WILLIAM SHAKESPEARE 




 説明不要のイギリスの劇作家。
 1564年にイングランドのストラトフォードで生まれた作者は、18歳で結婚した後にロンドンに出て役者として活動する。その後は次第に台本の執筆も手がけるようになり、劇作家としてのキャリアを築いていく。劇作家としての地位を確立した作者は、やがて自らの劇団を所有するまでになり、経済的にも大きな成功を収める。劇作家として活躍した約20年間にさまざまな傑作を発表し、その作品の多くは現在にいたるまで世界中で繰り返し上演されている。晩年は故郷のストラトフォードに隠居し、1616年に亡くなった。
 16世紀のイギリス英語ということで、当然ながら文章は激しく難解。ある程度の教養のあるネイティブにとっても、シェイクスピアの原書は手強いのではないだろうか。話のネタに代表作を翻訳で何冊か読んでおけば、日本人としてはそれで十分だと思う。




AS YOU LIKE IT  09/02/14 更新

 読み易さ 評価不能の難しさ
 面白さ   

主人公のオーランドは、兄から冷遇されて辛い日々を送っていた。そんなある日のこと、フレデリック公爵が主催するレスリングの大会に参加したオーランドは、公爵の姪であるロザリンドに出会い、一目で恋に落ちる。しかし、その大会で公爵お抱えのレスラーに勝ったことが原因で公爵の不興を買ったオーランドは、街を追放されてしまう。その直後にロザリンドも公爵から追放を言い渡され、従姉妹のシーリアとともに街を離れる。道中の安全のために男装して旅をするロザリンドは、アーデンの森でオーランドに出会うが、オーランドは目の前の男装の麗人がロザリンドだとは気付かない。ロザリンドへの熱い思いを語るオーランドに対して、自分をその相手だと思って口説いてみてはどうかと提案するロザリンド。こうして二人は奇妙な恋愛ゲームを展開する。

 男装の女性を相手にした恋愛ゲームという設定は、なかなか面白いと思った。しかし、ヒロインのロザリンドのキャラクターがいただけない。オーランドに対してわがままを言うのはご愛嬌としても、村の娘に対してブスだのなんだのと容姿を批判するのは白ける。それ以外は愛すべきキャラクターなのに、このブス発言で一気に冷めた。
 あとは、物語のラストもいただけない。あまりにも強引なハッピーエンドに、思わず苦笑が漏れた。登場するカップルはみんな結婚して、敵役だった人たちもみんな改心してハッピーエンドなんて、出来の悪い童話でもここまで強引なものはないだろう。あれほど意地の悪い公爵が改心するのにたった1行の説明しかないなんて、どう考えても無理がありすぎる。シェイクスピアの悲劇はあまりにも無駄に人が死にすぎると前に書いたが、シェイクスピアの喜劇もあまりにもハッピーエンドが強引すぎると思う。



HAMLET  09/01/31 更新

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 面白さ   

主人公のハムレットは、デンマークの先王である父親を亡くして悲しみに暮れていた。そんなある日のこと、古い城に父親の亡霊が出没するという噂を聞いたハムレットは、その亡霊に会いに城へ出かける。そこで亡霊と話したハムレットは、父親の死が単なる事故死ではなく、現在の王である叔父のクローディアスによる毒殺だったことを知る。自分の父親を殺し、母親までも奪ったクローディアスに対して激しい怒りを燃やすハムレットは、精神異常を装って復讐の機会を待つ。そんなハムレットに危機感を抱いたクローディアスは、ハムレットをイギリスに追放して殺害しようとたくらむ。イギリスに向かう船中でその計略に気付いたハムレットは、船を抜け出してデンマークに戻り、最後の戦いをクローディアスに挑む。

 これでシェイクスピアの作品を読むのも6作目になるが、6作目にしてはじめて面白いと感じた。とりあえず、ストーリーがよくできている。叔父であり王でもあるクローディアスが仕掛ける罠にハムレットが真っ向から立ち向かっていくという展開で、自然とハムレットに肩入れしながら読むことができるのがいい。登場人物が多いのは相変わらずだが、それほど無駄なキャラクターが出てくるわけでもないため、このあたりも比較的読みやすかった。ただし、主要なキャラクターがすべて死んで終わり、という強引なラストだけはいただけない。シェクスピアの描く悲劇は、あまりにも無駄に人が死にすぎる。
 有名な「To be, or not to be: that is the question.」については、どうにでも訳せるセリフだと思う。それだけに難しいセリフだが、これを最初に「生きるべきか死ぬべきか」と訳した人は偉いと思う。この一言で、作品の主要なテーマを表しているといっても過言ではない名セリフだ。



MACBETH  09/01/25 更新

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スコットランドの将軍マクベスとバンクォーが、ノルウェー軍との戦いに勝って凱旋帰国をしたところから物語は始まる。スコットランド王のダンカンに戦勝の報告に向かう途中で、マクベスとバンクォーは3人の魔女と出会う。魔女たちは、マクベスがスコットランドの王となり、バンクォーの子孫がその王位を継承していくだろうと予言する。マクベスからこの予言を聞いた妻は、ダンカンを暗殺するようにマクベスをけしかける。マクベスは悩んだ末にダンカンを暗殺し、王の従者の仕業に見せかけた上でその従者たちも殺してしまう。スコットランド王として君臨したマクベスは、その存在に脅威を感じていたバンクォーも暗殺してしまう。自分の地位を守ることだけに必死になるマクベスは、さらに暗殺を重ね、破滅に向かって進んでいく。

 自分の地位を守ることだけに汲々となって周囲が見えなくなり、疑心暗鬼に陥ってひたすら暗殺を重ねてしまったマクベスは、実は弱い人間なのだろうと思う。結局のところ、一番の悪人はマクベス夫人だろう。夫をけしかけておいて自分は直接手をくだすことなく、美味い汁だけを吸おうというのはかなりの悪人だ。そんな悪人の夫人も、最後には夢遊病になって自ら命を絶ってしまうわけだから、心の中には罪の意識を抱えていたということだろう。このあたりが、この悲惨な物語のわずかな救いになっていると言えるのかもしれない。
 とりあえず、この作品を読んで感じたことはそれくらいだ。ボリュームの割に不必要に登場人物が多いのは相変わらずだし、意味不明なセリフ回しも相変わらずだ。シェイクスピアの原書を読んで楽しむというのは、広範な知識と非凡な才能が必要になることだけは間違いない。



ROMEO AND JULIET  08/12/06 更新

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物語の舞台となるイタリアのベローナでは、モンタギュー家とキャピレット家が激しく対立していた。モンタギュー家のロミオは、キャピレット家が催す舞踏会に忍び込むが、そこで出会ったキャピレット家のジュリエットに一目で恋に落ちる。お互いの気持ちを確認した二人は、ロレンス牧師の立会いで翌日密かに結婚式を挙げる。しかしその直後、街中でキャピレット家の人間と会ったロミオは、剣で相手を刺して殺してしまう。ロミオがベローナから永久追放の処分を受けたことを知ったジュリエットは、ロレンス牧師に相談する。ジュリエット自身も、父親から強引に結婚の日取りを決められて悩んでいた。そんな二人を助けようと、ロレンスは危険な作戦をジュリエットに持ちかける。

 この作品も相変わらず登場人物が多いが、それほど無駄なキャラクターが登場するわけではないので、これまでに読んだ作品に比べるとずっと読みやすい。ストーリー構成もよくできていると思う。ただ、次々に登場人物が死んでいくのはどうかと思う。ロミオとジュリエットの2人を含めて合計で5人も死んでいるが、こんなに大勢の人間を死なせる必要があったのだろうか。
 それにしても、ジュリエットが13歳というのには驚いた。中学生になったばかりの年齢で愛を語られても説得力がない。ロミオも、それまでは別の女性を愛していたのに、ジュリエットに出会ったとたんに心変わりをするなんて、きわめていい加減な人間だ。こんな二人が結ばれたとしても、おそらくすぐに離婚していただろうから、このラストでよかったのかもしれない。そんなことを考えてしまうくらいに、説得力のない純愛物語だというのが素直な感想だ。



JULIUS CAESAR  08/11/29 更新

 読み易さ 評価不能の難しさ
 面白さ   

ポンペイとの戦争に勝利したジュリアス・シーザーがローマに凱旋するところから物語は始まる。権力を握ったシーザーが独裁者になることを恐れたブルータスとカシウスを中心とする反シーザー一派は、シーザーの暗殺を計画して実行に移す。ブルータスは、「この暗殺はローマを思ってのことであり、決して私憤からシーザーを暗殺したのではない」と民衆に向かって演説し、一度は民衆の理解を得る。しかし、その直後にシーザーの側近であるアントニーが、「シーザーは権力者になるつもりはまったくなかった」と演説したため、民衆の敵意と憎悪は一気にブルータスたちに向けられる。民衆の後押しを受けて勢いを得たアントニー一派は兵を挙げて蜂起し、ブルータスとカシウスも兵を挙げてそれを迎え撃つが、暗殺者たちを待ち受けていたのは悲惨な最期だった。

 シェークスピア作品もこれで3作目だが、相変わらず登場人物が無駄に多すぎて混乱する。これは、登場人物が多いほうが舞台がにぎやかになって見栄えがする、なるべく多くの役者たちに役を与えるため、といった舞台劇ならではの理由があるのだろう。これが小説だったら、こんなに無駄なキャラクターばかりが登場する小説など、誰も読まないと思う。
 この作品も難しくてほとんど理解できなかったが、ブルータスとカシウスが口論を始めるところが特にわからなかった。あまりにも唐突に口論が始まるのだが、このあたりは史実を知っていないと理解できないのだろうか。いずれにしても、もう少し親切に書いてほしい。
 特にどこが面白いということもなかったが、演説ひとつで民衆の考えが一瞬にして180度変わってしまうところがちょっとだけ面白かった。いくらなんでも、これほど単純ではないだろうと思うが、意外と真理を衝いているような気もする。いまも昔も、民衆とは愚かな存在だということか。



A MIDSUMMER NIGHT'S DREAM  08/11/22 更新

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物語の主人公はアテネに住む2組の若い男女。ハーミアとライサンダーはお互いに愛し合っていたが、ハーミアの父親に結婚を反対されたため、森の中で駆け落ちをする。ハーミアに思いを寄せるデミトリアスが2人を追うが、そのデミトリアスを愛するヘレナもデミトリアスを追って森の中に入る。しかし、ハーミアを愛するデミトリアスは追いすがるヘレナを冷たくあしらう。その様子を見てヘレナを気の毒に思った森の妖精オーベロンは、強烈な媚薬を使ってデミトリアスとヘレナの仲を取り持とうとするが、手違いにより、デミトリアスだけでなくライサンダーまでもがヘレナのとりこになってしまう。まったく立場が逆転した4人は、森の中で夏の夜の夢を見る。

 この作品もやたらと登場人物が多い。とりあえず、芝居を演じる職人たちは特に必要ないような気がする。なんか、読んでいて邪魔だし。ついでに、君主のセシウスとその婚約者も要らないような気がする。なんか、読んでいて邪魔だし。
 結局このお話は、妖精が面白半分に媚薬を使って人の心をもてあそぶという、なんともひどいお話ということでオッケーだろうか。本当はハーミアのことが好きでヘレナのことは大嫌いだったデミトリアスが、妖精の気まぐれで大嫌いなヘレナのことを好きにさせられてハッピーエンドというのは、いくら喜劇とはいえ本当にハッピーなのだろうか。なんてことはどうでもいいか。偉大なシェイクスピアの代表作にケチをつけるのは気が引けるので、とりあえず素晴らしい作品だったということにしておこう。



THE MERCHANT OF VENICE  08/11/15 更新

 読み易さ 評価不能の難しさ
 面白さ   

ベニスで商売を営むアントニオに対して、親友のバサニオが借金を申し込むところから物語は始まる。手元に現金の持ち合わせがないアントニオは、ユダヤ人の高利貸シャイロックから融資を受けるが、期日までに返済できない場合は身体の肉1ポンドを差し出すという条件が付いていた。無事に金を借りたバサニオは、かねてから焦がれていたポーシャにプロポーズし、めでたく彼女と結ばれる。しかし、喜びに浸るバサニオのもとに、アントニオの船が難破したという報せが届く。借金を返済できなくなったアントニオの代わりに自分が返済すると申し出たバサニオだったが、シャイロックはその申し出を断り、あくまでも契約どおりにアントニオの身体の肉を切り取ることを要求する。争いは法廷の場に持ち込まれるが、そこに現れたのは裁判官に扮したポーシャだった。

 初めて読んだシェイクスピア作品は想像以上に難解で、内容はほとんど理解できなかったが、ボリュームの割に登場人物が多すぎるということだけは理解できた。いくらなんでも、このボリュームでこの内容は詰め込みすぎだと思う。さらに、裁判でのオチも強引すぎる。これではまるで、タチの悪い言いがかりか意地の悪い屁理屈だ。客観的に見れば、シャイロックの言い分のほうが正しい。よく読むと、シャイロックという人物は悪人の割には正論を述べていて、「善人面してユダヤ人を悪人扱いするキリスト教徒こそ悪人だ」という言い分には、一理もニ理もあると思った。
 ということで、いくらシャイロックが悪人といえども、筋の通らない屁理屈でやり込めるのは読んでいてあまり愉快なものではない。この作品は喜劇らしいが、正直なところ少しも笑えないお話だと感じた。



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