために苦悩の日々を送る二人を襲ったのは、革命戦争という悲劇だった。

いつものお決まりのパターンで、適当に力を抜いて書いたんだろうなあ、という感じの内容。暇つぶしには最適の1冊。ヒマでヒマでしかたないときにでもどうぞ。



SILENT HONOR  01/08/24更新

 読み易さ 
 面白さ   

当時の日本人には珍しく進歩的な考え方を持つ父親の薦めでアメリカ留学をする主人公ヒロコ。伯父夫婦の家に寄宿するヒロコは、何もかも新しい環境に戸惑いながらも、徐々にアメリカでの生活を楽しむようになる。そんな時に出会ったのは、大学教授である伯父の助手を務めるピーターだった。深く愛し合うようになる2人だったが、第二次世界大戦が勃発し、ピーターは出兵することに。日本人であることを理由に収容所での生活を余儀無くされるヒロコのお腹には、ピーターとの愛の結晶が宿っていた。

 いつもの通りのストーリー展開だけど、この作品はかなり楽しめた。まず、主人公の名字がいきなり "Takashimaya" というのがすごい。さらに、披露宴で出される食事が何とも傑作(以下、原文のママ)。
 "traditional tempura, rice balls, kuri shioyaki, chicken, sashimi, red rice with nasu, nishoga, and narazuki"
 披露宴でお握りなんて出すか? 「栗の塩焼」って何? 「赤飯のナス添え」なんて見たことないぞ。「ナラヅキ」じゃなくて「奈良漬」だろ? などなど、なんとも突っ込みどころ満載でもうお腹いっぱい。ちなみに、ヒロコの子供の名前は男の子なのに「トヨ」だそうだ。あまりにも間抜けな間違いばかりで、かなり笑った。ということで、面白さの評価はを一個オマケしておこう。それにしても、ピーター君には避妊くらいはちゃんとしてもらいたい。



JEWELS

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若くして結婚に失敗した主人公。もう二度と恋はしないと決意した彼女の前に現れたのはイギリス貴族の一人息子。深く愛し合った2人は、太平洋戦争の悲劇を乗り越え、4人の子供に恵まれる。夫婦の期待に添わず自由奔放に成長する子供たちが選んだ道は、奇しくも夫妻が心血を注いだ宝石商という仕事だった。

 ストーリーの最初から「またこのパターンか」って感じで、いい加減に飽きた。もうちょっと違うパターンもお願いしますよ、スティールさん。



THE RANCH

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大学の寮で同室だった4人の女性。卒業を間近に控えたある日、ルームメイトの一人が自殺してしまい、それまでの親友関係に亀裂が生じてしまう。その傷を引きずったまま、20年の歳月が流れます。残された3人の絆を修復させようと、夏の休暇をある牧場で一緒に過ごそうと企画したのは、グループの中でリーダー的存在だった女性。それぞれの人生を抱えた3人は昔の友情を取り戻せるのか、そして3人の恋の行方は?

 相も変わらず甘ったるい展開。30過ぎた男子が読む本ではない。ほんの数冊読んだだけで「あ、またこのパターンだ」と気づかせてしまう単調さ。なぜこんな作品が次々とベストセラーになるのか不思議だ。 いや、この単調さこそがベストセラーの秘訣なのかもしれない。ただ、このラストのオチはちょっとだけリアルだ。やっぱり、男と女は心も大事だけど、身体もそれ以上に大事だということだろう。



THE GIFT

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 面白さ   

優しい夫と美しい妻、素直な息子と娘。絵に描いたような幸せな家庭に娘の病死という悲劇が突然降りかかる。それをきっかけにバラバラになってしまった家庭に、一人の少女が現れる。少女と息子はたちまち恋に落ちてしまうが、少女のお腹の中には望んでできたわけではない、新たな生命が宿っていた。

 これまでにスティール氏の作品を何冊か読んできて、作者のストーリー展開がほんんお少しだけわかるようになってきた。何の予備知識もなくこの作品を読んだら素直に面白いと思えたのかもしれないが、こういった展開はそろそろ飽きてきた。しかし、面白いことは面白い。何も考えずに読むのが一番だろう。



GOING HOME

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 面白さ   

少年のような無邪気さが魅力のフリーカメラマンと恋におちる主人公。幸せな日々はカメラマンの突然の訃報により幕を閉じてしまう。二度と恋はしないと誓う主人公が知り合った男性は、はたして彼女の心を開くことができるのか?

 適当に書いたんだろうと思わせるような適当な感じの作品。お暇ならどうぞ。



VANISHED

 読み易さ 
 面白さ    お勧め

資産家の男性の妻として何不自由ない暮らしを送っていた主人公。幼い息子と散歩に出かけた彼女は、別れた元の夫と偶然に出くわす。事故で子供を失ったことが原因で離婚した元夫は、彼女が連れている子供を見て逆上する。そして次の日、主人公の息子が姿を消してしまう。容疑者として逮捕された元夫は法廷で主人公と対決することに。本当に元夫が犯人なのか、そして姿を消した息子の安否は?

 文句なく面白い! 著者一流のストーリー展開に加え、ミステリー的な要素も加わっているため、ラストは一気に読ませる。読みやすくて面白い、まさに一粒で二度美味しい作品。お薦めの1冊。



ACCIDENT

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優しい夫と素直な子供たちに囲まれ、幸せな生活を送っていた主人公に、ある日突然娘の交通事故の知らせが届く。それと同時に発覚する夫の浮気。怒りと絶望の中で生死の境をさまよう娘を懸命に看護する主人公を支えたのは、夫ではなく、娘の友達の父親だった。

 ペーパーバックに挑戦して間もない頃に初めて読んだスティール氏の作品だが、その読みやすさに感動した覚えがある。ストーリーもそこそこ面白いので、そこそこお勧め。



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