ROBERT B. PARKER 




 ハードボイルド小説を得意とするアメリカの作家。
 1932年生まれの著者は、ボストン大学でハードボイルド作品に関する論文で博士号を取り、1973年に「ゴッドウルフの行方」で作家デビューを果たす。著者の代表作はなんと言っても、「スペンサー・シリーズ」だろう。これは私立探偵のスペンサーが主人公のシリーズで、デビュー作から現在まで続く人気シリーズ。女性探偵のサニー・ランドルを主人公に据えたシリーズもあるらしい。2010年に77歳で死去。
 著者の作品は会話文が多いが、この文章がなかなかに難しい。なにしろハードボイルドタッチなセリフの連続なので、英語ネイティブではない人間にとってはその雰囲気がよく理解できない。その代わり、地の文章は非常に平易で読みやすい。




TAMING A SEA-HORSE  05/05/27 更新

 読み易さ 
 面白さ   

売春婦のエープリルが姿を消したという報せが主人公のスペンサーのもとに届くところからストーリーが始まる。以前にエープリルの面倒を見ていたことがあり、責任を感じて調査を開始したスペンサーは、彼女がロバートというヒモに貢いでいることを知る。ロバートには他にもジンジャーという売春婦がいることを知ったスペンサーは、ロバートに会ってエイプリルを自由にするよう説得するが、それから間もなく、ジンジャーが何者かに殺害されるという事件が発生する。それと同時に姿を消したエイプリル。ジンジャーの事件を追いながらエイプリルの消息を探るスペンサーを待っていたものとは?

 私立探偵スペンサーシリーズの一作。
 この作品でも、スペンサーは相変わらずのスーパーマンぶりを発揮している。安直なハードボイルド小説の主人公としては、これくらい安直なスーパーマンぶりを発揮してくれたほうがわかりやすいと言えばわかりやすい。ただし、ストーリー展開まで安直なのはいただけない。ストーリーらしいストーリーもなく、ただスペンサーの活躍を描いているだけだ。キャラクターに頼りきりの作品というのは、そのキャラクターの熱烈なファンでもない限り、読んでいて少しばかり辛い。



NIGHT PASSAGE  02/11/02 更新

 読み易さ 
 面白さ   

妻の浮気が原因で酒浸りになり、警察をクビになってしまった主人公のジェスは、遠く離れた街の警察署長に採用される。ジェスを採用した街の実力者のハッサウエイは、裏で悪党のジョジョを使い、マネーロンダリングにより私腹を肥やし、私設軍隊の増強を進めていた。ジョジョと衝突を繰り返すジェスの周囲で不穏な事件が相次ぎ、やがて前任署長が何者かにより暗殺されるという事件が発生する。ジョジョの裏で糸を引くハッサウエイの影に気付いたジェスは、周囲の人間を誰も信じられないまま、孤独な闘いを挑む。

 一見優男だが実はハードボイルド、というジェスは、なかなか魅力的なキャラクターだ。妻のジェニファーに逃げられたショックを紛らわすためにアルコールに逃げる、という情けなさもいい。しかし、そのジェニファーがジェスのことを忘れられずに復縁を迫る、という展開はどうかと思う。一度自分が見捨てた男のもとに女が自ら戻ってくる、という設定は少し考えにくい。そういう未練たらしいことをするのは、男のほうが圧倒的に多いと思う。



SMALL VICES  02/10/30 更新

 読み易さ 
 面白さ   

私立探偵スペンサーのもとに、女性弁護士からの調査依頼が入ります。依頼内容は、強姦殺人の罪で終身刑の判決を受けた黒人受刑者の冤罪を証明することだった。調査を進めるスペンサーは、次第に冤罪事件であることの確信を深めていく。徐々に事件の核心に迫るスペンサーを、突然スナイパーの銃弾が襲う。瀕死の重傷を負いながらも、相棒のホークと恋人のスーザンの協力を得て、過酷なリハビリをこなすスペンサー。はたしてスペンサーは捜査の現場に復帰することができるのか、そして事件の真相は?

 1997年に出版されたスペンサーシリーズの一作。
 主人公スペンサーのキャラクター設定は、タフで非情でちょっとだけ女には弱いという、ハードボイルド作品においてはかなりステレオタイプなキャラクター。これはこれで安心して読めるが、あまりにも当たり前すぎて少し面白味に欠けるような気がする。どこかに弱点があったほうが、もっと魅力的なキャラクターになると思う。



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