GEORGE ORWELL 




 管理社会を痛烈に風刺したディストピア作品で有名なイギリスの作家。
 1903年に当時のイギリスの植民地であったインドに生まれた作者は、母親に連れられて1歳のときにイギリスに帰国する。イートン・カレッジを卒業した作者は、大学へは進学せずビルマのインド警察に勤務するが、インド帝国主義に嫌気がさしたため、イギリスに帰国する。その後スペイン内戦に参加した作者は、そのときの経験を基にしたノンフィクション"Homage to Catalonia"を1938年に出版する。その後に出版された"Animal Farm"と"Nineteen Eighty-Four"により、全体主義や共産主義を痛烈に批判する独特のスタイルを確立した。1950年に46歳の若さで結核のために亡くなるまで、フィクション、ノンフィクション、エッセイの各分野で作品を残している。
 代表作の"Animal Farm"と"Nineteen Eighty-Four"は、どちらも文句なしに面白い。文章もそれほど難しくないので、機会があれば一読を。




DECLINE OF THE ENGLISH MURDER AND OTHER ESSAYS  07/06/16更新

 読み易さ 
 面白さ   

面白くもなんともないエッセイ集。

 小難しいだけで、ひとつも面白くなかった。エッセイというのは生ものだから、その時代に生きていないと面白さは感じられないのだろうとは思うが、もう少し面白おかしく書いてくれてもよさそうなものだ。日常のふとした出来事で気付いたことなどを書いてくれたりすると、この人はこんなことを考えながら生活しているのか、といったところが見えて面白い。この作家はこうだとか、あの芸術家はああだとか、ナショナリズムがどうだとか、そんな小難しいことをエッセイで改めて読みたいとは思わない。何気ないことに対するその人独自の視点が見えるのが、エッセイの面白さだと思う。



NINETEEN EIGHTY-FOUR  07/06/09更新

 読み易さ 
 面白さ    お勧め

1984年の世界は、イギリスとアメリカを中心とするオセアニア、ロシアとヨーロッパを中心とするユーラシア、日本と中国を中心とするイースタシアの3つの世界に分かれていた。オセアニア政府に勤務するウィンストンは、常に監視カメラが回っている徹底的な管理社会に対して疑問を持っていた。女性職員のジュリアと知り合ったウィンストンは、監視の目を逃れてジュリアとの密会を重ねる。政府に対して疑問を抱く二人は、信頼できる人物と信じる政府高官のオブライエンに会いに行く。二人を迎えたオブライエンは、自分が反政府組織のメンバーであることを明かし、二人にも協力を要請する。思想犯として逮捕されれば処刑されることを覚悟で、ウィンストンとジュリアは反政府組織のメンバーとして活動することをオブライエンに誓う。しかし、そんな二人を待っていたのは、あまりにも厳しい現実だった。

 徹底した管理社会の恐ろしさが、読んでいて怖かった。政府の方針が変わるたびに、過去の記録もそれに合わせてすべて書き直されるという徹底ぶりが怖い。記憶に残っていても記録に残っていなければ、その出来事は存在しなかったことになる、という理論が怖い。現在を統治する者が過去をも統治するということだ。
 「権力とは手段ではなく目的そのものだ」という権力者側の理論には、いくばくかの真理があると思った。単純に支配する側の人間になること、ただそれだけのために徹底した管理社会を築き上げることが政府の仕事になっているわけだ。そこには国家としての理想も思想もなく、ただ権力者集団としての政府を維持していくための行為しか存在しない。これを恐怖と呼ばずして何と呼ぶのか。
 この作品に登場する権力者に正義はない。しかし、なにがしかの真理はあるのではないかと感じた。



ANIMAL FARM  07/05/26 更新

 読み易さ 
 面白さ    お勧め

物語の舞台はイギリスのとある農場。農場主の横暴に耐えかねた動物たちは、ある日一斉に蜂起して農場主の追い出しに成功する。知能の優れたブタのナポレオンとスノーボールをリーダーとして、自分たちだけの理想郷を作るために懸命に働く動物たち。しかし、ナポレオンと対立するスノーボールがナポレオンの陰謀により農場から追い出されたことをきっかけに、農場はナポレオンの独裁国家の様相を帯びてくる。ブタたちは農場の支配者として君臨し、それ以外の動物たちは労働者として搾取されるだけの存在になる。自分たちの理想郷を作っていると信じて疑わない動物たちだったが、実際にはブタによる独裁国家を作り上げているだけだった。

 ソ連のスターリン政権を痛烈に批判した作品らしいが、世界史にはまったく興味のない自分にとっては、作中のナポレオンに金正日の姿が重なって見えた。情報統制、処刑による恐怖政治、都合のいい責任転嫁、ありもしないデッチ上げなどなど、どれを取っても金正日にしか思えない。ちょうど金正日もブタのように丸々と太っているから、さらに作中のナポレオンと重なる。
 共産主義や全体主義の支配者ほどタチの悪い独裁者になってしまうという皮肉な真理がよく理解できる。つまりこうした政治体制は、リーダーだけに権力が集中しすぎるという欠陥があるということか。とりあえず、このあたりの政治的な思想は抜きにして読んでも十分に楽しめると思う。ブタたちがどんどん増長していく様子は、怖くもあり、腹立たしくもあり、滑稽でもある。さすがに名作、読んで損はない。



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