SIDNEY SHELDON 




 説明不要の超ベストセラー作家。
 1917年にシカゴに生まれた作者は、ブロードウェイのミュージカルや舞台の脚本家として活躍する一方、映画やテレビ番組の脚本も手がけ、1969年に出版された "The Naked Face" で作家としてもデビューする。それからの活躍は説明するまでもなく、出版される作品が常にベストセラーになるという、世界的な人気作家となる。2007年に肺炎のため亡くなる。
 平易な文章にして、スリリングなストーリー展開。「超訳」シリーズとして数多くの作品が日本でも出版されている。これからペーパーバックに挑戦しようという人には文句なくお勧め。逆に著者の作品が難しくて読めないという人は、まだペーパーバックに挑戦するのは早いと言えそう。




ARE YOU AFRAID OF THE DARK?  10/04/17更新

 読み易さ 
 面白さ   

世界各地で不可解な事故や事件が立て続けに発生するところから物語は始まる。その被害者たちは、世界最大のシンクタンクであるKIG社の研究者だった。突然の夫の死を嘆き悲しむケリーとダイアンはKIG社の社長であるタナーと面会するが、その直後に何者かによって命を狙われる。身の危険を感じた二人は正体のわからない追っ手から必死に逃げるが、どこまで逃げても執拗に追いかけてくる。最先端のハイテク機器を駆使して二人を追い詰める敵に対し、丸腰の二人の武器はその知恵のみ。息詰まる対決の結末は?

 最初は場面がコロコロと変わり、話の方向がまるで見えてこなくてイライラするが、ようやく展開が見えてきたと思ったら、今度は大して面白くもない鬼ごっこが延々と続く。プロットも貧弱だし、唯一の読みどころが主人公と追っ手との鬼ごっこというのでは、読む方としても少しばかり辛い。これはシェルダン氏の晩年に書かれた作品なので、この頃にはそろそろネタ枯れで苦しんでいたのかもしれない。これまでに読んだシェルダン氏の作品の中では一番出来が悪いと思う。



THE ADVENTURE OF A QUARTER  04/10/25更新

 読み易さ 
 面白さ   

物語の主人公は、1枚の25セント硬貨。その硬貨を手にした人たちは、それぞれ大きく人生が変わっていく。

 「イングリッシュ・アドベンチャー」の教材でおなじみの「コインの冒険」。
 この教材には「初級・初中級・中級・上級」の4つのレベルがあって、この「コインの冒険」は初中級にあたるらしい。教材だからストーリーの出来うんぬんは置いておくとして、純粋に教材として見た場合、楽しく勉強できそうだという気はする。少なくとも、学校の授業で使う教科書やNHKの英会話番組のテキストなんかよりはずっと面白い。面白いけれど、教材として効果的かどうかはまた別問題。使い方にもよるけど、つまらないNHKのテキストの方が教材としてはずっと優れていると思ってしまう自分は、きっと少数派ではないはず。



THE SKY IS FALLING  03/08/01更新

 読み易さ 
 面白さ   

物語の主人公は、サラエボの内戦を体当たりでレポートして一躍有名になった女性ジャーナリストのダナ。サラエボから帰国したダナは、アメリカ有数の実力者であるウインソープ一族が、短期間の間に続けて不慮の事故に遭い命を落としたことを知る。偶然で片付けるにはあまりにも不自然な一族の死に疑問を抱いたダナは、独自に調査を開始する。調査を進めるダナに忍び寄る不穏な影。はたして事件の真相は? そしてダナの運命は?

 この作品は、どうやら前作の"THE BEST LAID PLAN" の続編らしい。前作で準主役で登場したダナが本作の主人公。とは言っても、前作とは完全に独立した形になっているので、この作品だけ読んでもまったく問題はない。
 この作品の読みどころはラストの50ページのみ。シェルダン氏の初期の作品は、本作のラストシーン並みのハラハラドキドキが最初から最後まで濃密に展開されていたのに、最近の作品に関してはその濃密さがまったくない。そろそろ息切れということだろうか。しかし、この作品を書いた時点でシェルダン氏は80歳くらいだろうから、この歳でこれだけの作品を書くことができるというのは、やはり凄いことだと思う。



THE BEST LAID PLAN  03/02/03更新

 読み易さ 
 面白さ   

広告代理店に勤務するレスリーは、州知事候補のオリバーの選挙活動を担当する。やがて激しい恋に落ちた二人は結婚を約束するが、結婚式を目前に控えたある日、突然オリバーは大物代議士トッドの娘と結婚してしまう。深く傷ついたレスリーは復讐を誓い、アメリカ有数の大新聞社のオーナーにまで昇りつめる。一方のオリバーは、トッドの支援を受けてアメリカ大統領にまで昇りつめる。オリバーを失脚させるべく復讐に燃えるレスリーが掴んだスキャンダルとは?

 この作品には、準主役級の扱いでダナという女性ジャーナリストが登場するが、これがまったくストーリーにからんでこない。このキャラクターだけぽっかりと宙に浮いている感じで、作者の意図がよくわからない。散々裏工作を仕掛ける大物フィクサーのトッドが、結局は何の制裁も受けないというのも今ひとつ後味が悪い。充実した読後感がまったくない作品。



THE STARS SHINE DOWN  02/12/13更新

 読み易さ 
 面白さ   

アイルランドの貧しい家に生まれた主人公のララ・キャメロン。幼くして自活を余儀なくされたララは、様々な労働者が寄宿する宿の雑用をしながら、不動産業に興味を持つ。自己資金をまったく持たないララは、奇抜なアイデアで土地を購入し、ビルを建てることに成功する。この資金を元手にシカゴへと進出したララは、ホテル建設で更なる成功を収め、ついにはニューヨークにまで進出し、マンハッタンに世界一高い摩天楼を建築すべく奮闘する。しかし、完成を目前にして危機に陥るララ。はたしてララの夢は叶うのか?

 この作品の読み所はただひとつ、ラストのみ。とにかくラストに至るまでが退屈。大した展開もなくラストまで引っ張るのはどうかと思う。ストーリー展開のパターンとしては、以前に読んだ "Nothing Lasts Forever" と同じような感じだ。どちらの作品も、もっとボリュームを減らせばその分緊迫感が出ると思う。
 ただし、その分ラストは読ませる。これでラストがしょぼかったりしたら詐欺みたいなものだが、さすがはシェルダン、締めるところはキッチリ締める。



TELL ME YOUR DREAMS  02/12/05更新

 読み易さ 
 面白さ   

厳格な父親に育てられた真面目なアシュレー、遊び好きで奔放なトニ、芸術を愛するおとなしいアレッタ。同じ会社で働く3人の女性の周囲で、知り合いの男性が惨殺されるという事件が連続して起こる。刃物でメッタ刺しにされ、局部を切り取られるという残忍な犯行現場から採取された証拠は、アシュレーが犯人であることを明確に示していた。まったく身に覚えがないと訴えるアシュレーに接見した弁護士のデイビットは、アシュレーが多重人格障害者であることを知る。圧倒的に不利な状況のもと、デイビットは無罪評決を勝ち取ることができるのか? そして、アシュレーを多重人格障害者にしてしまった幼児期のトラウマとは?

 この作品は、連続して殺人事件が発生する第一部、スリリングな法廷劇が展開される第二部、精神病院での治療の様子を描いた第三部と、三部構成になっている。
 どのパートも面白いが、法廷シーン大好き人間の自分としては、第二部が特に面白かった。ただ残念なのは、こういう重いテーマの作品は、もっと綿密な人物描写があればもっと面白くなったのにということ。シェルダン氏の筆では、やはり軽くなってしまう。



MORNING, NOON & NIGHT  02/11/24更新

 読み易さ 
 面白さ   

アメリカ屈指の大富豪ハリー・スタンフォードがヨットから転落して死亡するところからストーリーが始まります。40億ドル以上にものぼる莫大な遺産の行方が記された遺書を確認するため、3人の子供が集まった。そこに腹違いの妹だと名乗る女性が現れるが、不信を抱いた長男のタイラーは、DNA鑑定を要求する。鑑定用の皮膚を採取するため、スタンフォードの墓を掘り返すが、そこにはスタンフォードの姿はなかった。

 二転三転するストーリー展開で、最後までキッチリと読ませる。さすがはシェルダン、本当にお上手。特にこの作品はラストのオチが秀逸。「このオチはうまくできすぎで、かえってつまらない」と感じる人もいるかも知れないくらいにお上手。作者のストーリーそのものが都合よくできすぎているから、オチもこれくらい痛快でわかりやすい方がいい。



THE OTHER SIDE OF MIDNIGHT  00/12/11更新

 読み易さ 
 面白さ   

聡明で美しい女性、ノエルとキャサリン。無邪気で奔放な、少年のような魅力を持つラリー。この3人を軸に、物語は展開する。時は第二次世界大戦前、一目で激しい恋に落ち結婚を約束するノエルとラリーだったが、あっさりと裏切られたノエルは、ラリーを完全に自分のものにすべく復讐に燃え、その類稀なる美貌を武器にどんどんとのし上がって行き、ついには世界的大富豪のデミリスの愛人にまでなる。一方キャサリンは、米国空軍の戦闘機のエースパイロットのラリーの妻となり、これ以上ない幸福な結婚生活を送っていた。そんな2人の前に現れたノエル。大富豪のデミリスをも巻き込んだ男女4人の関係は、予測出来ないクライマックスへと展開していく。

 久し振りに読んだシェルダン氏の作品だが、やっぱり読みやすい。ストーリー展開はある程度予測がつくので、手に汗握って読むという感じではないが、退屈させないだけの筆力はやっぱり大したものだと思う。しかし、やっぱりちょっとワンパターンだという感じはする。シェルダン氏の作品は、読んでいる最中は夢中になって読めるが、読んだ後に残るものがまったくないのがちょっと残念。



NOTHING LASTS FOREVER

 読み易さ 
 面白さ   

大病院に勤務する3人の新人女医。研修時代を共に過ごした3人に様々な出来事が降りかかる。その内の一人ペイジは殺人の罪に問われ法廷に被告人として立つことになった。あくまでも患者本人の意思による安楽死だと主張するペイジにとって、状況証拠はあまりにも不利なものだった。

 ストーリー展開は相変わらずスピーディーで退屈しないが、それがまったくラストに活きてこない。ラストのオチだけを考えた場合、この3分の1以下の量で済むくらいの内容だと思う。ミステリー仕立てにしているわけだから、途中で張った伏線は必ず回収してラストに活かしてもらいたい。著者の作品は面白くて当たり前という先入観があるため、どうしても評価が辛くなってしまう。



THE NAKED FACE

 読み易さ 
 面白さ   

精神科医スティーブンスの周りで次々に起こる殺人事件。やがて身の危険を感じ始めたスティーブンスは、疑心暗鬼に陥り、自分の患者に疑いの目を向ける。暗闇からひたひたと忍び寄る真犯人の素顔とは?

 著者の記念すべきデビュー作。なかなか面白い。デビュー作だけあって、丁寧に書いているという印象を受ける。人間の心理においてはプロの精神科医が、自分の患者に対してその心を読みきれず、疑心暗鬼に陥るという展開も皮肉っぽくて面白い。ちょっと新鮮なシドニー・シェルダンを読みたいという人にお勧め。



THE SAND OF TIME

 読み易さ 
 面白さ   

舞台は70年代のスペイン。それぞれの過去を持つ4人の女性が修道院から脱走を計る。その4人とひょんなことから道中を共にすることになったのは、バスク地方の解放のために活動するテロリスト達だった。追手の影に怯えながら進む2つのグループの間に次第に親近感が生まれてくる。

 上記のあらすじを書くにあたって、どんなストーリーだったか必死に思い出そうとしたが、あまりよく思い出せなかった。仕方がないのでもう一度この本を手にして何箇所か拾い読みして、ようやく上記のあらすじを書くことができた。おろらくこんなストーリーだったと思う。読んでからそれほど時間が経っているわけではないのに、ラストのオチさえまったく覚えていない。それだけ印象の薄い作品だったということだろう。



IF TOMORROW COMES

 読み易さ 
 面白さ   

若く美しい主人公トレイシーは、結婚を目前にして幸せの絶頂にいた。しかし、罠にはめられた母親が自殺に追い込まれたトレイシーは復讐を誓い、実行に移す。その結果、刑務所暮らしを余儀なくされるトレイシー。紆余曲折を経て自由の身になったトレイシーは、その美貌と知性を武器に詐欺師 としての類稀なる才能を発揮する。

 最初の3分の1は文句なく面白い。残りの3分の2も充分に面白いが、最初のインパクトが強烈な分、後半がどうしても弱く感じる。とはいえ、最初の3分の1だけでも多少の肉付けをすれば、充分に1冊の作品として成り立つくらいの内容なのに、出し惜しみすることのないシェルダン氏の姿勢は立派だと思う。



MASTER OF THE GAME

 読み易さ 
 面白さ   

 ご存知、著者の日本での出世作。有名過ぎるほど有名な作品なので、あらすじの紹介はパス。
 最初の3分の1は文句なしに面白い。読んでいてグイグイと引き込まれた。ただ、最初の部分と比較すると、残りの3分の2はあまり面白くなかった。最初の3分の1をもっと細かく書き込んで1冊の作品にすれば、もっと面白くなったような気がする。



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